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商人のDQ3【70】ボストン茶会事件

「エジンベアのやり方はあんまりです!」
「こうなったら革命を起こすしかなさそうだ」
「この話、他言はなりませんぞ!」

 商人の街のネーミングとして、鉄板のはんバーク。アメリカなだけに、後のマクドナルドである(ウソ)。

 かつてシャルロッテ一行の旅仲間だった、ソルフィンがグズリーズと共に発展させた街、ヴィンランド。
 その南に位置する、港町ボストン。ここはエジンベアの拠点のひとつで、植民地獲得を巡り他の列強諸国と戦争に明け暮れるエジンベアのかけた重税に反発する過激派のメンバーたちが、物陰から港の様子を見張っています。時間は、街の住民も寝静まった深夜。

「よし、見張りはいないようだ」
「やっちまおうぜ!」
「ボストン港をティーポットにしてやろうか!!」

 過激派の手で、次々と海中に投棄されてゆく紅茶の積み荷。満月に照らされた海が、血のようなアッサムティーの色に染まっていきます…!
 他の紅茶より1.5倍もタンニンを多く含むそうです、アッサムティー。

 翌朝、異変に気付いた街は上を下への大騒ぎ。イギリス東インド会社ならぬ「エジンベア東バハラタ会社」の関係者でしょうか、天を仰いで叫ぶ人の姿も。

「オーマイガー!!」

 一説によれば、このときの被害額は当時の相場で100万ドルとも。相当の莫大な金額だったでしょう。あまりの大きさに賛否両論分かれたとも。

 この事件以降、北米大陸の人々はコーヒー党になったとも言われます。

「なんだって! 過激派がボストンの港でやらかした!?」

 事件の知らせは、すぐにヴィンランドのソルフィンの元へも伝わります。

「ソルフィン、あたし前から思ってたんだけどね」

 ソルフィンと結婚し、彼の子を身篭っていた奥さんのグズリーズが。夫の顔を見て真剣な表情で言いました。

あんたはね、誰よりも暴力や略奪が嫌い。だからあのとき、エジンベアと争わずに税金を払う選択をした。けれどね…」
「ああ、エジンベアは他の列強諸国と植民地を奪い合うための金を求めて、俺たちから暴力を持って略奪しているに等しいな」

 ソルフィンもまた、矛盾に気付いていました。そこへ、街のまとめ役たるソルフィンを頼って大勢の住民も押しかけます。

「ソルフィンさん! もうエジンベアの連中とは、やっていけねぇ!!」
「こうなりゃ、ヴィンランド独立戦争だ!」

 暴力と略奪ばかりのバイキングから距離を置いて、大切な人と平穏無事に暮らしてきたソルフィンに。いま再び降りかかる、大きな試練

本当の戦士に、剣などいらない。まずはエジンベアと話し合おう」

 ソルフィンたちは、まずエジンベアと話し合う道を選びました。そして、シャルロッテたちにもエジンベアとの交渉を依頼しました。

 ですが、数週間後にエジンベア側が出した回答は…あまりに残酷なものでした。

「なんだ、あのデカブツは!」
「エジンベアめ、武力で押さえつけに来やがったか!!」

 海の向こうから、光の翼を広げた巨大なキラーマシンが無駄にカッコ良く飛んできて。ヴィンランド近くの海岸に着陸します。ダイの大冒険っぽい!

「人が操縦できるキラーマシンだと!?」

 人が乗って動かすどころか、空まで飛べます。鬼に金棒、虎に翼。たぶんドラクエのモンスター「ウイングタイガー」の元ネタ。

 北米大陸の西海岸にあるアミダくじの塔で、入り口を守るメタルドラゴンを見たことがあるソルフィン。その危険性は、彼も良く知るところ。

「やめろ! 古代アリアハンの遺産を戦争に悪用するな!!」

かつてアリアハンは全ての世界を治めていたのじゃ。
しかし戦争が起こって多くの人々が死んだ。
そして海の向こうに通じる旅の扉を封じ込めたのじゃ。

 この世界の黒歴史です。

 魔王軍も欲しがる、古代アリアハン超文明の遺産。この世界に残るキラーマシンは全て、アリアハンの技術で開発されたものです。それを一体どこで手に入れたのか。

「ハハハ! 国王陛下に仇なす反逆者ども。エジンベアの国家勇者アーサーと、その愛機キラーマシン・アルビオンが成敗してくれるわ!!」

 白いボディは、全て神の金属オリハルコン製。ところどころにゴールドの装飾も入って、無駄にゴージャスです。そして、イヤミな高笑い。

「まずいな、アレは。相手が悪すぎる」

 ソルフィンを、兄のように慕っていたシャルロッテ。もちろん彼女の冒険談を、彼も聞いています。アリアハンからロマリアへ向かう際に、いざないの遺跡でオリハルコンのキラーマシンに追い回されたと。

 お金に厳しいDQ3、序盤から容赦なさすぎです。

「どうした! ヴィンランドの勇者、侠気のソルフィンはいないのか?」

 アーサーの乗るキラーマシンから、ソルフィンを挑発する声が響きます。続いて、ベギラマ並みの威力がある左腕のボウガン型ビーム砲を空に向かって乱射。威嚇射撃ですが、街の上空を幾筋もの破壊光線がかすめます。

 一般人からすれば、この世の終わりでも来たような光景です…!

「きゃあぁぁ!」
「に、逃げろぉぉ!!」

 ヴィンランドの街の住人は、あわてて逃げ惑う始末。

「ソルフィン、どこへ行くんだい?」
「グズリーズ、夢渡りはできるな?」

 俺がヤツを引きつける。その間にお前は安全な場所まで逃げて、夢渡りでヴェニスのシャルロッテたちに救援を求めてくれ。

「死ぬんじゃないよ。お腹の赤ちゃんのためにもね」
「ああ。逃げ回れば、死にはしない

 ソルフィンとグズリーズの夫婦が、別れ際にハグを交わします。はたしてシャルロッテたちは、この危機に間に合うのでしょうか?


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