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7.11ガンバレプロレス板橋大会雑感

とある編集者さんとちょっとした話の流れでガンバレプロレスを見に行く。
ガンプロ久しぶりだ。
調べたら2018年12月の後楽園ホール以来なので、2年半くらいぶり。

今日の会場は板橋グリーンホール。
ちょいちょい名前は聞くけど初めて行った。
東武東上線大山駅から歩きだすとちょうど夕立ちが降ってきて、そんな中を7~8分歩いたところにあった。
会場はプロレス会場というより「集会場」と呼べるくらいの広さで、リングの周りにしきつめたイスはご時世もあって2~3列。自分たちが座った方角は1列しかなかった。
合わせるとおよそ100席くらいだろうか。けど用意されたイス席はほぼ埋まっていた。

久しぶりに見に来たが、開始時間に流れるのはあいかわらず鈴木あみの「BE TOGETHER」。
もはやガンプロにとっての「Into the Light」みたいなものか。


1、ガンプロ三大シングルマッチ
石井慧介 vs 香取貴大

香取さん、まったくの初見。細身の若者。栃木県小山市を中心に活動する団体・イーグルプロレス所属だそうです。小山から板橋へようこそ。
若そうだなーと思ったらまだ22歳だそう。
メイン後の集会で大家さんがプロレスを始めた時はまだ2歳だったとかそんな話をしてましたが内心(大家…20年もやってんのか…20年で…)とかそっちを思ったのは内緒です。

石井を見ると「DDTだと上にいけないけどガンプロならすぐトップっしょ」と思って移籍したのかな、といまだに思ってしまう。
そうなのかもしれないし、違う理由があるのかもしれないが、どちらにせよガンプロに移籍してこの人自身が上がった感じはしない。
それを他者がどうのこうの言うものではないかもしれないが、見るたびに複雑な感情が沸いてくる選手です。



2、大家健&冨永真一郎&HARUKAZE vs まなせゆうな&桜井鷲&SAGAT

大家、第二試合なんだ。第二試合でいいんだ…というのがこの2年半で変わったことだろうか。
あいかわらずB'zの「Bad Comminucation」だったが見てる観客も声を出せない環境下なのでどの程度現在のガンプロユニバースに支持があるのか不明だった。
対するまなせ組の入場テーマは相川七瀬の「夢見る少女じゃいられない」。
総じて90年代J-POPをよく聞く団体だ。
自宅に有線を引いて90年代J-POPチャンネルを契約しているというロバート秋山を招待するといいと思う。

雑多な組み合わせで目を引いたのがまなせさんが男子レスラー相手に好き勝手に感情を発露させてることで。
この人に関しては本当にガンプロに移籍してよかったと思う。
東京女子にいたときの「お姉さんキャラ」はアイドルとしてはいい位置だったかもしれないがレスラーとしてはあんまりいいポジションではなかった。
やっぱりレスラーは「嫌われるかも…」の壁を破って好き勝手にやりだすと味が出てくる。
今のまなせさんはすごくいいキャラなんだが、ゆえにガンプロに入れとくのはもったいない気がする。
赤井沙希とかに喧嘩をふっかけたりしないだろうか。

