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農業に向く人って、どんな人?

有機農業による新規就農(独立就農)は、簡単なことではありません。
農地の生きものが織りなす様々なできごとへの観察力とその対応や、農地や作物にあった土づくり、栽培時には病害虫や雑草への対応も必要です。しかも、収穫物を生活の糧にするには消費者も探さねばなりません。
しかし、農業は苦労が報われる楽しい営みでもあります。


自分に合った経営スタイルを探すことの難しさ

農業には、少量多品目栽培から品目を絞った小・中規模栽培までさまざまな営農スタイルがあります。
農業を始める前に、どのような経営を目指すのか、栽培品目は何にするのか、就農地は、販路は、公的支援の活用は、などなど。
就農までの課題は山積みです。

しかも、市町村の就農相談窓口では、技術は都道府県に、販路はJAに、農地は近隣農家の理解がなければ借りれないと言うように、有機農業での就農を後押しできる相談が出来ないところがほとんどです(オーガニックビレッジ宣言をしている市町村も増え、少しがは良くなっていることを願っています)。

研修受入先との出会いがカギ

就農希望者にとって研修受入先は、農作業を通して農業のコツを得るためだけの場のではなく、理論と経験に裏打ちされた確かな技術力と就農希望者の将来を見すえた伝える力が求められます。

研修受入先と合う、合わないは、研修希望者によって異なります。
Aさんに取って良かった研修受入先が、必ずしもBさんに取って良いとは限りません。
したがって、就農希望者は受入農家と直接会い、納得の行くところで研修を受けることが必要です。

就農希望者に求められる資質

何より、学ぶ意欲、勤勉さが不可欠です。農業は誰にでもできる仕事ではありません。
「農業をバカにするな」と山下一穂(1950-2017)さん。山下さんは、就農希望者に有機農業を教える「有機のがっこう・土佐自然塾」の塾長として、多くの新規就農者を育成されました。
そして、農業体験に来た就農希望者のようすを見ると、農業に向いているかどうかが分かるとよく言っておられました。
たとえば、「草とりをしているとき、黙々と続けられる人は農業に向いている。しかし、回りに話しかけ、作業を続けれれない人は向いていない」と。

周囲の様子を気にせず、物事に集中できる人、たとえ一人になっても農作業を続けられる人が、農業に向いているということなのでしょう。

農業者は経営者である

農業で生計を立てる、農業を仕事にするのなら、作物を育てるだけでなく「経営者」としての視点が必要です。
自分に合った研修受入先のもとで、農業を生業としている人に接し、農業経営者としての自覚を体感することが大切です。
計画どおりには行かないことの方が多いとしても、就農への思いを具体的な計画に落とし込んだうえで、就農に踏み出すことが大切です。

地域の方々とともに、地域の住民として生きる

周りの農家はじめ地域の方々は、新規就農者の暮らしや畑のようすを良く見ています。
畑の野菜の出来が悪ければ、野菜を届けてくれたりもします。
そのとき、「私は有機農産物以外は食べないので、農薬や化学肥料を使った野菜は入りません」という態度で接すれば、その方は地域では暮らしていけません。
地域の方々とともに暮らすことを常に意識し、些細なきっかけを大切にして地域の一員となるようにしましょう
周辺農家の理解が得られれば、自分の営農スタイルにあった農地も借りやすくなります。

有機農業の世界を広げよう

農地や作物のクセを知り、経験を重ねるにしたがって収量も上がり、時間的余裕も出てきます。
安定して生産できるようになったら、消費者や地域の方々と農地での交流や研修生の受け入れなどを通して仲間づくりに取り組みましょう。
農業は地域の理解抜きでは成り立ちません。自分に合った活動を通して、理解者、仲間を増やし、有機農業の世界を広げてください。

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