6.25AEW×NJPW「Forbidden Door 」雑感(PPV観戦)

AEWと新日本の合同興行「Forbidden Door(禁断の扉)」をPPV中継するというので「おお!見たい!」と思ったら4980円。
「おお…金額も禁断の扉…」とちょっとたじろいだんですが、トロントまで見に行ったと思えば…と思い切って買いました。

第0試合=ZERO HOURはカットして第1試合から見ました。

第1試合 AEW世界選手権試合
<チャンピオン>MJF VS 棚橋 弘至<チャレンジャー>

マクスウェル・ヤコブ・フリードマン、略してMJF。
私がいま一番気になってる外国人レスラーです。
「世界で一番優れているレスラー、それが俺」と公言する自己肯定感MAXの26歳。
トレードマークはバーバリーのマフラー。

ファンに対しては「お前ら携帯をポチポチして偉そうな意見をツイートしやがるが、何もわかっちゃいないんだよクソどもめ」と煽り、AEWオーナーのトニー・カーンに対しては「死ぬほど金を貯めこんでやがるその金を、俺の足元にも及ばないWWEから流れてきたクソみたいな奴らを獲得するために使おうとしやがって!!」
と何でも言ってしまう、ナチュラルヒールみたいな、悪役だけど支持率はあるキャラクター。

今回も「タナハシ?そんな極東のインディーの選手なんか知らない」と事前にちゃんとリサーチしていただいた上で、「新日本なんかクソ食らえ。けどグレート-O-カーンはちょっと見どころあるな」とか細かく上げてくれる。
ちゃんと見てくれてありがとうございます。

そんなMJFvs棚橋。
棚橋が試合の8割方ペースを掴みながら、ちょいちょいMJFがそのリズムを崩す。
最後はレフリーのブラインドをついてダイヤモンドリング(という凶器)を使ったパンチ一発で勝利。
なんて古典的なスタイル!

第2試合 オーエン・ハート杯トーナメント 1回戦

CMパンク VS 小島 聡

このAEWと新日本の合同興行にあのCMパンクが出るというだけでたぎるわけですが、その相手が小島というチョイスがいいですよ。

小島。
「この選手と試合して」と組まれた試合はそれが若手選手でも、どこの馬の骨だかわからない外国人選手でもちゃんと試合をして、「この団体出てきて」と他団体に派遣されれば必要以上にその団体に染まって試合して(派遣期間が終わったらサラッと帰る)、SNSを手にすれば「今日もいい試合ができた。支えてくれたみんなに感謝」みたいな当てに行くツイートを連発して、アメリカに行くことになったら「いっちゃうぞバカヤロー」という掛け声を「I'm going to kill you、you idiot」とやたら殺伐とした訳され方をして
「I never said such a cruel word. (私はそんなひどい言葉を言ったことはありません)」と本人が釈明することになったりする小島。

三冠ヘビー、GHCヘビー、IWGPヘビーのグランドスラムを達成しているはずなのに普段の扱いが手頃すぎるのでたいしてレジェンド感を感じさせない小島。
第二試合でどこの誰だかわからない外国人選手に負けてても気にならないし、サイバーファイトフェスでさいたまスーパーアリーナのメインに出れば出たでそれなりに格がついてるし、どんなポジションでもこなしてしまう小島。
CMパンクの相手にそんな小島が選ばれたというのは、ある日いきなりトム・クルーズがやって来て「これからある日本の俳優と一緒に世界的大作映画を作るんだ」と説明されて「誰ですか?」と聞くと「段田安則」と答えられたような、そんなイメージがあります。

というわけでパンク対小島。
そもそもパンクはKENTAのGO2SLEEPをフィニッシュにするくらいなので日本のレスラーを尊敬してるフシがあり(三沢光晴が亡くなった直後にはバンデージにMISAWAと書いてた)、そのせいかどうかわかりませんが試合はすごく噛み合ってました。
ちゃんと小島が押す場面があって、パンクを追い込みながら最後はラリアットを当てられず負けてしまう。素晴らしい試合。

