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機械屋とメカトロニクス 2/2

こんにちは。イノカドです。

引き続きメカトロニクスを語っていきたいと思います。

4. 信号の伝達方法

前回は、機械の部品は簡単には減らせないと言うことをお話しました。ですが、「QCDの向上は出来ません」などと言ったら、その設計者はクビです。

どうすれば、部品数を減らし、かつQCDの向上が出来るのでしょうか?
これを達成すため、機械屋達は信号の伝達方法を根本から見直したのです。

従来(1950年代まで)、信号の伝達は、歯車やベルトのかみ合わせとベルトの摩擦などによって行われていました。

つまり、接触していなければ信号を伝達出来ないのです。さらに、入力から出力までの距離に応じて、部品数が増えます。逆に言えば、接触せずに信号を伝達できれば部品数を減らせるのです。

接触せずに信号を伝える、そんな魔法のような方法などあるのでしょうか?

5. 機械工学 x 電子工学

信号の伝達を接触なしに行う。そんな方法などあるのでしょうか?
機械工学の分野に引きこもっているだけでは、見つかりません。機械屋は、もっと視野を広げる必要がありそうです。

そこで、機械屋達は電子工学に注目したのです。なぜなら、電子部品は機械的な接触なしに信号の受け渡しが出来るからです。

電気部品は機械的な接触ではなく、電気信号によって動作します。歯車やベルトでの信号伝達を導線1本で出来るのです。この特徴を生かさない手はありません。

機械の中に電子部品を上手く組み込めれば、部品数を削減出来そうですよね。

電子部品の組み込み方を具体的に考えみましょう。機械はざっくりと、入力・信号伝達部分・出力の3つの部分に分解出来ます。これらのうち、信号伝達部分を電子部品に置き換えれば部品数を削減出来そうです。

もう一歩踏み込んで、入力や出力部も電子部品に置き換えることができれば、機械的な接触部分がなくなり、信頼性や保守性が向上するのでは無いでしょうか?

これこそがメカトロニクの発想です。ちなみに、メカトロニクスと言う言葉は1969年に日本で生まれました。

6. まとめ

まとめますと、QCDの向上のため、部品数の削減が重要になります。この要請に答えるために、機械部品が電子部品に置き換えられていきました。

これによって、機械と電子部品の融合が加速し、メカトロニクスと言う言葉が生まれることになりました。

7. メカトロニクスと日本

メカトロニクス製品(複写機・プリンタ・FAX・ハードディスクなど)は、高信頼性・低価格・高い量産性と言う特徴を持っています。

従来の機械製品は、メカトロニクス製品に到底かないませんでした。かつての日本企業は、メカトロニクス製品を武器に欧米のライバル企業を次々と打ち破り世界市場を席巻したのです。

メカトロニクスは、日本の60~80年代の成長を支えたキーテクノロジーだったのです。そして、我々の身の回りにある製品は全てメカトロニクス製品と言えます。

また、”Mechatronics”は日本で生まれた言葉ですが、現在では、世界で使われる言葉になっています。



これで終われば、ハッピーエンドでした。ですが、現実は甘くありません。皮肉なことに、メカトロニクス化により成功した日本企業にメカトロニクス化の脅威がブーメランとなって帰って来るのです。

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