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ね:年賀状の代筆

あいうえお回顧録 ね 年賀状

今年もまた年賀状を準備する季節がやって来ました。
年々、年賀状を用意する人は減って来ているそうで。まあ時代を考えればさも有りなんと私も思うわけですが。
私は用意する派です。伯父伯母叔父叔母へ、あちらの世代的にやはり年賀状を出しておいた方が良いかなと思う打算的な気持ちと、友人達から届くのが楽しみなのでと言う純粋な気持ちからです。
今年も親経由で実家の配達員さんから年賀状を購入したので取り合えず一安心。後は宛名書きと裏面の印刷だけ(それが大変)
夫は年賀状にはノータッチなので私が頑張る(笑)

そして、この時期になると毎年思い出す出来事が有ります。
あれは今から10年程前。まだ結婚して2年ぐらいの頃だったと思います。
その年の私は年賀状を郵便局で購入しました。その時の事です。
年賀状を無事に購入し、帰ろうと外に出たら目の前の道を乳母車(昔ながらのじゃなくてイスに車輪が付いたカートみたいなタイプ)が横断中。
乳母車「だけ」が横断中。
おそらく郵便局の中に居たおばあさんが持って来た乳母車で、入る時に歩道に置いて行ったのだと思います。
注:田舎なので盗まれる心配はほとんど有りません。
歩道が若干、坂になっているので勝手に動き出してしまったよう。
危ない危ない、事故にならなくて良かったと思いながら道を渡って乳母車を取りに行き、戻ってくるとおばあさんが乳母車が無くてオロオロしている最中でした。
急いでおばあさんに乳母車を取って来た事を伝えると、勝手に道を渡って行った事に驚いてすごく謝ってくれました。もちろんお礼も言ってくれました。
取り合えず、事故にならなくて良かったね~と言って帰ろうとしたらおばあさんに懇願されたのです。
年賀状を代筆して貰えないかと。
ええっ!?てなりますよね。ご老人に何か頼まれたら大抵の事は良いですよって手伝う私でもちょっと二の足を踏みました。
だって私、あんまり字が上手じゃないんですよ。ものすごく下手って程でもないとは思うのですけど、頼まれて代筆するほどの腕前じゃない。
ので、速攻辞退しようとしたんです。
でもおばあさんが何度も懇願してくるので根負けしてしまって、取り合えず1枚書いて、私の字でも良かったら書くねと答えて郵便局に戻り、文字を書くスペースに行って書いてみました。
おばあさんは私の字をいたく褒めてくれて(多分お世辞/笑)是非お願いと言われたので8枚代筆しました。
おばあさんは家を出る時から代筆を誰かに頼む気満々だったのか、何となく持って来たのかは分からないけど去年届いた年賀状を持って来ていたので、それを見て書きました。
書いている最中に色々と謎な事があって、去年届いた年賀状はおばあさんの旦那さん宛。差出人は親戚と友人。
代筆する年賀状の差出人は旦那さんの名前。
「旦那さんは見ず知らずの私の字の年賀状で大丈夫なのかな?」と聞いてみたら、旦那さんは既に亡くなっているのだそう。
えっ!?てなって、不躾だとは思ったけど亡くなった事を伝えなくて良いの?と聞いたら、大丈夫と。
他所様の事なのでそれ以上は聞かず、黙々と8枚の年賀状の宛先と差出人の住所名前を書き上げました。
ちなみに裏面は郵便局に置いてある干支のスタンプを使いました。それも私が押した(笑)
郵便局員さんには、つい先程ほぼ同時に来て別々に用事を済ませて帰った私達が一緒に戻って来たので祖母と孫だったのかと勘違いされました(笑)そりゃそう思うわ。
年賀状はその時に投函して帰ったんだったか、まだ投函時期じゃなくておばあさんが持ち帰ったんだったかは覚えがないのですが、とにかくおばあさんがとても喜んでくれたのを覚えています。私も嬉しい。
おばあさんの家と私の家は正反対なので自宅まで送ったりはしなかったけれど、差出人住所として何回も何回も書いたので住所は何となく覚えてしまっていて。
翌年、おばあさんが困っていないか気になって訪ねてみようかとも思ったのだけれど流石にちょっとやり過ぎだよねと思い留まって。
今となっては住所も完全に忘れて行って。
それでも毎年この時の事を思い出しては、おばあさんは無事に年賀状を用意出来たかなと思いを馳せる私なのです。

年賀状を投函するのは毎年クリスマスの日が目安です。
私もあと数年で50に手が届く歳になって。有難い事に両親は健在ですが、いつ何が有っても不思議はない年齢です。
特に私は年の離れた3人兄妹の末っ子なので当時にしては高齢な親の元に生まれています。
だからこそ、年賀状をポストに投函する瞬間、両親が健在である事に感謝するのです。
どうか今年も無事に投函出来ますように。

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