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『東京物語』主人公の年代に近い60代になってから観る東京物語は、格別な感動がある。

 スーパーマーケットで買い物をしていたら、お盆のセットがいろいろ並んでいた。東京のお盆は8月ではなく、7月と他の地域より1ヶ月早い。なんとなく東京物語を観たくなり、何十年ぶりかに観てみた。

 極めて日本的な映画だが、世界中の映画監督が最高の映画だと評価する東京物語。以前に観たときより、60歳を過ぎた今の方が感動することを発見した。世界中の映画監督にも家族があり、自らも年老いていく。そのため、人物像の対比で浮き彫りになる親子関係が心に刺さるのだろう。

 主人公はおそらく60代後半から70代前半。その妻は68歳でこの世を去る。50代で定年を迎え、残りの人生が十数年の時代の物語だ。これが人生100年時代と寿命が伸びる中、主人公の年齢を10年、20年シフトしたとしたら、また別の東京物語となっただろう。

 東京物語には元ネタがあることをはじめて知った。アメリカのレオ・マッケリー監督による『明日は来らず』(Make Way for Tomorrow)がそれだ。老夫婦の自宅が売却され、子供たちに別々に引き取られて離れるという物語だという。東京物語は極めて日本的映画と前述したが、このテーマは国境を意識させない普遍的なテーマだ。主人公の年代に近い60代になってから観る東京物語は、格別な感動がある。

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