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雑草にも役割がある~緑肥作物の間作を例に

まだ価値が見いだされていない植物」と雑草を捉えることができます。
ここでは、作物以外の植物が存在することで畑地の動物や土壌に及ぼす影響も考慮し、雑草の価値を考えてみたいと思います。


雑草にも役割がある~緑肥作物の間作を例に

換金を目的とした主作物以外の植物が畑地にあることは、主作物にとって害となるだけなのでしょうか。
主作物の栽培時に緑肥作物(イタリアンライグラスと赤クローバの混播)を畝間(通路)に栽培 (緑肥間作) して、適宜刈り取って敷き草に利用(刈り敷き)することが、主作物の収量や栽培環境にどのように影響するのかを検討しました(図1)。

図1 畝間(通路)にイタリアンライグラスと赤クローバーを間作

緑肥作物を導入(処理)することで、ミミズ類、クモ類、ヤスデ類、ムカデ類、甲虫類などの大型土壌動物群集が豊かになりました。なかでもクモ類やムカデ類などの捕食性動物が増加しました。餌となるさまざまな動物が棲息できるようになったからでしょう。

緑肥間作導入の利点

①栽培環境が多様になり、土壌動物の餌や生息場所として利用される有機物が還元されるため、土壌動物群集が豊かになること
②土壌動物群集が豊かになることで、有機物の分解が促進され、結果として主作物の収量が向上すること
③生物群集が豊かになることで、害虫の被害が軽減されること
土壌の物理性が改善されること
などがあげられます(図2)。
さらに、緑肥間作の導入によって、主作物が利用しない養分を緑肥作物が利用し有機物として畑地に還元することができます。したがって、緑肥間作の導入はより環境の保全を考慮した栽培法でもあります。

図2 緑肥間作が栽培環境に及ぼす影響

雑草が畑地で果たしている役割

緑肥作物を畝間に間作することでみられた利点は、雑草が畑地で果たしている役割と考えられないでしょうか。
雑草と栽培管理の一環として導入できる緑肥作物は異なります。しかし、異質なものが畑地に組み合わさるとことで、単作・効率化を追求した栽培とは異なった発想が生まれると思います。

参考文献

藤田正雄(2006)畑地雑草の価値を見いだそう.ながの「農業と生活」, 43(6):29-30.

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