ちなみに「いっちゃうぞバカヤロー」は日本語でした。
トロントのファンには伝わったのだろうか。

第3試合 AEWインターナショナル選手権試合 

<チャンピオン>オレンジ・キャシディVS<チャレンジャー>柴田 勝頼VS<チャレンジャー>ザック・セイバーJr.VS<チャレンジャー>ダニエル・ガルシア

4WAYマッチ。
とりあえず元気な柴田勝頼が見られてよかった。
なんかいろいろあるみたいだけど、また日本で試合してほしいなあ。

オレンジ・キャシディは「ジーパンに両手を突っ込んだままトペをする人」という偏った知識しかなくて初めてちゃんと試合見たんですが、普通にいい選手ですね。
最近はポケットから手を出すようになったのか。
ダニエル・ガルシアはまったくの初見でしたがこちらも動きがよくて、いい選手でした。
最後は乱戦でキャシディが丸め込んで王座防衛。
リズム感があって面白かった。

そいやオレンジ・キャシディがなんか一瞬海外でDDTと絡んだような、と記憶してたのですが探したらこれでした。

第4試合 IWGP世界ヘビー級選手権試合

<チャンピオン>SANADA VS<チャレンジャー>ジャック・ペリー

IWGPは「オープンチャレンジ」という方式でタイトルマッチが決まったそうです。
このオープンチャレンジというのがよくわからなかった。公募?
このジャック・ペリー、入場テーマが高野拳磁(現ケン・タカノさん)と同じで往年のインディーマニアとして血がたぎりました。初めて見るのになつかしい…!

試合はSANADAがペリーにある程度やらせてからパパっと締める、いかにもなチャレンジマッチでした。
まあここで落としたら事件ですわな。

第5試合 10人タッグマッチ

ジョン・モクスリー、クラウディオ・カスタニョーリ、ウィーラー・ユウタ、竹下 幸之介、海野 翔太、
VS
アダム・ペイジ、マット・ジャクソン、ニック・ジャクソン、エディ・キングストン、石井 智宏

モクスリーのチーム「The Blackpool Combat Club」(ブライアン・ダニエルソンも参加)とペイジ、ヤングバックス(とケニー)のチーム「The Elite」にエディ・キングストンと石井を加えた10人タッグ。
どう見ても荒くれ者集団のBlackpool~にやたらさわやかな海野翔太が入ってるのが違和感ですが、海野はモクスリーの弟子なのでこれでいいみたいです。
てか、竹ちゃんがちゃんと悪くなってて素晴らしい。
いいね!いいよ!
やっぱこういうのやらないと。
いつまでも「サウナ、大好きー!」だけだとねえ。

竹ちゃんが石井智宏とやり合ってるのを見て、年甲斐もなく興奮しました。
石井がまた最初に意地悪く竹ちゃんの打撃を「ああ、そんなの全然効かない」みたいに受けないと竹ちゃんの顔色が変わり、石井の打撃を受けても同じようにノーリアクションしたところが熱かったです。
そのあと石井にやり返したエルボーがマジで痛そうだった…!
石井がまたそれにやり返したりして、これだけで5000円払った価値がありました。
あの石井のマウントは見てて熱くなるのでよかったですね。
そりゃあプロレスは受けで成り立ってるんですけど、みんながみんな受けなくていいんですよ。
この試合はずっと「すげー!すげー!」言ってました。
10人が10人とも素晴らしい。
ウィーラー・ユウタこんないい選手だったんだ。
ちゃんとスーパージュニア見ればよかった。
ヤングバックス久しぶりに見たけどまったく変わってなくてうれしかったです。

※第6試合 AEW女子世界選手権は見てません

第7試合 60分1本勝負
IWGP USヘビー級選手権試合
<第17代チャンピオン>ケニー・オメガvs<チャレンジャー>ウィル・オスプレイ

今年の1.4レッスルキングダムの再戦。
オスプレイもケニーも今使ってるのではない前の入場テーマ曲使ってて、それだけで胸が熱くなりました。 
もっとも二人がわざわざその選曲したのには理由あるんだろうけど、そこまではわかってない。これから勉強します。

試合はもう完全にレッスルキングダムの続きみたいなタフマッチ。
中盤から終盤にかけて、ええー!ええー!というような強烈な技の攻防が続き、このたびどちらかがカウント2で返す。
ネオ四天王プロレスというか、ケニーもオスプレイもこのまま続けたら動けなくなってしまうんじゃ…と心配になる試合。
ある種「禁断の扉」を一番開いてるのはこの試合かもしれない。
本当に二人ともこんな試合してたら選手寿命が縮まってしまう気がする。

