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欲望を言語化する力がほしい。

髪型について「今日はどうしますか?」と聞かれても、うまく答えられたことがないんですよ。

2ヶ月くらい切ってないんでそれくらい…ぐらいのぼんやりしたオーダーしかできない。「もみあげは?」普通で…「前髪は?」眉毛ぐらいで…。

で、昨日髪を切りにいったんですが、そんな感じでオーダーしてしばらく座っていたら、美容師さんが前髪を6:4くらいに分けられてシュッと右側に流してくれたんですね。そんなこと今まであまりなくて。

なんかその…なんか違うのだけど、その「なんか」が説明できない。モゴモゴしていると「この長さだと束感を出して横に流した方が〜」と説明してくれる。僕よりずっとセンスの良い美容師さんが良かれと思ってやってくれている。そこになにを口を出すことがあるのか。でもなんかその…なんか違くて…。

欲望を言語化するのが難しい。

当たり前だけど言語化するには言語がいる。髪型に関する言語がないと希望の髪型を言語化できない。ライター業だと特にそうだ。僕はグルメ記事が苦手なのだけど、それも全部「おいしい」しか言語がないからだ。辛くておいしいです!モチモチしておいしいです!しか言えない。だっておいしいんだもの。

関係ないんですけど、初めて入った家系ラーメン屋で「お好みどうしますか?」と、味濃いめ/薄め、油多め/少なめとか答える場面があるんですけど、初めて入ったからその店のラーメンのデフォルトがわからないじゃないですか。しかもお店の中に「当店のオススメは味濃いめ・油薄めです」とか書いてあったりして、じゃあ初めからそれをデフォルトしたら良いのでは?とか思ったりするんですよね。

なんの話でしたっけ。

言語化の話だ。そういえば進路指導、就職活動、社内面談、「やりたいことは何?」を聞かれるたび、「やりたいこと…」と途方に暮れていた。なんとなくこっち…くらいの話しかできず、思えばあれもやりたいことについての言語がなかったのだろうなあ。

そして言語を獲得しても、頭の中のモヤモヤを言語というブロックでサンプリングしないといけない。ブロックの粒度を細かくして、解像度を上げていく作業がいる。これも難しい。

そうこうしているあいだにまた2ヶ月くらい経ち、髪が伸び、再び美容師さんの前でうろたえるのだろう。

欲望を言語化する力がほしい。

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