サンタクロースはいるのです。ルドルフの赤い鼻を追いかけよう。(2023年版)

サンタはいるの?

もちろん!
サンタはいる。ちゃんと新聞にそう書いてある。
ニューヨークのサン新聞の1897年9月21日火曜日付「社説」に、ちゃんと。

そう、バージニア、サンタクロースはいるのです。
サンタクロースがいる、というのは、この世の中に愛や、やさしさや、思いやりがあるのと同じくらい、たしかなものです。わたしたちのまわりにある愛や思いやりは、あなたの生活を美しく楽しいものにしているでしょう?
もし、サンタクロースがいなかったとしたら、この世の中はどんなにつまらないことでしょう! サンタクロースがいないなんて、バージニアみたいな子どもがいない、というのと同じくらいさびしいことだと思いますよ。

『サンタの友だちバージニア 「サンタは いるの?」と新聞社へ投書した少女』(村上ゆみ子著・東逸子絵。偕成社、1994年。以下、『サンタはいるの?』)という児童書によると、アメリカで有名なこの社説は、当時8歳だったバージニア・オハンロンという少女の投書への回答だったそうである。
友だちに「サンタはいない」と言われてショックを受けたバージニアは、父親のアドバイスもあり、真実を知るため新聞社へ投書したという。

そのバージニアの純真な質問に真摯に答えたのが、フランシス・ファーセラス・チャーチ氏。
2020年12月23日付朝日新聞夕刊で国際基督教大学の森本あんり教授に『冷徹な皮肉屋だった』と紹介されたチャーチ氏は、『サンタはいるの?』によると、当初、『新聞の社説で、子どもの質問に真面目に答える』ことを渋ったというが、最終的には毎年クリスマスに様々な媒体で繰り返し掲載される「有名な」社説を書いてくれる。

それは、「サンタクロースっているのでしょうか?」という質問が、とてもたいせつなものだったからです。子どもはだれでも、この質問をします。でも、新聞でだれかがちゃんと答えてあげたことはあったでしょうか?いいえ、いちどもなかったのです。

『サンタはいるの?』

この社説を、バージニアは最初母親に読み聞かせてもらい、そして、夜帰宅した父親にもう一度読み聞かせてもらったそうだ。


赤鼻のトナカイ ルドルフ

ルドルフは世界一有名なトナカイだ。
9頭いるトナカイの先頭でソリを引くルドルフ自慢の赤い鼻は、暗い夜道を照らしてサンタクロースの役に立つだけでなく、その赤鼻から発せられる赤外線を感知してサンタクロースの現在地を追跡するというNORAD(北米航空宇宙防衛司令部)のミッションを通じて、世界中の子どもたちの役にも立っているのである。

このカナダ・アメリカ合同の国家機関が大真面目にサンタクロースを追跡するようになったのも、サンタクロースを信じる子どもがきっかけだったという。

この恒例行事は、1955 年にコロラド スプリングスに拠点を置くシアーズ ローバック社が、子供向けに「サンタへの直通電話」を開設したときに、 誤った電話番号を広告に掲載したのがきっかけとなって始まりました。サンタにつながるはずのその番号は、なんと CONAD(中央防衛航空軍基地)の司令長官のホットラインの番号だったのです。子供たちからの電話を受けた当時の司令官ハリー シャウプ大佐は、サンタが北極から南に向かった形跡がないか部下にレーダーで確認させました。そして、電話を掛けてきた子供たちにサンタの現在地の最新情報を順次伝えたことから、この伝統が生まれました。
1958 年、カナダと米国の両政府は「北米航空宇宙防衛司令部(通称 NORAD)」として知られる両国が共同運営する北米防空組織を創設しました。そしてそれが、サンタの追跡という伝統も引き継いだというわけです。

AI-Aviation HPより引用

そして、2023年12月24日

先のチャーチ氏の社説は、こう結ばれる。

サンタクロースがいないだなんて!うれしいことに、サンタクロースはちゃんといるし、これからもずっと生きつづけるでしょう。今から一千年たっても、いえ、その百倍の月日が流れても、サンタクロースは子どもたちの心の喜びとして、ずっとずっと、生きつづけることでしょう。

『サンタはいるの?』

だから、2023年のクリスマスイブにも、サンタクロースは子どもたちへのプレゼントを携え、ルドルフたちの助けを借りて世界中を飛ぶ。
その様子は、もちろんNORADによってリアルタイムに追跡される。
追跡の様子は、下記サイトから随時チェックできる。

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社説全文について

日本語訳(大久保ゆう・訳) (注:訳者違いのため、本稿引用文とは異なる)。

本稿は2020年の拙稿を再編集したものです。

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