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『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』ログラインの価値(目標設定)

 順序が逆になってしまったが、 続編である「10のストーリー・タイプから学ぶ脚本術 SAVE THE CATの法則」の第一弾が本書になる。この2冊はめちゃくちゃ面白い本だ。映画の脚本というだけでなく、すべての企画書と呼ばれるものに応用できるので、ビジネスパーソン必読の書と称賛してもいいだろう。

  「SAVE THE CATの法則」とは、日本語訳では「危機一髪、猫を救え!」である。どんな映画にも、はじめて主人公と出会うシーンがある。例えばそこで、主人公が何らかの行動を起こし、危機一髪のところで、猫を救うとする。すると、観客はこのシーンで主人公の性格がわかり、共感し好きになる。猫を子供にしたりすることで、観客をストーリーに引き込むための重要な法則になるのが「SAVE THE CATの法則」だ。

 このようなヒット作を生み出す法則をまとめたのが本書ということになる。

 彼女をデートに誘うとき、「どんな映画なの?」という彼女の質問に答えれるものであるかどうかが、映画のすべてを語るという。この質問に、もし一行ですばやく、簡潔に、独創的に答えられたら、相手は必ず関心を持つ。しかも脚本を書きはじめる前にその一行が書ければ、脚本のストーリもよくなるという。もし、1行で語ることができないならば、本気で考え抜いていない証拠であって、続きの話などは聞きたくないとまで言い切っている。

 これをハリウッドでは「ログライン」(ワンライン)と呼んでいるそうだ。

 さらに確実に売れるログラインには、4つの要素が必要だ。

要素1)皮肉はあるか

要素2)イメージの広がり

要素3)観客と制作費

要素4)パンチの効いたタイトル

 それぞれは解説しないが、この4つの要素が入ったログラインの例として、「仲の悪い一家が核廃棄物の埋立地でキャンプするが、翌朝目覚めると超人的なパワーが身についていた」がある。その映画のタイトルは「Nuclear Family」。これは英語ではひと組の夫婦とその未婚の子供からなる家族を表す核家族を指す。しかし、人は放射能という意味の核を加えてイメージする。

 ちなみに、このログラインで作成した脚本は100万ドルの価格で落札されたそうだ。

 また、どんな映画であれその成功は以下の2つのファクターに集約されるという。

1)なじみのある「ジャンル」に対する期待を上回るストーリー

2)もっとも重要な要素「構成」

 続編の上記の内容における構成と重複するが、パターンというか、映画の枠組みが示されている。能の物語を量産するため世阿弥の発明した「複式夢幻能」というイノベーションと同じで、これにより多くの映画が作られている。

 ログラインは、本の表紙と同じだとも書いてあるが、カシオのG-Shockの稟議書には「落としても壊れない時計」と1行書かれていただけだという。つまり、この本に書いてあることは、映画だけでなく、提案書、企画書、これらの全てに共通するものだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。