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幸せだから笑う?笑うから幸せになる? ~笑顔で生きる~ その2

今日、あなたはどんな一日を過ごしているのでしょう?
体調は良く、おまけになんだかとってもツイている。嬉しいニュースをもらった。面白い話を聞いた。いいものを見た。おいしいものを食べた。そんなラッキーな一日かもしれませんし、あるいは体調がすぐれず、仕事に追いまくられ、計画が予定通りに進まないまま、ストレスフルな時間を何とかやり過ごしているのかもしれません。 


社会の中で、毎日さまざまな立場や性格の人々と関わりながら生きていれば、多種多様なハプニングやアクシデントに遭遇するのは当然のこと。何かのきっかけで蒔かれた不安の種は膨らみ、悩んだり、悲しんだり、怒ったり、傷ついたりするのも、ある意味では日常茶飯事です。そしてそれらをすべて避けて通れる人というのは、おそらくこの世には存在しないでしょう。
それでもたいていいつも笑顔で、幸せそうで、何も困ったことはない、何も悲しいことはない、というふうに見える人が確かにいます。しかしだからといって、「あの人には悩み事や心配事なんて何もないんだ。いいな、幸せなんだな。それに引き換え私は…」などと考えるのは、いささか短絡的すぎます。あなたの悩みとあの人の悩みは違う種類のものかもしれませんが、実際にあなたがあの人の立場になってみたら、夜も眠れないくらいに悩み苦しむような状況が、そこにはあるかもしれません。


しかしあの人がいつも笑っているのは、それがはたから見てどんなに辛い状況であったとしても、自分は不幸せだとは思っていないからです。悲しみや苦しみ、ストレスを感じることはあっても、そのために心がまっ黒に塗りつぶされてはいないからです。


福が来たから笑うのではなく、笑顔のあるところに福が来る、という話を前回少し書きましたが、そもそも「笑う門には福来る」ということわざがあるということは、昔から多くの人が「笑顔」や「笑い」には幸せを呼ぶ効果がある、と感じていたということです。近年ではさまざまな研究によって、それが科学的にも立証されるようになってきました。


もっとも有名なのは、笑いがナチュラルキラー(NK)細胞の働きを活性化する、というものです。笑いによって活発に働くようになったNK細胞は、がん細胞やウィルスを次々に攻撃し、私たちの体をがん細胞やウィルスから守ろうとしてくれますが、反対に悲しみやストレスなどのマイナスの感情を受け取ると、NK細胞の働きは鈍くなり免疫力は低下してしまうのだそうです。
もちろん、免疫力はただ強ければいいというものではありません。しかし笑いには、免疫システム全体のバランスを整える効果もあり、自己免疫疾患など、免疫異常の改善にもつながることがわかってきました。


そしてそのほかにも、笑うことによってアルファ波が増え、脳がリラックスする、大脳皮質に流れる血液量が増加して脳の働きが活発になる、新陳代謝が活発になる、交感神経と副交感神経のスイッチが頻繁に切り替わることで自律神経のバランスが整う、エンドルフィンが分泌されて痛みを軽減する、食後の血糖値の急激な上昇を抑える、などの効果まで認められ、病気の治療や予防法としても注目されるようになってきました。


そしてその効果を、体と心で実感している人も世界中に増加中。今から約20年前にインドの医師、マダン・カタリアと、ヨガの熟練者であるその妻、マヂュリーが、わずか5人のメンバーで始めた、大声で笑うだけのヨガ(ラフターヨガ)は、今や世界73カ国以上に広まり、1万以上のヨガクラブが定期的に活動を行っているのだそうです。


しかし同じような活動をもっと以前から行っている場所が、日本にもあるのです。それは東大阪市の生駒山中腹に立つ、枚岡神社です。アメノコヤネノミコトを主祭神とするこの神社では、神々の笑いでアマテラスを岩戸から引っ張り出した「天岩戸」神話にちなんだ「注連縄掛神事」、別名「お笑い神事」と呼ばれるユニークな神事を、なんと江戸時代より前から行っています。


毎年12月の後半、神社に集まった白装束の氏子が新しい年を迎えるための新しい注連縄を作ります。それを掛け替え、お祓いが終わると、宮司が境内に詰めかけた人々の前に静かに進み出ます。そしておもむろに「あっ、はっ、はー!」と大きな一声。すると詰めかけた参拝者が「あっ、はっ、はー!」と応えます。「あっはっはー!」「あっはっはー!」この儀式を3回繰り返した後、フリートークならぬフリーラフの開始です。微笑むのではなく、思い切り口を開けて、お腹の底から大声を出して笑うのがお約束。境内に響き渡る盛大な笑い声は、なんと20分もの間続きます。


人はわけもなくそんなに笑い続けることができるのでしょうか?それができるのです。ここで再び「笑う門には福来る」です。楽しいから笑うのではなく、笑っていると楽しくなるのです。笑うことで福を招き、新年の開運を願うこの行事は、東大阪市の無形民俗文化財にも指定されているのだそうです。


さて、あなたは今日何回笑顔になりましたか?そして何回「あはは」と声を出して笑ったでしょうか?


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