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商人のDQ3【42】ぱふぱ…グワーッ!!

 一行がアッサラームへ旅立つ日の朝。シャルロッテが、じいさんの指に珍しいものを見つけます。いのきのゆびわ?

「あり? なんでちか、そのゆびわ」
「内緒じゃよ、特にばあさんにはのぅ」

人目を忍んで私に逢いに来てくれた事を嬉しく思いますわ。
何もしてあげられませぬが贈り物を差し上げましょう。
私の周りを調べてみなさい。

アントニオじいさんは足元を調べた。なんと祈りの指輪を見つけた!

 ちょ、おじいちゃん。ゆうべはお楽しみでした!?

 ラクダに乗って、いざアッサラームへ。ロマリアの西、バルセナの近くで知り合ったアルスラン王は、遠征から帰っているでしょうか。

「モスマン帝国の首都となったアッサラームには、赤月のオーブと呼ばれる秘宝があると聞きます」

 旅立つ前に、イシスの女王クレオパトラ27世は「レッドオーブ」についての情報をシャルロッテたちに教えてくれました。赤い月は、モスマンのシンボル。
 元のドラクエ3では、南米の海賊のアジトでどこにしまったか忘れられたお宝がこんなところに。原作でも、海賊たちがどこからか盗み出したものでしたね。この世界では、盗難被害にあわなかったのかも。

「モスマンの軍は精強と聞くが、魔王軍の密偵がアッサラームに忍び込んでいるかもしれんな」
「はやく、パープルオーブが奪われた件も知らせたほうが良さそうでちね」

 クワンダとシャルロッテが、顔を見合わせます。

「メラミ!」
「アームブリーカー! 往生せいっ!!」

 道中、行く手を阻んできたじごくのハサミをアミダおばばがこんがり焼き上げて、アントニオじいさんが組み技でハサミを折れば。美味しそうなロブスターのできあがり。もしや、関節技のダメージは呪文で防げない?

「あ〜、ロブスターおいち〜♪」
「カニがいるなら、水源も近くにあるな」

 予想外な砂漠の珍味を楽しみつつ、一行は砂漠を越えてアッサラームへ。クワンダのサバイバル術も大いに活躍し、歴戦の冒険者たちは嘘のように大きなトラブルもなく、目的地に到達しました。街についた頃には、もう日が暮れています。

「きょうはやどやにとまって、あしたおしろにいくでち」

 旅の疲れもあって、シャルロッテが宣言したそのとき。

あーら、素敵なお兄さん! ねえ、ぱふぱふしましょっ。いいでしょ?

 近くにいた踊り子姿のピチピチギャルが、クワンダとアントニオじいさんに声をかけてきました。シャルロッテとアミダおばばの視線が、ふたりに集まります。

「悪いが、他を当たれ」

 旅慣れた傭兵クワンダが、客引きらしき女性を軽くやり過ごしますが。

「じいさん! なに考えとるんじゃ」

 気が付くと、アントニオじいさんの姿が見えません。さっきのギャルに付いていってしまったようです。これには、おばばもあきれます。

ねえベッドに座っててね。明かりを消して暗くしてもいい?
はい ▶︎いいえ

 イシスの女王に夜逢いに行ったり、ぱふぱふの誘いに乗ったり。じいさんは今でも全然、現役みたいですね。

そんな意地悪いわないで、消すわよ……。

 明かりが消えた部屋で、謎の「ぱふぱふ」なる行為が。

✳︎「ぱふぱふ ぱふぱふ
アントニオじいさん「うぷぷぷふ

✳︎「ぱふぱふ ぱふぱふ
アントニオじいさん「こ、これは…

✳︎「ぱふぱふ ぱふぱふ
アントニオじいさん「き、気持ちいい……。

✳︎「どうだ、じいさん。わしのぱふぱふはいいだろう。

 リメイク版だと、ここで呪いの効果音が鳴ります。コーヒー吹きそう。

 ぱふぱふの相手が、ガタイのいいおっさんと気付いたアントニオじいさんは…お返しとばかり、即座にある行動に出ます。

「グワーッ! まいった!! だましたのは謝るッ!!!」

 出ました、アントニオじいさんの得意技「卍固め」。英語だと、グレイプヴァインストレッチ。ぶどうのツタが絡みつくイメージでしょうか?
 ぱふぱふおっさんに卍固めをかけながら、アントニオじいさんがキラリと歯を光らせながらいい笑顔で言いました。

「おぬし、いい身体しておるな。どうじゃ、プロレスラーにならぬか?」
「あ、あなたは…!?」

 なお、おっさんの娘も芸術的な卍固めが見られてご機嫌のようです。

「きゃ〜っ! カッコいいっ!!」

 後日、アントニオじいさんに弟子入りしたぱふぱふおっさんは才能を開花させ、アッサラーム夜の新名物「プロレス興行」の花形スターになったそうな。娘さんはラウンドガールになったと聞きます。
 男性はベリーダンスを見て、女性はプロレス観戦を楽しむのが新定番?

※ ※ ※

「おじ〜ちゃん、どこ行ってたんでちか」
「いや、思わぬところで有望な新人を発掘できてな」


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夢を渡る小説家イーノ
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