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土の健康、作物の健康、そして人の健康

私たちヒトをはじめ、作物、土の健康について、考えて見ました。
食べものが氾濫している現代こそ、もう一度、五感をはたらかせ、本当においしい食べもの、からだが必要としている食べものを食べることが必要です。


健康なからだとは

単に体が大きく頑丈なだけではなく、日常的に起こるさまざまな変化に耐えうるからだの状態をいいます。それには、物を見たり、味わったりする五感をはじめ、体を動かすなどさまざまな機能が健全でなければなりません。

健康な作物とは

作物も単に収量が多いだけでは、健康とはいえません。生育過程で起こるさまざまな変化に耐える力があり、農薬で保護されなくても十分に育ってこそ健康です。すなわち、近代農学によって明らかにされてきた作物が育つ上で必要とされる最も効率的な(最高の)条件が、必ずしも作物が健康に育つ上で最適な条件とはいえないのです。

土の健康とは

土も健康な作物が育ってこそ、健康な土といえます。健康な土とは、本来そこに棲息する多様な生物のもつはたらきなくしては成立しません。一見、無秩序にみえる多様な生物の生活の集合体が、さまざまな関係を生み、結果としてさらに大きな秩序(生態系)を形成しています。農地においても、管理のしかたを工夫することで、多様な生物による生態系サービス(自然のめぐみ)をうまく利用することが可能です。有機農業の実践のなかに、そのヒントがあります。

ヒトの健康

当然、健康な土に育つ健康な作物を食べることが、人の健康にも寄与するに違いありません。ヒトの誕生は300~500万年ぐらい前といわれていますが、この間、ヒトの体は常に飢餓に対する備えが必要でした。したがって、どんな危機的な飢餓状態にあっても、なんとか生き残るようにヒトの体は反応してきたのです。とくに、糖分、脂肪、タンパク質など頻繁に出会うことができないものはおいしいと感じ、満腹になっても食べてしまうのです。

食べ物が氾濫した現代の食生活

飢餓に対する備えを必要としない私たち現代の日本人は、体が必要とするもの、いずれ必要になるであろうものを体内には十分あるにも関わらず、健康を害してまでも食べてしまいます。
すなわち、わずか数十年の間に生じた食生活の急激な変化に、私たちの体は適応していないのです。食べものが氾濫している現代こそ、もう一度、五感をはたらかせ、本当においしい食べもの、からだが必要としている食べものを取捨選択して食べる努力が必要なのです。
さらに、植物と同様、私たちヒトも最高の条件が必ずしも最適な条件とはいえません。たとえば、健康な体を維持するには、寒中に暖かい部屋でのみ過ごすだけでなく、北風にあたることも必要です。

追記

土と人間、地球はつながっており、全体を俯瞰して最適にする「プラネタリーヘルス」という考え方があります。
詳しくは日本農業新聞「時代は医食“農”源 健康な土を地域の宝に」(2024年3月9日)を参照ください。

地球の健康なくして、私たちが健康に暮らせるはずがありません。


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