『海賊の時間』2024版 稽古場レポート No.1
こんにちは。『海賊の時間』2024版、演出助手の寺腰です!
劇団イン・ノート第七回公演で上演された『海賊の時間』が、新たなメンバーと刷新された脚本で再演決定。
今回は演出助手の目から見た、本公演の製作風景をレポートしていきたいと思います。
ご予約の前に、ご来場の前に、ぜひご覧ください!
7月9日 ワークショップ、稽古
この日、17時過ぎに砧地区会館の会議室に集まった一同。稽古の開始前から既にアップを始めている方々もおり、流石イン・ノートの稽古場だと思わされます。
やがて時間になって稽古開始。
まず最初に、演出の芝原れいちさんが始めたのはシアターゲームでした。
劇団イン・ノートではいわゆる稽古、本読みの前に長くシアターゲームをしています。身体表現の交錯で次々場面を転換していく作風、身体性を重視するイン・ノートだからこそですね。
シアターゲームの内容は、鬼ごっこの変則系「名前鬼」と、全員で一人の動きを真似、鬼は誰がその一人なのかを当てる「震源地」。私も参加しましたが、名前鬼では即座に対応できずあわあわ……。役者の皆さんの対応力には感嘆するばかりでした。
休憩中、私が感嘆していた横で突如としてゴミ袋を用意し、切り抜きはじめる皆さん。いったい何に使うんでしょう?
そして数多くのゴミ袋が切り抜かれた後、ステージングアドバイザーの小林ららさんがいらっしゃいました。
今回、小林さんには『海賊の時間』のオープニング、とある場面の動きをつけて頂くことになっています!小林さんの指導のもと、ワークショップが始まりました。
「まずは女性側が男性側に体重をかけてみて。遠慮なく全体重をかけないとお互いの動きに遠慮が出てしまいます」
小林さんのアドバイスを聞きながら、ひとつひとつのアクトを作りあげていく役者たち。
今回は劇団員だけでなく他団体など様々な所から参加している方もいます。
にもかかわらず息の合ったアクトを即座に展開できるのは、役者の地力の高さを感じさせますね。一方、小林さんも全体を見ながら、詰まっている人たちに的確なアドバイスを。
実際に動いてみせたり、身体の使い方を細かく指定したりと、その人その人に合わせた返しをしてくださっています。
やがて、ワークショップ開始から一時間あまりが経ちました。
練習も佳境となり、役者たちも息が切れてきたところで小林さんから一言。
「じゃあ、ここまでつけたアクト、最初から音ありで通してみましょうか」
この言葉に悲鳴をあげながらも、役者の皆さんは即座に陣形を組んでアクトを始めました。
通して見るとこれが凄すぎる!!片方が繰り出したハイキックを避け、ローリングし、後ろから羽交い締めにしたところを高くジャンプして抜け出す……。荒々しく力強い海賊風の音楽に合わせて、海賊同士の争いや宴会が小気味よく繰り広げられます。
これは衣装や音照がついたら凄まじいぞ……!とワクワクしていました。
オープニングアクト以外にも、小道具を使った様々な演出方法を教えて下さった小林さん。
今回は、ゴミ袋を使ったアクトについてのワークショップがありました。このために沢山のゴミ袋が犠牲になっていたんですね。
これら、切り抜かれたゴミ袋には様々な使い方があるそうです。びっちり顔に貼り付けてホラー風の演出。全員で持って走り、波の演出……
ゴミ袋、と聞くと安っぽいですが、実際に見てみるとこれがなかなか侮れません。走りながら揺らされる透明のポリエチレンは音といい動きといい驚くほどに「波」で、ここが海だと錯覚させられる不思議な力がありました。
90分超のワークショップが終わり、小林さんはお帰りに。全員でお礼を申し上げてお見送りしました。
しかし、稽古はここからが本番。休憩ののちに台本を全員に配り、読み合わせが始まりました。しかし読み合わせとはいえ、ずっと座っているわけではありません。稽古場を広く使って舞台を仮組みし、セリフに合わせて動きを作りあげていきます。
まだ稽古が始まって三日目ほどですが、既に皆さん海賊の貫禄が醸し出されていました。
先ほど練習したオープニングアクトに関わるとあるシーン。ここの迫力が特にすさまじく、手に汗握るハラハラの展開です。その後の小気味いい掛け合いもついつい吹き出してしまうほどの面白さで、そうそう、これこそイン・ノート!という満足感です。
時々セリフを飛ばして行き詰まることもあるものの、アドリブでイジったりして乗り切る遊び心も素敵。読み合わせでありながら躍動感に溢れた、これからの期待を感じさせる稽古でした。
この日は21時半に稽古が終了。あっという間の数時間でした。
これからの1か月、どんな風に海賊たちの会議が彩られていくのでしょう。今からその完成が楽しみでなりません。
『海賊の時間』稽古場レポート、引き続きお楽しみに!
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