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『西太平洋連合のすすめ: 日本の「新しい地政学」』イスラーム国家であるインドネシアとのペアシステムがキー(環境研究)

 JICA理事長である北岡伸一氏のWPU(Western Pacific Union:西太平洋連合)構想をまとめた本。WPUはNATOのような軍事同盟ではなく、EUのような国家連合を意味するが、日本と東南アジア主要国、そしてオーストラリア、ニュージーランドを含んだものだ。WPUは中国やアメリカなどの大国は含まない。インドとの自由で開かれたインド太平洋(FOIP)構想に東南アジアが含まれていないため、日本と東南アジアとの結びつきを再定義することがWPUの目的のひとつだとのこと。

 具体的には、インドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、ポスト軍政のミヤンマー、マレージア、カンボジア、ラオス、シンガポール、ブルネイ、そしてオーストラリア、ニュージーランド、太平洋の島々、バングラデッシュ、最後に台湾。EUがドイツとフランスのペアシステムで成立しているのと同じように日本のペアの相手はインドネシアとしている。次に重要なのはフィリピンとベトナム。韓国は含めず、バングラデッシュを含むところなど、北岡伸一さんの経験から判断しているのだろう。WPUで6億人以上の人口になるので、中国にも対抗できる柔らかな民主主義の枠組みという位置付けのようだ。

 WPUは東の大国はアメリカと西の未来の大国インドとつながり、内部の矛盾と少子化で今後10年20年で変化する中国を見据え、世界に貢献できる連合体に発展させることが目的だとしている。本書では触れられていないが、そのためにはイスラーム国家であるインドネシアとのペアシステムが構築できなければならないのだと思う。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。