なぜかひょろっと出てたBASARAのSAGATが大人な対応をしていた。



○ガンプロ三大シングルマッチ
翔太 vs 入江茂弘

この二人は若いころよく試合していたらしい。でら名古屋プロレスとかあのへんだろうか。

今のガンプロの中での入江の立ち位置がわからないので手探りな感想になるが、もう今の入江はガンプロに出るなら「お、入江出るじゃん」と客を呼んでくるポジションにならないといけない。
というかそういう選手になるべく海外修行を続け、DDTを退団したのに最近あちこちちょこちょこ出てるのを見るに便利屋ポジションになってきてしまってるように見える。
もちろん一定の評価をされてるのであちこち呼ばれるんだろうし、あちこち出ることだけを評価するわけにいかないのだけど、これでレスラーとして上がるのかな…という余計なことは思う。
石川修司は全日本で、鷹木信悟は新日本でトップに立ったが、入江はここからどこかでトップに立てるんだろうか。
いま入江はZERO1のリーグ戦「火祭り」に出てるが、ここで優勝くらいしてほしい。
もちろん火祭りもそんな簡単に獲れるものではないけど、もうそんなに足踏みしてらんないと思うんだよね。
だから去年の夏に橋本大地の持つ大日本のストロングヘビー級に挑戦して負けたのは「負けるのかー」と天を仰いだ。
けど、それが入江への現実的な評価なんだろう。

翔太との試合は翔太のスキニーさに入江が撹乱される、いかにもらしい試合だった。
試合中に翔太がゴングと木槌をリングに持ち込んで、凶器で使うのかと思いきやリング上に放置、「?」と思ってたらその後入江がテキサスクローバーホールドのような複合足関節を決めたときに自分でゴング鳴らして入江がつい技を放してしまう、ということをやってて相変わらず上手いなーと感心した。
試合は入江が押さえ込みで勝利。
火祭りポーズを決めてた。


○みやここ危機一髪!スペシャル3WAYマッチ
勝村周一朗 vs タノムサク鳥羽 vs 松本都

当初春日萌花を加えたタッグマッチだったようだが春日さんが濃厚接触者認定で欠場、3wayに変更とのこと。
なんであれ久しぶりに鳥羽さん見られてうれしかった。「とばー!!」って叫びたかったな。

勝村と鳥羽さんが格闘な攻防と都さんの相手を並行して行う平和な戦い。


○メインイベント~ガンプロ三大シングルマッチ
今成夢人 vs 岩崎孝樹

しばらく見なかったうちにガンプロで一番変わったのは今成夢人の肉体かもしれない。
まあいい身体になった。
映像班として撮影で参加して浪口修に張り倒されてて泣いてたのが嘘みたいだ。
(浪口わりと好きなので最近見られなくて寂しい)

しかしそれすらも軽く上回る岩崎のフィジカル。早くて重いキック。強烈な投げ。
二人がリングで向かい合って2分もすれば見てる観客は「あ、これは岩崎の方が強いわ」とすぐわかる。

岩崎はDDTが2014年から2018年までDDTがやっていた若手育成プロジェクト「DNA」の出身だ。
プロジェクト終了後、多くの選手が転籍先をDDTにしたのに対し岩崎はガンプロを選んだ。
その後岩崎がどういう相手と試合をやってきてたのかあまり把握してなかったが、ひと目見て「ちゃんと頑張ってたんだな」ということはすぐわかった。

今成は岩崎にバシバシ蹴られ、殴られ、投げられる。
悔しいはずだ。
考えてほしい。
人前で、自分より年齢もキャリアも下の人間にボコボコにされるのだ。
悔しくないわけがないし、仮にそうだったとしても本来決して見せたくないものだ。
それを今成はリングで見せる。
岩崎の強烈なキックを何発も受け続けた今成が絶叫とともに身体ごとぶつかって岩崎を倒したとき、胸の奥が震えるような感覚があった。
それはプロレスの根元的な興奮だ。
しばらく忘れていた感情が久しぶりに甦った。

試合は岩崎の叩きつけるようなバックドロップホールドで終わった。
岩崎はマイクを持つと「今成さん、あなたのキャラクターは唯一無二で、それは自分にとって羨ましいものです。けど、試合になったら別です。もっと鍛えてきてから、また闘いましょう」というようなことを言った。
ああ、岩崎は優しいなと思った。
あそこで「強かったです」とか言えば、今成は傷ついたのではないか。
岩崎は信頼をもって先輩を落とした。
これで次の今成と岩崎の試合にテーマがつながる。

岩崎の覚悟と、絶叫とともに反撃した今成の表情。
プロレスの魅力がこの試合には詰まっていた。
今日はいいものを見た。

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