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DDT10.20後楽園ホール大会雑感

青木真也vsHARASHIMAのタイトルマッチが見たくなり後楽園ホールへ。
試合前の撮影会がHARASHIMAさんだったので、初めて参加してみました。
ちなみに参加してたのは私以外全員女性でした。リピーターらしき人もいた。推し活の現場を目にする。

<10月19日時点のいつでもどこでも挑戦権保持者>

勝俣瞬馬(青)、高尾蒼馬(白)

○オープニングマッチ 30分一本勝負

上野勇希&MAO&勝俣瞬馬&To-y vs 高尾蒼馬&納谷幸男&中村圭吾&高鹿佑也

第一試合からサウナカミーナ。珍しいね。
そういえば徳間書店から写真集が出るそうで。

ネット書店に特典つけるのはわかるが、よく見るとちょっと資本主義があからさまじゃないか。もうしょうがないんだろうけど。
部数どれくらい作るんだろう、とか余計なことを考える。

MAOが高尾にフォール勝ちし、いつでもどこでも挑戦権を獲得。


○第二試合 30分一本勝負

スーパー・ササダンゴ・マシン&平田一喜 vs 夢虹&須見和馬

若手の夢虹と須見にベテラン二人がいいように回されてて、あれ、平田とかこの二人の10年くらい先輩になるんじゃ…とか思ってるとササダンゴが試合中にマイクを持ち
「君たちは自分たちがやりたいだけのプロレスをやっている。もっとお客さんのことを考えてプロレスをやりなさい」
と説教。
ササダンゴ「自分たちだけじゃなく、みんなが楽しめるプロレスをやるんだ」
須見「みんなが楽しめる…みんなで踊る?」
ササダンゴ「そうだ」
みたいにしてみんなで踊る試合。結局ベテランズが負けるんだけど。

ササダンゴさん、先月お父様がお亡くなりになったとツイートしてて、同じく今年父親を亡くした中小企業二代目としては他人事の感じがしませんでした。心よりお悔やみ申し上げます。


○第三試合 DAMNATION T.AvsSCHADENFREUDE International! 30分一本勝負

佐々木大輔&KANON&MJポー&イルシオン vs クリス・ブルックス&高梨将弘&アントーニオ本多&正田壮史

先日の新宿大会でシャーデンフロイデを裏切ってダムネーションに入ったイルシオンをめぐる遺恨試合…のはずだがアントンはいつも通りだった。
イルシオンに対しては同年代の正田がバチバチしてた。

イルシオン、メキシコのルード選手みたいな黒い邪悪なマスクになってて、いい感じ。
やっぱ若いうちに一度はヒールをやるべきですよ。
ただどうしても体格が一回り小さいので、それに見合ったヒールの動きをしないといけないですよね。
ディック東郷さんとかヤスウラノさんに教わるといいような気がします。

この試合のあと、12月28日両国国技館大会でプロレスデビュー戦が決まった俳優の桜庭大翔(さくらば はると)さんが挨拶。

イケメンであるがそれ以上に筋肉質な身体つき。端的に言えばガタイがいい。

2.5次元舞台『刃牙』で花山薫役やってるそうです。まじかよ。
写真見るとちゃんと花山薫だ!再現度すげえ!

そんな桜庭さんが快活に挨拶してると(ザ・ロック=ドウェイン・ジョンソンさんに憧れているそうです)ダムネーションがやってきて
「おうおう、おまえいいな。俺たちと一緒にやらねえか」みたいに勧誘したら桜庭さんカリスマと握手、写真撮影のときはあきらかに目つきがおかしくなり、そのままカリスマとKANON一緒に帰っていきました。
いいね役者さんは、ああいうのができて。
しかしデビュー前からヒールになることが決まってる選手って過去いただろうか。


○第四試合 30分一本勝負

遠藤哲哉&飯野雄貴 vs 秋山準&石田有輝

トップどころの中に一人若手が混じるこういう試合って90年代全日本プロレス&00年代NOAHぽい。
むかしよく見ました。
天龍、ハンセンvs鶴田、小橋とか(89年だったかも)、小橋、秋山vs三沢、志賀賢太郎とか、そういうマッチメイク。
若手がビシバシやられて、そこから奮起するのを見る試合。

今回のこれも石田がガンガンやられるのかなと思ったらそうでもなく、普通にやったりやられたりして、普通に飯野に負け。
うーん。令和だとああいうシビアなのやらないのかな。
成長になると思うんだけど…どうなんですか秋山さん。

って思ってたらいつでもどこでも挑戦権を持ったMAOが乱入、飯野のDDT UNIVERSAL王座に対して使用を宣言、緊急試合!


