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DQ3を一生楽しむ7つのアレンジ術


「許せん!」「許してくれよ!」

公式設定以外、認めない。こういう原理主義が創作物をダメにします。
2021年に鳴り物入りで発表されながら、毎年5月27日の「ドラクエの日」に何も続報無し…を繰り返してきた、HD-2D版ドラクエ3。

開発が難航し、何の情報も出せない理由はなんでしょう。おそらく技術的なものではなく、どこまで原作通りにするか、どれだけ新解釈を盛り込むかのさじ加減が難しいからではないでしょうか?

どちらに傾き過ぎても、商業的に失敗する。気軽に個人の好きを追求できる同人活動とは全く別の悩みどころ。正直な話、数十年に渡り二次創作が星の数ほど作られたドラクエ3の「最大公約数」を求めるなど、無理でしょう。

だからこそ「次の叩き台」を出してく心意気が大事ですね。

2024年も期待しないでください。その方がダメージが少ないし、何かあればいいサプライズになるでしょう。どっちに転んでも、期待値は低めが吉。

勝手に育ち過ぎた期待がモンスターになって、どんな形で出ても炎上するのが見えてるなら。各自で自分が納得できるドラクエ3を作りましょう。

「守・破・離」のプロセス

では、公式設定に囚われ過ぎた原理主義の逆とは、なんでしょう。
それは「守・破・離」のプロセスではないでしょうか。日本の良き伝統。

まずは、基本の型を身につける。基本ができたら独自に工夫してみて、最後には自分のスタイルを確立する。

よくある失敗パターンは、基本を理解する前に勝手に変なことをして台無しにする。スクエニのリメイク作にありがちですね。最新のFF7リメイクでも、やらかしてしまったと聞いています。

私は原作もリメイクも未プレイ派ですが、どん兵衛を見るたびセフィロスのキャラ崩壊だけは思い出すでしょう(笑)。

DQ3を一生楽しむ7つのアレンジ術

本題に入ります。
公式が万人を納得させるリメイクを出してくることは、一度諦めましょう。許してやれよ、な!
以下「いいえ」で無限ループ(笑)。

まずは、自分ひとりくらいは満足できる別のバージョンを作ってみること。以下で大体のやり方を説明します。

1【守】主人公や仲間キャラを掘り下げる

基本中の基本。初期のゲームソフトでは、ハード上の制約から複雑極まるRPGの一部分だけを取り出し、簡易版に再構築しました。ドラクエもまた「代用品の」RPGです。プレイヤーの想像を加えて、はじめて完成します。

与えられるのを待つだけの人を、本来はターゲットにすべきじゃなかった。

喋らない仲間や主人公のセリフ。彼ら彼女らの生い立ち。アリアハン出身でない冒険者たちは、どうやってルイーダの酒場へ辿り着いたのか。考察するネタは、プレイヤーの数だけあるでしょう。

性格システムを進歩させて「普段はメインの性格で、ある条件では別の性格が強く出る」のも、キャラの個性を出すのにいいと思います。クールだが実は熱血、知的だがお化けが怖い、穏やかだが勇気があるなど。

2【守】原作ネタをさらに掘り下げる

とてもたくさんの二次創作があります。原作の設定に沿って、原作で描かれなかった部分を補う。リメイクも基本はこの方針で作られるでしょう。でもそれだけでは、いずれもの足りなくなるかと。

「守・破・離」の守は、三つのうち一番大事なのですが。私は小学生のときファミコン版のドラクエ3を遊んだ世代です。もう昔通りのリメイクなど求めていませんし、型を破ってマンネリから離れるべき段階なのでしょう。

3【破】原作に無い世界史ネタを盛り込む

ドラクエ3は、現実世界の世界史ネタが盛り込まれた唯一無二のドラクエ。そこが名作たり得た理由のひとつで独自の強みですが、HD-2D版では新たに世界史ネタが増えることはないでしょう。もったいないね。

オススメは「大航海時代」をベースに、世界各地に近い時代のネタを加えていくこと。ジパングに上陸したら戦国時代だった。怪獣オロチがいて、巫女ヒミコは秀吉と組んで対策に乗り出すとか。鉄砲があるドラクエも新鮮。

海賊や忍者は、プレイヤーがなれる職業にしてもいいでしょう。どちらも、ドラクエウォークにはありますね。解放イベント後にダーマ神殿で転職可能にするとか、賢者みたいに。

4【破】原作とは条件を変える

オススメは「モンスターがゴールドを落とさない」こと。旅先の各地でお金を稼ぐため、色々な依頼を受ける必要が生じて現代のRPGらしくなります。お金を節約するため、知恵を絞った結果が「ダンジョン飯」なのです。

ドラクエでは不遇の扱いを受けがちな、商人の重要性が正しく評価される良い改変になるでしょう。武具の価格がリアル同様に高価だったら?

冒険者が使える程度の、安物の装備でいかにピンチを切り抜けるか。魔法使いがますます重宝されそう。

5【破】進行ルートを変える

勇者以外を主人公にするなら、スタートがアリアハンでないことに説得力が生まれます。海賊や商人なら、最初から船旅の可能性も。

リアル路線だと、船の個人所有はほとんど無理で。スポンサーとなる国家や大商人の後ろ盾を得るまでが、ひとつの長編シナリオになるでしょう。

オーブの入手先を変えるのも面白いでしょう。あなた独自のドラクエ3に、グッと近づきます。

6【破】別世界とのクロスオーバー

原作が世界史ネタの作品なら、そのままドラクエ3の世界に組み込めます。割り切って「ドラクエ3を再現したゲーム世界の話」にする手も。

7【離】完全オリジナル化する

ドラクエを基本の型として、完全オリジナルに至った創作物は数多くあります。最近だと「葬送のフリーレン」もそうなのでしょう。

勇者の魔王退治を元にしながら主人公を「旅仲間」だったエルフの魔法使いに変え、さらに「勇者の死後の話」で「エルフと人間の時間感覚の違い」をメインテーマに描く。私もアニメ版の初回2時間スペシャル見ました。

ドラクエ由来の固有名詞を使わなければ。アレフガルドを出さず、上の世界だけで完結する話にすれば。そうやって「テセウスの船」のようにパーツを少しずつ取り替えていけば、あなたの創作はやがてオリジナルになります。

オリジナリティは、よくある要素の「今までにない組み合わせ」から生まれるのです。基本を研究してから、自分なりの答えを出しましょう。

【予告】おてんば商人の大航海/大後悔時代

上記で紹介した「DQ3を一生楽しむ7つのアレンジ術」を使って、DQ3ベースの完全オリジナル作品を構想中です。ドラクエ由来の固有名詞は全部別物に置き換えて、上の世界だけで完結する内容とします。たとえばこんな感じ。

ドラクエ3で言うと、ロマリアの少し北あたり。ここから海賊と商人たちの冒険物語が始まります。「おてんば商人」を指す主人公はふたりいて、ひとりは農民の少女マリカ。もう一人はお楽しみに。

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