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『海賊の時間』2024版 対談企画第一弾

こんにちは。『海賊の時間』2024版、演出助手の寺腰です!
『海賊の時間』2024に関わるスタッフさんと演出を務める芝原れいちの、創作にまつわる対談をお届けしていくこの企画。
最初にお話しする方は、今回ステージングアドバイザーをして頂いております、小林ららさんです!
対談だからこそ語られる創作の裏側、舞台製作に秘めた思い。ぜひご覧ください!

■オファーを受けたきっかけ

―――お二人とも、今日はよろしくお願いいたします。

芝原:よろしくお願いします。早くからご足労頂いて、ありがとうございます。
小林:いえいえ。こちらこそよろしくお願いします。
芝原:早速ですけど。今回、ステージングアドバイザーのオファーを大喜(劇団員:中川大喜)から受けてやって下さることになったじゃないですか。
小林:うんうん。
芝原:(オファーを受けた時は)どんな印象でしたか?大喜とはお知り合いだったんですよね。元々どういう繫がりで……
小林:岩井秀人さんの舞台の。『おとこたち』ですね。
芝原:あ、そうか、『おとこたち』か。
小林:でも私、なつ美(劇団員:石川なつ美)ちゃんと別で知り合ってるんですよね。
芝原:え、そうなんですか!
小林:二人とも知ってるから呼びやすいのかなみたいな、そういう繋がり(で呼ばれたの)かと思ってました。
芝原:なるほどなるほど。や、こっちとしては呼びやすいどころか、引き受けてくださったら本当に嬉しいみたいな感じでしたけど……(笑)
小林:なんなら、本当は誰か紹介してあげた方がいいのかなとか悩んだんですけどね。でもまだ若い団体だったら、ちょっと急に偉い人来ても困っちゃうじゃないですか(笑)
芝原:(笑)
小林:だから一回(私で)慣れてもらって。「もっと劇団が大きくなったら違う人紹介しましょうか~」ってスタンスでやればいいかな、みたいな。
芝原:いやぁ、ありがとうございます。今回、音楽に合わせた振り付けを考えてきてくださったじゃないですか。あれ、すっごい楽しくて。今は稽古で練習したりしてるんですけど、あれを作られた時に意識したこととか、こんなことが伝わればと思って作った、とかありますか。
小林:そうですね……。今回の関わり方的に、このシーンを私がステージングしますっていうやり方じゃないですから。(イン・ノートは)自分たちでステージングをやってるって話も聞いてましたし。
芝原:はいはいはい。
小林:だから、わざわざ振り付けを別の人がやる必要性がない、というか。そこを持ち味でやってます、っていう劇団におせっかいをする必要はないなと思って。あくまでも素材は渡すし、キャストの皆さんのボキャブラリーを増やすことだけは私がやって。そこからは好きに使って貰えたらっていう風に行こうと思ってましたね。これ答えになってます?(笑)

芝原:いや、まさに。めちゃくちゃそれが嬉しくて。今、稽古場では振り付けの練習がメインなんですけど。それを見てる時に「あ、このアクトはこのシーンのこの場面で使ってみたらもっと広がるな」って思いついたりとか、演出が広がるのが凄く楽しくて。本当にありがたいなと思ってます。
小林:そうですね。結局ああいうのってお芝居の中でやるものですから。芝居が挟み込めないと使い物にならないですし。なんなら振り付けだって、私が勝手にあの曲につけてるだけですから。別にあの曲じゃなくてもいいんですよ(笑)
芝原:いやいやいや(笑)
小林:でも、曲を自分たちで作ってるのすごいですよね。
芝原:そうですね、相方の横山(劇団員:横山大朗)が作曲できるやつで。
小林:6拍子の曲だったんですよね、あれ。
芝原:ですね。ちょっと変わったテンポというか……
小林:そう、かっこいいなと思って。
芝原:うわ、嬉しい。

■外から見たイン・ノート

芝原:本日、顔合わせの時と合わせてワークショップ2回目ですけども。僕たちの稽古場の雰囲気とかで思うことってありますか?
小林:思うこと。
芝原:最初多分、びっくりしたと思うんですよ、規模とか。いつもららさんがやってるような芝居とかカンパニーの大きさは全然違うと思うので。
小林:難しいな~……。うちの団体って、いわゆる小劇場じゃないと思うんですけど、見る人が見たら小劇場だと思うんですよね。
芝原:確かに。いいラインのところにいますよね。
小林:規模感的には大劇場とか中劇場でやるんですけど、カンパニーの雰囲気としてはそんなに遠からずだとは思う。年代が違うだけというか。でも、(イン・ノートの)顔合わせ見た時はみんな前のめりっていうか、フレッシュな感じだなと思いましたけど。
芝原:なるほど。
小林:結構(ステージングを)毛嫌いする人もいるかなって思うんですよ。
芝原:え、毛嫌いですか?
小林:毛嫌いっていうか、「なんで(わざわざ)踊るんだろう」って思う人もいるだろうな、とか考えてたんですけど。全然みんなそんなことなかったから。むしろ「何でもやりたいです!」みたいな印象があったから、すごい雰囲気いいなって思ったな。
芝原:確かに。それはキャストさんのお陰でもあるんですけど、多分、ららさんの最初の取っ掛かりとか入り方とかが完全に、「この人に一回ついて行ったら面白いことができるぞ」って思わせるものだったので。そういうのもすごい大きかった気がします。
小林:まあ、私は強引なだけなんですけど(笑)
芝原:いやいやいや(笑)