〇EXTRA  DDT UNIVERSAL選手権

<王者>飯野雄貴 vs MAO<挑戦者>

石田を圧倒した飯野がテンション高かったのでその勢いで押し切るかと思ったが、一進一退になった末にMAOが居合蹴りでカウント3。UNIVERSAL奪還!

いやーびっくり。飯野、勢い出てきたので長期政権になるのかと思ったけど、MAOのもとに戻っていきました。
これはこのあとどうなるんでしょう。


○セミファイナル DDT EXTREME選手権試合~nobodyknows+ルール 60分一本勝負

<王者>彰人 vs 男色ディーノ<挑戦者>

試合前に9つの勝利条件・NGムーブがビジョンで発表されて、試合前に抽選をひいたレフェリーがその中のどれか1つを採用。
その勝利条件をクリアした選手が勝者、またはNGムーブをした選手が敗者となる。
なお、採用された勝利条件・NGムーブは選手・観客などレフェリー以外の誰にも明らかにはされない、というルール。ややこしい。

ビジョンには『場外カウント3』『セコンドクラッシュ』『ハク(ディーノさんの愛犬)とお手』とかいろいろ項目が出るが、そもそも『ハクとお手』をすると勝ちなのか負けなのかもわからないし、それが今回の試合のルールであるのかもわからない。だからややこしいって(2回目)

二人とも試合しながら「これはセーフ?」「これは?」みたいにおそるおそる。
『フォール1カウント』『ロープエスケープ禁止』とかあるので、何がアウトなのか戦ってる選手もよくわからない。

ビジョンにあった『3カウント後告白』というのがあって、むかしこの二人が同ルールで試合したときにそれが採用ルールだったので今回もこれが臭いなと思ったら3カウント奪った彰人が「いかに自分はディーノさんをリスペクトしてるか」を長々とスピーチ。
なんか無理矢理感動系に持ってってるな…と思ったらゴングが鳴って、レフェリーがディーノさんの手を上げる。
「?」と思ってたら試合のルールは『英語禁止』だったそうで、彰人がスピーチの中で英語使っていたそうです。そんなの気がつかないよ!
めんどくさいルールだった。

なんかこう、彰人はディーノさんのことを尊敬してるしてる言い過ぎな気がします。
そういうのはこっそり秘めておけ。そして「ここ」というときだけ使え。あんまり言い過ぎると食傷して「知らんがな」という気になるし、言葉の信憑性が落ちる。
彰人はきっとこれからDDTをまとめる立場になっていくのだろうから、「自分の思いを全部しゃべろう」という欲求は抑えた方がいいと思います。

○メインイベント KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負

<王者>青木真也 vs HARASHIMA<挑戦者>
※第83代王者2度目の防衛戦。

上野からベルトを奪取、遠藤を相手に初防衛した青木真也の二度目の防衛戦の相手はHARASHIMA。
「好きで、尊敬しているからこそ一度潰す」と表明した上野戦、間に中嶋勝彦を挟んで「強さ」を問うた遠藤戦と比べると比較的ノーテーマで、シンプルに「どちらが強いか」というタイトルマッチ。

今日までに二人がぶつかる前哨戦は2試合あり、グラウンドでイニシアチブを取り合うような攻防が見られ、HARASHIMAが青木と渡り合っていた印象が残った。

今日も二人は試合序盤、グラウンドでの攻防を見せる。
プロレスのタイトルマッチにおける試合序盤のグラウンドは多くは関節技、絞め技で相手のスタミナを奪いつつダメージを加えていこう、という文脈で行われる。
が、青木とHARASHIMAはたびたび「抑え込み」の攻防を見せた。
相手の肩をつけてカウント3を奪おうとする、相手の身体をコントロールする技術のせめぎ合いだ。

