そだてる、そだつ
見に行った試合は、数えきれないほどあった
サーバーでビールを注いでもらっている母を横目に
お菓子とおつまみを黙々と食べながら
スタジアムでマリノスを見ていた
夜ご飯のテレビは基本ダメだったけど
サッカーの試合がある日だけはテレビが許されてた
21時以降は大人の時間 と寝かされてたけど
深夜のサッカーの夜更かしや早起きはOKだった
サッカーのルールは覚えていた
ポジションの役割も選手の特徴もオフサイドも
いつの間にか知っていた
1番古い記憶はボンバー率いるジーコJAPAN
初めて好きになった選手、玉田圭司と小野伸二
W杯代表メンバーは
友達に断って学校から1人で走って帰って
会見の生中継を見ながら母に電話で実況した
ヒデが引退した時は泣き崩れたし
能活くんには本気で神が降りていると思っていた
本田さんとヤットさんのFKは何度も何度も見たし
駒野のPKは松井と同じくらい泣いた
長友のオーバーラップからの忠成のボレーは
録画したのをトリミングして、しばらくの間毎日見た
知らぬ間に知識や興味は親を超え、国を越え
海外移籍した選手を筆頭に
海外チームにハマり、海外リーグにハマり、
ニコ生の画質でも足癖で区別がつくようになった
中高時代に自費で購入したNumberは30冊を超えて
W杯は心の片隅でドイツを推すようになった
「明日の仕事何時に終わる?マリノスあるけど行く?」
誘われた母はなんだか嬉しそうだった
予定があるので…と早めに帰らせてもらったらしい
久々のマリノス戦は、ホーム最終戦の対浦和
後半に入る直前に、買ってくるわと言って席を立ち
念願のスタジアムビールデビュー
母はなんとなくしみじみしてた(気がする)
最終節まで分からなくなるのも、また一興
打倒フロンターレ、頑張ろうね、みんな!!!!!
すくすくと大きくなったこの趣味も、
元はと言えば母に連れられたマリノス戦だと思うと
同じ温度感でいることは、伝える力があるのだと
改めて思った
一緒に楽しむ時間が
思い出となり、教育となって、人を育んでいく
いま育まれた側として実感し
人を育てる側として気付かされている
勝ちきろう、マリノス!
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