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『学歴の値段 集金マシーン化した米大学の真実』人口が減少する日本の方が問題は遥かに深刻(環境研究)

 米国の大学の現状を知る、ひいては米国そのものの次の動きが透けてみえてくるドキュメンタリー映画だ。私自身はあまり必要性を感じない。なぜなら、「何を学ぶか」より「どのように学ぶか」を自分で考えつつ、自分が学びたい先生を探し、地域の図書館などを活用し学ぶのが楽しいからだ。

 米国は高等教育に対する政府の支援がなくなったのはレーガン政権時代。これを機会に大学同士の競争が始まり、授業料は高騰した。そのため、奨学金制度が発達し、今では大学を卒業すると20万ドル(約2,000万円)の借金が残ることに。奨学金の貸付は当然利子が付くので、federalなどで膨大な利子が政府の収入となる。馬鹿げたシステムなため、民主党のサンダースやウォーレンなどが返済免除を訴えている。
 正反対の例として、150年前に実業家クーパーが創立し、寄付で成り立つクーパー・ユニオン大学は無償の大学だが、投資の失敗から有償化を決定。学生は学長室を65日間占拠し、創立の理念を訴えたが、再度有償化が決議された。しかし、学生は戦いを諦めていない。

 大学を中退した方が、奨学金の借金を背負い就職できないよりリスクが少ないと、ピーター・テールなどがThiel Fellowshipという制度に中退者を条件に10万ドルを投資するプログラムなどを運用している。また、教育ハッカー・ハウスでは中退者の起業を勧めている。
 対抗する大学側の変革はスタンフォードのMOOKがトリガーでエディクスなどが出現したが、やはり、One on Oneでの教育がサブシステムとしてないと習得率は上がらない、という結末に。

 結局、高等教育にお金がかかりすぎることとそれに見合うだけの将来への希望がないため、たくさんの矛盾が吹き出ているのが現在の米国なのだろう。元を遡るとレーガンの小さな政府という政策が生み出したことなので、民主党政権の左寄りの人たちが実権を握り、完全に無償は無理にしても、クーパー・ユニオンのような教育の理念に戻る道しか解決策はないと思う。

 それにしても、人口が減少する日本の方が問題は遥かに深刻なのだろう。

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