プロレスラーとしての青木真也という選手は非常に謙虚で、貪欲である。
一級品の関節技の技術を持っているのだからもうそれだけである程度食っていけるはずだが、プロレスの細かい技術も吸収しようとする。
なのでプロレスを続ける中でトペ、フライングニードロップ(アントニオ猪木のフォームにそっくりだ)、パイルドライバーといった純プロレス技を見に付けた。
そしてもう一つ青木が追求したのがプロレス特有の「相手の肩を3カウント分マットにつける」技術だ。
古くはマイティ井上、最近だとザック・セイバー・ジュニアが使う欧州式エビ固め、ヨーロピアンクラッチホールドという抑え込みの技を2年くらい前から青木も使うようになった。
本人が興味をもって練習しなければ身に付かない技だ。

青木はそうやって「相手の肩をマットにつける」技術を身につけながら、多くの試合でフィニッシュには関節技を使った。
その方が説得力があるからだ。
今日の試合でも青木は試合の佳境で絡み付くような卍固め、チョーク気味のスリーパーホールドを出すがHARASHIMAは脱出。
HARASHIMAはそこからその場跳びの反撃の蒼魔刀を出すがカウント2。
さらには距離をとって走り込んで…と行こうとしたところでHARASHIMAのバックを取った青木はフルネルソンの態勢に入り、相手の身体が前傾になるように沈め、横に倒す入り方で相手の肩を三秒間マットにつけるフォールの仕方でHARASHIMAからカウント3を奪った。
最近のプロレスでは見ないようなフィニッシュ。

それを見て、青木はほぼ毎日更新してるnoteでこう書いてたのを思い出した。


「SNSを見ると『HARASHIMAがグランドで渡り合えるのが凄い』と評されていて、グランドで対等になってしまったら勝ち筋が見えない一点突破型の僕としてはピンチ &屈辱であります」(2024.10.19)

「屈辱」という言葉の裏に、「本当に(HARASHIMAとの)グラウンドでの技術が対等だと思ってるのか?」という怒りが秘されているように思った。
あの抑え込みの裏にはDDTをリスペクトしたその上で「対等ぽくやってるけど、こうやってだって俺は勝てるんだよ」という青木のプライドが見えたような気がした。
ちょっと、HARASHIMAとの差を見せつけてやろうという気持ちがあのフィニッシュには見えた。
それは清廉潔白な人が増えてしまったプロレス界の中で良い「異物感」になってるように思うのだ。
青木真也、謙虚だけど恐ろしいチャンピオン。

と、そこにいつでもどこでも挑戦権を持った勝俣瞬馬が登場。
メイン終わったばかりの青木にいつでもどこでも挑戦権を行使。一大会2度目のいつどこ緊急試合!

〇EXTRA2 KO-D無差別級選手権試合 60分一本勝負

<王者>青木真也 vs 勝俣瞬馬<挑戦者>

疲弊している青木に対して勝俣は早々にラッシュ。
それを返されると場外戦を挟んだあとレゴブロックを投入、ハードコア風味な展開に。

この時点で「これは青木防衛なんじゃないかな」と思ってしまった。
というのは、いつでもどこでも挑戦権を使った緊急試合で挑戦者が勝つのは前の試合のダメージが回復しないまま勢いで押し切った試合がほとんどなわけで、スローダウンして「自分のやりたいことを全部やる」だとだいたい負けるイメージが強かった。
勝俣はギガラダーを使った場外スプラッシュなども見せるが、最後はHARASHIMA戦と同じフルネルソンからの抑え込みで3カウント。
青木、強い…!
勝俣が手のひらで転がされていた。

2試合戦って疲労困憊の青木の前にさらに登場したのはクリス・ブルックス。
青木にあなたは強い、けれどDDT愛を一番持ってるのは自分だ、として11月4日墨田区大会での挑戦をアピール、
「愛が一番強いのは知ってる。おまえの愛に立ち向かう」と青木が受託、タイトルマッチ決定。

青木、すごいなあ。
プロレスのフィールドで謙虚に、相手をリスペクトしながら自分の「勝つ技術」を披露して、現在のDDTトップどころ全員と戦ってる。
いったい誰が青木からベルトを奪えるんだろう。
そしてそれは年末の両国まで続くんだろうか。
芸能人プロレスデビューの話題で一般層の目を引きながら、今のDDTの本線はしっかりしたプロレスを見せている。


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