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商人のDQ3【7】ロマリア遺跡とフリウリ村

「ここは、フリウリの村よ!」
「アリアハンから来たって?聞いたことない街だべさ」

 旅の扉を潜り、アリアハンから脱出を果たしたシャルロッテとクワンダ。長靴の形をした半島を北上すると、東のあたりに小さな村を見つけます。

 現実世界のフリウーリは、こんなところです。イタリア政府観光局のホームページ。サイゼリヤのフリウリ風フリコは、ここの郷土料理がモデル。


https://visitaly.jp/region/friuli-venezia-giulia/

 さっそく、ふたりは村で聞き込みをします。モンスターを倒しても基本、直接お金にはならないので仕事探しも兼ねながら。

東には恐ろしい怪物が…。まず北に旅立ち腕試しをするが良かろう。

 見張り番の兵士の話によれば、フリウリ村からさらに東へ進み、橋を渡って南下するとアッサラームの街があるとのこと。以前は交易商人が護衛を連れてよく訪れてきたそうですが「モスマン帝国」の軍に占領されてからは、人の行き来が途絶えてしまったといいます。

「南にあった遺跡?あそこには昔、ロマリアって国が栄えてたらしいな」
「おっきな闘技場や、テルマエ温泉があったんだって!」

 子供の話を聞いて、シャルロッテが思案しています。

「どうした?」
「もし、そのと〜ぎじょ〜や温泉をふっかつできたら、いい感じのお金儲けになりまちゅね!」

 先日、いざないの遺跡からオリハルコンの壁をひっぺがして持ち帰ろうとしたことを思い出し、クワンダが顔をしかめますが。

「闘技場で鍛錬した後に、大浴場で汗を流すのも悪くないな」

 まずは、遺跡の調査や発掘に人手を雇うためにも元手が必要です。畑を荒らす獣やモンスターの退治なら、この村にも需要があるはず。そう思って、情報収集を続けると。こんな不思議な話を耳にします。

「フリウリ村は、ワインが名物でな。北の城塞都市カルカスの領主様にも、たいそう喜んでもらってるだ。『金のかんむり』の名前でな」
「でも、夜中になると悪い魔女が畑を荒らしに来るから。村の選ばれた男女が『ベナンダンティ』になって、作物の実りを守るのさ」

「な、なんでちゅと!?」

 これには、シャルロッテもびっくり仰天します。聞くところによると、フリウリ村の住人には、ときどき非常に高い魔法使いの素質を持つ者が生まれるといいます。

「あんたたちも『夜の戦い』に出てみない?魔女をやっつけるのに協力してくれたら、ワインの一本くらいは報酬であげるわよ」

 村の入り口で「ここはフリウリの村よ」と言っていた勝気な少女が、冒険者に好奇の視線を向けてきます。

「魔女といえば、魔王軍の中でも中堅レベルのモンスターだな。村人がそれと渡り合うなんて、相当の猛者ぞろいだぞ」

 実際、原作のドラクエ3でロマリアに到達したばかりのパーティが魔女と戦おうものなら、かなりの被害が出ます。ベギラマ連発で全滅の危険すら。

「ワインで『わらしべ長者』するために、まずは魔女をしばくでち!」
「やっぱりそう来るか」

 装備の強化にも資金が必要です。金策のため、シャルロッテとクワンダは「ベナンダンティ」たちの「夜の戦い」に加勢することにします。


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