TM NETWORK TOUR 2022『FANKS intelligence Day8』 @ぴあアリーナMM 感想
TM NETWORKの7年ぶりのライブを観た。
ライブは何も考えず、ただステージを楽しむだけなので、稚拙な感想しか出てこないのだが……
2022年9月3日土曜日。横浜・みなとみらいにある「ぴあアリーナMM」で、18時の定刻ピッタリに始まったライブは、TM NETWORKの3人とドラム、パーカッションというシンプルな編成。
バックには大型スクリーンがあるだけで、これまでのライブのように、コンセプチュアルな構成も、大掛かりなセットや仕掛けもなく、シンプルに音楽を聴かせるスタイルだった(とはいえ、2012年の『Incubation Period』からの「潜伏者」のコンセプトは残っていた)。
ドラムとパーカッションによる、地鳴りとも雷鳴ともいえる迫力あるサウンドで幕を開け、メンバー(潜伏者)が登場し、「Please Heal The World」でライブがスタート。
「あの夏を忘れない」「8月の長い夜」と夏のツアーを象徴する曲が続き、「We are starting over」へと流れた。
随分珍しい曲を演るなぁと思って観ていたら、唐突に歌詞が胸に突き刺さった。
そう、ライブを始めとするエンターテインメントが「不要不急」と言われ始めたのが2年前。人との接触が制限され、言葉を出せなかった日々。心の拠り所だった音楽も制限され、泣くことしかできなかった日々。だけど、我々が交わしたのは決して『サヨナラ』ではなく、約束通り、彼らはステージに戻って来た。
そして、現実に目の前のステージにいる彼らと『出会いなおす』。
ルーパー・エフェクターを使った木根尚登一人多重の『Love Train』を経て、「潜伏者」のコンセプトが起動する。
このライブで演奏された曲の3分の2は、1994年の「Decade(活動終了)」までのものだったが、当時のTM NETWORKのコンセプトでもあった「近未来の21世紀」が現実となってからのコンセプトである「潜伏者」は、当時の彼ら(というか、全地球人)が思い描いていた21世紀との「乖離」を象徴している(と個人的に思っている)。
ちなみに、このツアーでの「乖離」の象徴は、「TIME TO COUNT DOWN」だったのではないだろうか。
前年のベルリンの壁崩壊とともに東西冷戦が雪解けに向かい、まだ湾岸戦争も始まっておらず、日本は辛うじてバブルだった1990年にTMN名義でリリースされたこの曲は、「輝かしい21世紀へのカウントダウン」という疾走感に満ちていた。
だが、2022年の演奏に疾走感はなく、あるのは「人類或いは地球の破滅へのカウントダウン」に見えた。
話をライブに戻す。
その「潜伏者」のコンセプトが指すのは、「情報」「コミュニケーション」「地球(自然環境)」であり、それに沿って「Byond The Time」「We Love The EARTH」「Self Control」などが演奏される。
その間に、代表曲「Get Wild」なども演奏されているが、その導入にも使われる小室哲哉のソロで演奏された、「Give Your Beat」は個人的にめちゃくちゃしびれた。
そう、しびれたと言えば、「Self Control」のイントロが、2014年の「THE BIGGINING OF THE END」ツアーのアレンジで、これも個人的に大好きなイントロだったので、物凄く嬉しかった。
以前のライブのアレンジと言えば、たしか、「I am」は、2015年の「QUIT30-HUGE DATA」のものだったと思う。
そしてラストは、「QUIT30」から引き続き「地球」というコンセプトに従い、「Fool On The Planet」が演奏された。
ツアーが発表されてからずっと楽しみにしていたのだが、東京国際フォーラムを始めことごとくチケットが入手できず諦めかけていたところが、何とかこうして、このぴあアリーナMMに来られて、とても嬉しかったし、ライブも素晴らしかった。
次はいつ観られるのかわからないが、その日を楽しみに待とうと思う。
メモ
TM NETWORK TOUR 2022 『FANKS intelligence Day8』
2022年9月3日。@ぴあアリーナMM
本文で『湾岸戦争も始まっておらず』と書いたが、それが始まったのは、「TIME TO COUNT DOWN」も収録されているアルバム『RHYTHM RED』をひっさげてのTMNのツアー中だった。
藤井徹貫氏が著したツアードキュメント『TMN the PAPERBACK』(ソニー・マガジンズ、1991年刊)には、こう記されている。
なお本稿は、「BARKS」の2022年9月5日配信の記事「TM NETWORK、7年ぶりライブツアー完走」に掲載された、9月4日のセットリストを基にしています。
ところで、ライブの最後の映像で次回ライブの予告が流れた。
だから私が観た日は「9月4日 Day9」と映し出され、私は「明日の千秋楽はどうなるのだろう?」と思ったのだが、先の「BARKS」の記事には、『このツアーが続くことを予感させる「Day10 147XX」というミステリアスな数字が映し出され、会場がどよめいた』とある!
さて、一体何が起こるのだろうか?
そして、再来年40周年は、どうなるのだろうか?
楽しみで仕方がない。
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