クルド語«وێ»(/ö/[œɛ])の発音〜音声学と独仏土語の付け焼き刃で学ぶ

kuê (کوێ)「どこ」という単語が出てきた時、CDなどの音声を聞きながら、なんか独特の音だなあ、発音もうまくできないなあ…と違和感をもっていたのだけど。

最近入手した『クルド語入門』を眺めていたら、複合母音«وێ»というのを発見。

§9. 母音の発音   / ö / [œɛ]
フランス語 œil「目」の [œ] と lait [lɛ] の [ɛ] の複合母音. وێで表記される.  گوێ gö「耳」

縄田鉄男『クルド語入門』p6
縄田鉄男編『クルド語基礎語彙集』p[ix]

やっぱり単に2つの母音"u(و)"+"ê(ێ)"の羅列ではなかった…。けどこの説明を読んだだけじゃフランス語も音声学/言語学も知らないから、全然分からない(汗)
とはいえ非常にありがたい手がかりなので、自分なりに調べてみた。

発音記号で検索

まず"ö"で検索したら、ドイツ語のウムラウトというのが出てきた。フランス語、トルコ語などにも似たようなのがあるらしい。

また発音記号"[œ]"で検索すると、やはり同様にドイツ語、トルコ語、フランス語あたりにある音と出てきた。

YouTube検索

続いて、該当の言語を順次チェックする。東外大言語モジュールも一通り見てみたのだが何となくイマイチだったので、YouTubeで検索してみる。
(最近このパターンが多い…最近のYouTubeは収穫も多いし、動画だととっつきやすいし)

【ドイツ語|発音基本】ウムラウトを攻略!キュウリの中にÜが隠れている?

発音記号を検索した際にドイツ語が真っ先に出てきたので、つい思わずドイツ語から調べてしまった(汗)
ドイツ語ではこの動画が説明も丁寧で、実際の音の響きもよく確認できた。(öは9:50~)
とにかく口の形は「オ」で舌の位置を後ろに引いて「エ」のような響きにするようだと(他の検索結果も含めて)理解した。

#1【保存版】フランス語「全母音」の発音&正しい練習方法まとめ

個人的にはこのフランス語の母音を解説した動画が非常に良かった。([œ]は15:15~)
フランス語には大量に母音があるらしい(初めて知った汗)のだが、音声学でよく見かける台形みたいな図(?)とあわせて、個々の母音の発音を一つ一つ順番に教えてくれる。
この図や発音記号をよく理解できていない自分でも、図を見ながら説明と実際の音を聞いて一緒に発音していくと、なんとなくだけどより深く理解できたような気になる。

また[e]-[ø](口狭め)との比較で、[ɛ]-[œ]は若干口広めという説明も、発音に対する解像度が上がる。ドイツ語(またはトルコ語)だけ見ていたら分からない知見だった。

また脱線するけど[e](口狭め)-[ɛ](口広め)の対応は、クルマンジー方言の"ê"-"e"の対応に相当近いのでは…とも感じたりした。

トルコ語の動画はあとで見る(汗)

トルコ語は…調べても多分これ以上詳しい説明は出てこないだろうと思ってしまって(汗)
ざっくり東外大言語モジュール含めて検索したけど、調べた範囲ではどれも網羅的・概略的な説明だった。

音の響きは念のため追って精査しといた方がいいかもなあとは思う。地理的には仏独より格段に近いのだし、それだけ影響というか近いものがあるかもしれない…全然知らんけど…


以上、今回確認した知見を土台にして、少しでも自然で分かりやすい発音に近づけるように、引き続きボチボチ頑張っていきたい。
また今は全然よく分かっていない音声学/言語学の知識についても、こうした具体的な試行錯誤の積み重ねを通じて、少しずつでも理解できる素地を作っていけたらと思う。

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