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『2040年の未来予測』単純外挿法によるネガティブな未来予測(環境研究)

 『ひろゆきのシン未来予測』の私のレビューは以下。

 「そして以下の結論につながる。日本人の規範意識の高さや治安のよさ、ごはんのおいしさというのは、30年後もあまり変化がない。したがって、稼がなくて楽しく暮らすという心構えを持てばそれでいい。切り口は違うが、年収200万円で暮らすことを推奨する経済学者と結論は同じということになる。
 過去、未来予測がブームになったときには2つの流れがあった。ひとつは、MITの分析によるローマ・クラブのネガティブな未来予測。もうひとつは、ハーマン・カーンによるポジティブな未来予測。結果的に現在はその中間ぐらいに落ち着いてはいるが、日本にエリアを限定した最近の未来予測の本は、生き方を低コストに変えるべし、という結論に至る傾向がある。」

 成毛眞氏はどう考えているのかを確認してみた。
 
 今後の日本はバラ色だ、という結論ではなく、どちらかというとネガティブな予測のオンパレードだ。また、現在を見渡して、そこに芽があるテクノロジーが時間的経過で発展するという切り口での未来予測にとどまっている。つまり、2040年以降に本書を読んだ人から「ハズレてる」と言われることを恐れたのだろう。
 「数式のないシステム工学」には、未来予測の方法が6つあるが、そこからすると、本書は単純外挿法で予測されている。

1)単純外挿法

 現在の延長線上で近未来を予測する方法。

2)扇形外挿法

 台風の進路のように、右にはここまで、左にここまで、と扇を開いた範囲で予測する方法。

3)デルファイ法

 専門家や意見のありそうな人を数人選び、数回のアンケートで意見を調べ、その意見をまとめて再び数人に回答を得る。これを数回繰り返すと、人びとの意見が1点に集まり、それを未来予測とする。日本では万博の入場者数の予測などに使われている。

4)シナリオ・ライティング法(シナリオ・プランニング)

 未来がこうなるだろうという予測を書いてみる。そして、そのシナリオと現実に起きそうなこととの間で矛盾があると現実として現れない。矛盾のないシナリオのみが未来の現実だと考える方法。

5)アスク・ジ・オーソリティー法

 未来予測が得意な人や未来予測の的中率の高い人にその予測を聞く。単純だが現実的な方法。

6)POSF法

 これも単純な方法だが、POSF法(Planner Oriented System Forcusting)は専門家の作ったプランを入手し判断する。しかし、企業の販売計画、政府の計画などのプランのあることしか活用できない。

 著者の主張は、現在の知識を使って未来の方向を推測し、どんな不測の事態が起こっても対応できる力をつけることが重要だ、ということになるのだろう。となると、単純外挿法で未来を予測するより、未来完了形で未来を現在の人に記憶させるシナリオ・プランニングが有効だ。

 いずれにしても、ひろゆき氏と同様に、ポジティブな未来予測ではない。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。