いなふく先生の見る見る瞑想

初めていなふく先生のところへ行った時、私は父への恨みを持っていました。父のせいで、痴漢に遭っても、男性から迫られても拒否できず、体調を崩して苦しんできたことや、お風呂屋さんでの一件も忘れていなかったからです。

いなふく先生は最初に、問診とオーリングテストで、両親のどちらつながりの子かを見ます。父か母か、どちらか一方とのつながりでこの世に生を受けるらしく、私は「父つながり」でした。言われなくてもわかっていました。先生に「父を恨んでいる」とは言いましたが、先生はこちらから積極的に話さない限り、どのように?とか、なぜ?とかは、一切、訊かれません。患者さんの話に耳を傾けられることはありますが、あまり長いと途中でぶち切られるし、基本的には現象として現れたエピソードに先生は全く興味がありません。全てが「不調和波動」として、一括りにされ、あまりウダウダ繰り言を言っていると一喝されてしまいます。笑

先生の誘導で、先生と軽く手をつなぎ(現在は感染症対策で、患者さんの膝の辺りにそっと手を添えられます)、先生の左目を見ながら「両親に感謝」とつぶやき、両親に感謝の念を送ったら、漫画のようなイメージが見えました。

私は父親への恨みをうす汚いズタ袋に入れて、引きずり歩いてきました。いなふく先生の背後に見えた大きな山から、川が流れてきて、ズタ袋を呑み込もうとしました。水の流れに抵抗し、ズタ袋を決して手放すまいと必死で掴んでいた手をパッと放すと、ズタ袋は私の背後に流れていき、遠くに離れて小さくなって、すぐに見えなくなりました。その瞬間、胸が温かくなり、そこはかとない幸せを感じて、笑いがこみあげてきたので、実際に声を出して笑ってしまいました。その間、ほんの2秒ぐらい。一瞬のできごとでした。

ズタ袋という過去をわざわざ掴んで、いつまでも持ち歩いているのは自分自身に他なりません。要らないものは手放せばいいだけなんです。文字通りに手放せば、どこか見えないところへいってしまい、目の前から無くなります。すると、過ぎ去った過去となり、影響を受けなくなります。思い出そうとすれば思い出せる程度で、「どうでもいいこと」になるのです。

漫画みたいにその様子が見えたのが面白くて、今でも鮮明に憶えていますが、終わってからの方がもっとすごかった。それ以来、暗闇で、光が見えるようになったのです。ご先祖さまの愛の光か、天使の光です。空気のように見えないけれど、私たちを取り巻いて、いつも守ってくれています。赤、白、青、黄と色を変え、びっくりするぐらい明るく煌々と光りながら、ゆらゆら舞うのが見えます。光を見ていると身体の痛みも不安も何も感じなくなり、「大丈夫」と思えるのです。

いつも見えるとは限りません。心が薄汚れてささくれ立ったりしていると光は出て来てくれないので、自分の心理状態のチェックになります。

その体感があまりにもすばらしかったので、先生の大阪治療会の世話人をさせていただくようになりました。私の体験はこうでしたが、人それぞれにいろんなことが起こるので、何が起こるかわかりません。その場で身体が押し倒されたり、終わってからプリズムみたいなのが見えたり、先生から大きなカミナリを落とされたり…。治療中の先生の言葉は、ひょっとして患者さんのご先祖さまが言わせているのかな?と思うことがあります。

統合失調症や発達障がいの方の治療は、まるで手品のようです。不調和波動を子どもに流している親御さん(どちらか一方の親)に先生が見る見る瞑想を伝授すると、隣にいるお子さんが一瞬で治ります。幻聴が消えて、「実況中継が消えた~!」と喜んで叫ぶ人もいるし、人の目を見ることも言葉を話すこともできなかったお子さんが、「はい」「消えています」「楽になりました」と先生の問いかけに応答し、ニッコリ笑って、見違えるような明るい表情で、帰っていかれることもあります。

問診で患者さんの話を聞きながら、「娘がそうしたのは、あんたと父親との共依存を断ち切るためだ! あんたは薄々、わかっているだろう。自分をごまかすな!」と、それまでの話のどこからそんなことがわかるのか、驚くこともしょっちゅうですし、「嘘笑いをするな! 心では他人を拒否しながら、嘘笑いして、あんたの家では、爺さんの代からずっとそうやって生きてきたんだ!」と、ものすごい勢いで叱り飛ばしたり。
「あんたの場合は、治りたくない病だな。本気で治りたくなったら、また来なさい」と、途中で治療をおやめになることもあります。

「寄り添う」とか、「ありのまま受け容れる」とか、そういう流行りのカウンセリング手法とは真逆なので(必ずそうとは限らず、あくまで相手によって異なりますが)、精神疾患というものは、「甘え」が大いに関係しているのか、その「甘え」の部分を不動明王の刀で断ち切り、大声で諫めて、目覚めさせないと、治らないこともあるのだろうと思います。大抵の患者さんは、先生の「かなり唐突な指摘」に最初は反発していても、話をするうち、受け容れて、スッキリして帰って行かれます。しかし、たま~に、最後の最後まで拒否して、ぷんぷん怒って帰る方もおられます。先生はそんな人からはお金を取らずに「あの人は何年もしてから、また来るよ。今日から気になって仕方がないはずだ」と、微笑みながら見送っておられます。

いなふく先生に診てもらいたい方は、ひょっとしたら怒鳴られるかもしれないことを覚悟で行かれた方がいいかもしれません。

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