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アーティスト紹介#5 JJ72

こんばんは。
ご覧いただきありがとうございます。

今回はアイルランド出身のロックバンドJJ72を紹介していきます。

V Festival 2001での"Oxygen"

経歴

デビュー・全盛期

JJ72は1996年にアイルランドのダブリンで、ボーカル&ギターのMark GreaneyとドラムのFergal Matthewsによって結成されました。

当初はベーシストが定まっていませんでしたが、1999年にHilary Woodsが加入・定着し、以降はこの3名で活動していきました。

1999年に活動の拠点をイギリスに移し、Lacota Recordsからシングル"October Swimmer"をリリース。この曲がBBC Radio 1のシングル・オブ・ザ・イヤーに選ばれると徐々に注目を集めます。

翌2000年、シングル"Long Way South"を同レーベルから発表するとこれがスマッシュヒットし、Glastonbury FestivalやReading and Leeds Festivalsといったフェスにも登場するようになります。

そして同年、デビューアルバムである"JJ72"をリリース(プロデューサーはMansunやSuedeの作品を手がけたIan Caple)。UKアルバムチャートで最高16位と新人としては上々なスタートを切り、ヨーロッパ、アメリカ、日本でのツアーを行うなど大きく飛躍します。

Top Of The Pops 2000での"October Swimmer"

翌2001年はMark Greaneyの喉の故障やFergal Matthewsのバイク事故といった不運が重なりますが、2ndアルバムの制作に取り組み、MUSEのサポートを務めるなどキャリアを順調に進展させます。

そして2002年にFloodをプロデューサーに起用した2ndアルバム、
"I to Sky"をリリース。全英アルバムチャート最高20位を記録し、イギリスとアメリカをツアーで巡り、さらなる飛躍を予感させました。

停滞・解散

2003年3月、「自分自身の興味を追求したい」としてベーシストのHilary Woodsが脱退。バンドはカナダ出身のベーシストSarah Foxを加入させ、活動を続行しました。

その後、2004年ごろからプロデューサーにKen Thomasを起用し、3rdアルバムの制作に取り掛かりますがこれが難航。当初2005年春のリリースを予定していたものの、何度も延期されてしまします。

さらにはMark GreaneyがライブのMC中でLacota Recordとの関係悪化について言及するなど、不穏な気配が漂います。

そして2006年6月、バンドは自身のオフィシャルサイトにて解散を発表
声明の中ではレコード会社との対立が解散の主因であるとし、会社を
「Shame on you !」と非難するなど非常に不本意な形での解散となったことが窺われます。

2005年、Wireless Festivalでの"Serpent Sky"

その後

解散後、Mark GreaneyはConcerto for Constantineというバンドを結成。Smashing PumpkinsのサポートやT in the Parkへの出演、EPのリリースしていますが2008年ごろまでにバンドは休止状態に入ります。

Concerto for Constantine以後は、ソロプロジェクトやBIMMでの教職など多彩な活動を行なっているようです。

Fergal Matthewsは解散後にノルウェーへ移住、Blodhevnというバンドで活動を続けました。

Sarah FoxはアイルランドのノイズロックバンドLlutherに短期間所属しましたが、その後はロンドンにてグラフィックデザイナーとして活動しているようです。

Hilary Woodsは脱退後しばらくは音楽から離れていたようですが、10年代後半に音楽活動を再開。これまでに4作のアルバムを発表しています。

また、2016年にはJJ72についてThe Irish Times誌のインタビューで言及しています。


音楽性・魅力

JJ72の最大の特徴はMark Greaneyのボーカルであり、バンドの魅力もこの点を中心に形成されていると思う。

彼はボーカリストとしてはまさに選ばれし者である。

彼は独特なその中性的な歌声で、時には聴く者に優しく寄り添うように、また時には爆発するようなエネルギーを込めて詩を歌い上げる。
特にライブでは過剰なほどに激しく、喉を潰すほどの唸るような歌声を聴かせる。その自分の手持ちを全て注ぎ込むような、己自身を火に焚べるようなどこか儚い姿に、私は心を引き込まれずにはいられない。

そのようなボーカルを最前に配置しつつ、バンドとしてのサウンドがしっかりと形作られている点が、JJ72の魅力であると思う。

JJ72解散後、2010年のライブでの"Snow"

1作目の"JJ72"においてはストレートにMark Greaneyの良さを引き出そうとしている曲作りが窺われる。また、当時のイギリスシーンではTravisに代表されるような、しっとりとした曲調を持ち味とするアーティストが隆盛していたが、そうしたメロディ重視の空気からの影響も多分に受けているのだと思う。
一方、2作目の"I to Sky"においてはより表現の幅を広げており、ピアノバラードと言えるような曲から、がっつりハードなロック調の曲まで取り扱っており、バンドとしての進化が見て取れる。
畢竟、3作目が日の目を見ることはなかったが、もし発表されていればどのようなアルバムになったのだろうか、想像は尽きない。

彼らのキャリアは何とも言えない形で終わってしまったが、それについても何となく首肯してしまうような、遠い昔に見た夢のように儚い魅力が、彼らの音楽にはあるのだと思う。

おすすめの曲

"Oxygen"

ストリングスを大々的に導入したドラマチックな1曲。Mark Greaneyの本領発揮といった爆発的な歌声とそれを支えるバンド・ストリングスサウンドの組み合わせが抜群。

"October Swimmer"

"Oxygen"と比較するとギターを中心としたバンドサウンドが強い。不穏でやや悲しげな歌詞を郷愁を感じさせるメロディーで歌っている曲。

"Nameless"

ピアノとボーカルで構成されたラブソング。温もりと儚さを全面に押し出している。

"Serpent Sky"

JJ72史上最も激しい曲と言える1曲。押し寄せるような、カロリーの高いハードなバンドサウンドとMark Greaneyの真に迫るような歌声が良い。

"Desertion"

しっとりとしたバラード系の曲。Mark Greaneyの人間離れした、歌声とも悲鳴ともとれるようなファルセットが魅力的。

終わりに

ご覧いただきありがとうございました。

今回は2000年代初頭のUKロックシーンに現れ、移りゆくシーンとレコード会社に翻弄されつつも輝きを放ったバンドJJ72の紹介でした。

今回の記事をきっかけにJJ72に触れていただく方がいらっしゃれば幸いです。
また、Mark GreaneyとHilary Woodsは現在も活動しているため、そちらもチェックしていただけると幸いです。

それではまた次回お会いしましょう。


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