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み:道をよく聞かれる話

あいうえお回顧録 み 道案内

今は地元である田舎に引きこもって主婦しているので滅多に無いのですが、仕事で名古屋まで通勤していた頃はよく道を聞かれました。
一説によると道を聞かれやすい人と言うのは若干ヤボったい外見の人が多いのだとか。警戒心を抱かせない、無下に断られない、そう言う雰囲気が有るのだそうです。
必ずとは言えないのはもちろんだけど、私に関してはすごく当てはまる!おしゃれな方では全く無いです。
ヤボったいと言うのは言い換えれば威圧感が無いと言う事なのかも知れません。
北海道に旅行に行った時、札幌のホテルでフロントの方に教えてもらったラーメン屋さんにフラっと出かけた帰り道、軽装だったせいか観光客の人に同じラーメン屋さんの場所を聞かれたので、現地の人になり切って「あそこのラーメン美味しいよ!味噌がオススメ!(さっき自分が食べて美味しかったから)」なーんて言って教えてあげた事も有ったなぁ(笑)

聞かれた時の事を1つ1つ全て記憶しているわけではないのだけれど、中でもはっきり記憶しているのは英語圏の観光客の人に聞かれた時の事です。
その時は仕事上がりで、聞かれた場所はなかなかに人通りの多い名古屋市広小路通り栄の交差点付近。聞かれた先は1キロ程離れた場所に在る伏見のヒルトンホテルでした。

日本語での道案内としては「この道をまっすぐ15分ぐらい歩いて左手側です」と言うだけの文章です。
でも学生と言う立場を卒業して十何年の上、普段から英語とは一切縁の無い生活をしていた私は目の前のいかにも欧米人と言う感じのキラキラしたお姉さんに頭が吹っ飛び、英単語が何も出て来ません(聞き取る事は出来た)
書く物も持っていなかったため地図を書く事も出来ず、困った末に私はその観光客のお姉さんと一緒に歩いてホテルまで連れて行ったのでした。
少し時間が経つとややテンパった頭が戻って来たのですが、私に話せるのは中学で習った微かな記憶の「Where are you from?」ぐらい。
シンガポールから来たとニコニコ答えてくれたけれど、シンガポールの知識はマーライオンぐらいしか無く、更には尋ねて話を膨らませる英語力も持たない私にはそれ以上の話が出来ず……。
そこで無言での歩行になると思いきや、詳しい経緯は憶えていないのですが、私と彼女は自分達の携帯を見せ合いながら万国共通の「うちの子(ペット)可愛いから見て!」を繰り広げながら歩いたのでした。彼女のワンコはとても可愛く、うちのハムスターの事もとても褒めてくれました。
ホテルの前まで送り、グッドラック!バイバイ!と言って別れた彼女は元気かな。

その経験を踏まえて、簡単な道案内に使う英語ぐらいは覚えておかないとと痛感したのでした。
本当に緊張すると人ってびっくりするくらい頭の中が真っ白になってしまうんですよね。当時だって、真っすぐ=ゴーストレートとか、2番目の信号=セカンドシグナルとか、文法はともかくとして落ち着いたら簡単に出て来る単語がまあ~~出て来ないったら出て来ない。
次に観光客の外国の人に声を掛けられても落ち着いて教えられるようにと心に決めました。

その後、特に道案内特化型英語力(何じゃそら)を発揮する機会は無いまま嫁ぎ、約5年ぶりに名古屋へ買い物に行った時の事。
久々の遠出だったのにピンポイントでやっぱり聞かれました。念願の!?外国の観光客の人に!!
その時も人通りの多い交差点にいたのに、まるで吸い寄せるように私に向かって来たのです。
その時に聞かれた場所は私が名古屋と縁遠くなってから出来た大型商業施設で、実際に見た事は無いけれど場所は聞きかじって知っていました。
ちゃんと英語で教えてあげられたし、別れ際に「日本での旅行を楽しんでね!」と、以前のグッドラックよりは少しだけ複雑な挨拶が出来ました。

それが既に10年程前のこと。
最近はそう言う機会が無くて寂しいです。
うん、そう言う機会は無いのですが、近所のスーパーでおばあちゃんに「お味噌はどこにあるかしら?」「お味噌こちらですよ~」と連れて行った事は有ります。
店員さんと間違われたのか客だと分かっていたけど聞かれたのかは今も謎です(笑)

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