最後はオスプレイが勝ってUSヘビーを奪還するのだけど、ここまでやったら勝敗は二の次で、もう「二人ともあっぱれ」しかない。

そしてこれがまだメインじゃない、というところが恐ろしい。

第8試合 6人タッグマッチ

内藤 哲也、ダービー・アリン、スティング
vs
サミー・ゲバラ、クリス・ジェリコ、鈴木 みのる

アメリカのレジェンドスター、これからスターになる選手、日本のスターを配分した6人タッグ。
出てくるだけで盛り上がる。
内藤が意外と人気あったんだけど、アメリカのファンも新日本見てるんだろうか。
サミー・ゲバラ、5年くらい前にDDT来てたよね。入江茂弘のレネゲイズというチームの一員だったような。
当時から飛ぶキャラクターだったけど、すっかりスターになってました。
で、「ジェリコ感謝協会」って何?

誰と誰が絡んでもリズムがいい。
スティングはさすがにボロが出ない動きしかしてないんだけど、それでも試合の流れに合わせて動けるのは素晴らしい。
それぞれが見せ場を出していくスペシャル6人タッグ。
内藤と鈴木の間で決着ついたのが意外。

第9試合 シングルマッチ
ブライアン・ダニエルソンVSオカダ・カズチカ

まぎれもない世界的スーパースターVS世界的スーパースター対決。
最近なかったよねこういうの。
ケニーvsジェリコ戦くらいでは。

まず新日本6.4大阪大会で公開されたダニエルソンの対戦要求VTRが素晴らしいかった。

荒涼とした山を歩く後ろ姿の男が
「オカダ、おまえが素晴らしい選手だという話はよく聞いている。この10年で一番の選手だということも知っている。
俺と闘いたいと言ったらしいな。いいだろう、査定してやるよ」
と言って振り返るとそれがダニエルソンで、
「おまえは"レインメーカー"らしいな。けど俺と戦うということは砂漠に足を踏み入れるということだ。カネの雨は、もう降らない」

私はWWEを追ってないのでダニエルソンの本当の偉大さをわかってませんが、それでも「YES!YES!」とやってたり、何度も世界王座に就いてるくらいは知ってて。
トップオブトップですよね。
そんな人がこの10年日本のプロレス界を引っ張ってきたオカダとやるというので楽しみでした。

ダニエルソンの入場がヨーロッパの「ファイナルカウントダウン」で爆発的に沸いてたのですが、あれはキャリア前半の頃のテーマ曲だったらしいですね。
その頃から見てる人はたまらなかったでしょう。
私はずっとLiLiCoさんのことを考えていました。あとロッテの内竜也。
その人によって曲のイメージは違います。
一方のオカダの入場もちゃんとカナダの空からオカダドルが降ってきて、「海を渡った」感があってよかったです。

試合は「新日本の試合」でした。
棚橋vsMJF戦あたりと全然違う。
まるで東京ドームのメインイベントみたいだった。
ダニエルソンはキャリア前半で新日本やNOAHに来てたし、日本のスタイルは出来るんだと思います。
ダニエルソンが金丸義信相手にキャトルミューティレーションで勝ったジュニアのタイトルマッチを、今はなきディファ有明で見たのを思い出しました。

試合はダニエルソンがペースをつかむとオカダが奪い返す、これまた素晴らしい試合になり、「でも言うてもカナダまで来てもらってるんだからオカダに勝たせてあげるのかな」とか思いきやダニエルソンがイエスロックの派生技みたいな拷問技でオカダからギブアップ勝ち!
オカダがタップして負けたのって中邑真輔戦以来ではなかろうか。
勝ったダニエルソンもなんか様子おかしいなと思ってたら途中で腕を骨折してたとか…!
信じられない。
それでよくあんな試合できるなあ…。

結果はオカダの負けだったけど、本当に久しぶりのスーパースター対決でずっとテンション上がりました。
いやーダニエルソン本当に素晴らしいな。
澤宗紀とやってた人がこんなになりました。
いやなんだったら今また澤宗紀とやってもらってかまわないんだけど。
試合の佳境でずっとやってなかったらしいYES!チャントを解禁して空気を持ってったり、武藤敬司みたいでした。

非常に満足感のあった「Forbidden Door」。
ぜひみなさんも見て欲しいです。
「ワールドプロレスリング」でやらないかな。


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