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森信三いのちの言葉② 第二章 人生二度なし


【この章の概略】
人生は1回限りにマラソン競争です。
レース序盤は家柄に左右されるとしても、肝心なのは後半でいかにゴールまで走り切れるかが重要です。
人生は選択と言う賭けの連続ですが、選んだ以上は「悲壮極まる覚悟」を持って生涯学び続けなければなりません。

1.人生は二度と繰り返し得ないものだということ
2.いつ死ぬか分からない
この2つの根本原理を深く自覚し、今日という一日をしっかり生きることが大切です。
今日すべきことを明日に回すようなことをしていれば、人生もそのようにだらしないものになってしまいます。
1日というのは言わば人生の縮図なので、しんどいからと言い訳をして例外を作ってはいけません。
それは突き詰めると、いかに時間を有効に使っているかに行き着きます。
今日やるべきことをやれば今日死んでもいい、そんな毎日を貫くために立志が不可欠なのです。
その秘訣としては、現在すべき最優先の仕事に集中して一気にやり切ってしまうことです。

森先生は「死によって生が完成する」「生と死が輪廻している」という考えで、死生観は人それぞれですが、死生観が確立していると人生に安らぎをもたらします。
死んだ後に残るものは、肉体が動いている間に為した真実のみです。
だからこそ人は生きている間に、自分だけではなく後世の人たちのために全力で生き、人を愛し、仕事に取り組んでいかねばならないのです。

森先生が晩年に提唱された「全一学」という実践哲学があります。
「全」とは宇宙全体を指し、「一」とはその中の個人を指します。
「全」である天から命を受けて、「一」である人間はやりがいを感じ自分の個性を発揮していく中でその使命を思い出します。
人の一生とは、天から与えられた一度限りの機会で、それをいかに充実させていくかが人生最大の課題といっていいでしょう。


毎日を真剣に生きるとは

「人生二度なし」は森信三の教えの中でもっとも大事な言葉のひとつです。
いつ死ぬか分からないから、いつ死んでもいいように毎日を真剣に生きようということです。
ジョブズは「明日死ぬとしたら今日何をするべきか」を毎日自分に問うていたそうですが、これも同じ考え方ですね。

ただ、毎日真剣に生きるのは大事ですが、ジョブズほどのストイックさは凡人には難しいのではないかと思います。
受験勉強や貯金など、数年後の成功のために頑張るためには、長いスパンでの覚悟が必要です。
今この記事を高野山で書いていますが、高野山に来るのはその先数カ月を力強く生きる充電のためで、明日死ぬとしたら家族と過ごしてます。
一方『7つの習慣』では、時間を1週間のスパンで捉えて大きな石を入れていこうと説かれています。
人にはいろんな役割があるから、全てを充実させるにはこの考え方の方が私としてはしっくりきます。

スパンを長くするほど1日の密度が薄くなるので、そこは毎週始まる前に志を見直し、自分に言い聞かせなければなりません。
学生時代に讃岐日帰り旅行をしまして、うどんやを八軒回って温泉も入って、1日でこんなにできるんだと思ったのを覚えています。
その時の感覚で毎日を過ごせればとても密度の濃い人生になるはずなので、時間をかける以上遊びも仕事も真剣にやることが大事です。

死生観と宗教観

私自身、死生観が確立しているとまでは言えませんが、『7つの習慣』の実践で終わりは思い描いてますし、仏教を軸として心の整え方も知っているので、以前に比べて人生観がかなり安定したなと思います。
全一学は真言宗の宇宙観と完全に合致してますね。
全体の一部としての自分が終わる時に、後世に何を紡いでいくのか。
それを持ってないと一時の栄華や刹那の快楽に身を委ねてしまい、人生が安定せず死ぬ時に後悔することになります。
輪廻思想は正直なところあまり信じていませんが、生まれ変わって幸せな人生を歩むために功徳を積むのではなく、今の人生を後悔なく生きるために世のため人のために尽くしていきたいですね。

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