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『生きがい』日本の出版物は人口減少でシュリンクするが、日本人の本質はグローバルでは異質だ

 イギリスの出版エージェントからの依頼で、脳科学者の茂木健一郎氏が日本人の「生きがい」についてを英語で紹介した本。なんと、世界中で200万部以上売れたベストセラーだ。

 海外では最近、日本の「生きがい(Ikigai)」という言葉が話題で人気だという。英語圏ではこの単語に値する訳がなく”Ikigai”という単語として浸透している。生きがいはブルーゾーンの研究の中で海外の学者によって発見された。ブルーゾーンとは世界の他の地域よりも居住者の平均余命が長い地域のことを指す。

 筆者は「生きがい」には次の5つの柱があるとしている。

柱1:小さくはじめる
柱2:自分を開放する
柱3:持続可能なために調和する
柱4:小さな喜びを持つ
柱5:(今ここ)にいる

 「生き甲斐」の起源は日本の平安時代で、「甲斐」という部分は貝殻の「貝」からきている。平安時代に貝殻は働くことの価値と結び付けられていたという。日本特有の文化的条件と伝統が、この「生きがい」の意味を育て、現在に至っている。

「世界中のヨットというヨットが、ユニバーサルモーターを積んでいる。このモーターは、スピードは出ない、しかし絶対に壊れない。世界中のヨットがこのモーターを積んでいるのは、港を遠く離れた海上で帆柱が折れるといった緊急事態に陥ったときも、確実に港まで帰り着くためだ。各社競ってスピードの出るモーターを開発しているが、スピードの出るモーターは壊れやすい。ユニバーサルモーターだけが、絶対に壊れないモーターとして造られ続けているのだ……」という小林秀雄の話から「生きがい」をユニバーサルモーターに例えているが、200万部ベストセラーはそれを立証していると言ってもいい。

 「生きがい」は一神教の価値体系にはないという。鈴木大拙がZENを海外に浸透させたように、日本人が意識せすることなく持っているものが、一神教の世界に新鮮に映るという現象は他にもある。たとえば新海誠の映画で表現される神道もその一つだろう。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。