■自分は「俳優」ではなく「ダンサー」である

芝原:あと、芝居を作ったりする上で……ららさん普段俳優として舞台に立ってらっしゃるじゃないですか。
小林:私ね。違うんですよ。俳優じゃないんですよ。
芝原:え?
小林:いやいや。本当に。普通の、ダンサーなんで。

―――しかしららさんの振り付けは、それこそ演技の要素も入っているというか……。

小林:そうですね、でもまあ、私がそういうの好きなだけというか。
芝原:じゃ、もう、一番の肩書きとしては、ダンサー?
小林:「ダンサー」しか書かないですね。……まあ確かにね、今度主演を演じる舞台でも、歌うし、喋るし、だけど……
芝原:いやそれはもう、俳優じゃないですか(笑)
小林:いやいやでも、全然違うものだから。だから役者さんへのリスペクトっていうのは凄いありますね。
芝原:その、ダンサーと俳優、っていう二つのものは……ららさんの中では、どう違うんでしょう。
小林:うーん。役者さんがやるダンスっていうのは「仕草」になるんですよね。
芝原:「仕草」ですか。
小林:そう。ダンスが完璧に踊れてなくても、演技の延長線上の「仕草」としてやれちゃう。
芝原:確かに……。
小林:なんていうか、既存の枠からはみ出す魅力を持ってるんですよね。私は「ダンサー」なんです。あくまでも。
芝原:なるほど。じゃあ、ららさんがダンサーとして。ダンスをしてる時に大切にしてるものっていうのはなんですか。
小林:あー。そうですね……。役を演じる過程で姿勢やたたずまいを変えたり。とか、そういうのをよく考えたりするかな。
芝原:なるほどなるほど。
小林:例えば今度私、ハーミアとヘレナ(シェイクスピア『夏の夜の夢』の登場人物)の二役やるんですけど。
芝原:その両方やるの凄いっすよねえ(笑)
小林:そうですね(笑)で、ヘレナってあの、背が高いって設定があるんですよね。
芝原:はいはいはい。
小林:で、私は別に背高くないんですけど。まあ普通は背高く見せる努力をするじゃないですか。
芝原:そうですね。

小林:でも背の高いヘレナって多分、それを隠したいんですよね。コンプレックスに思ってる。だから、猫背になるんじゃないかな、って思って。まあ本番どうするか分からないんですけどね。今、私のプランではそうなんですよ。
芝原:なるほどなるほど。
小林:だから歩き方も、ちょっと内股なのかな?とか。そういうの考えますね。
芝原:あー、だからか。いやあの、前回のワークショップの時に宿題を出してくださったじゃないですか。「役のイメージを固めた上で、その特徴と反対の仕草を考える」っていう。
小林:ええ。
芝原:役から抜き出された情報から性格とかを考えて、それに見合った身体の使い方をしてる、みたいのが好きだったり楽しかったりする、ってことですよね。
小林:そうですね。あとは仕草とか、ダンスの境目とか。いい塩梅を考えるっていうのも好きですね。
芝原:いや、ほんとに。(ららさんは)引き出しとあの、ボキャブラリーの量が半端ないと思うんですよ。
小林:そんなことないですよ全然(笑)そんなことないけどな。
芝原:アクトで酔っ払いをやった時の、酔っ払いのボキャブラリーの数がパッと出て来て、クオリティも凄くて。やっぱそれがプロだなと思うんですよ。
小林:でも多分、役者がやったらもっと色んな種類が出てくるんじゃないかなって思うので。なんだろう、アプローチが違うのかもしれないですね。
芝原:確かに。
小林:私は客観的に身体を自分の中で想像して、どうやったら酔っ払いに見える角度になるかな、とか、あとスピード?そういうことを考えながらやりますけど。
芝原:はいはいはい。
小林:多分、役者さんってそんなこと考えなくても酔っ払いの演技って言われたらすぐその身体になるじゃないですか。だから、そういう違いなのかな。
芝原:なるほど……。

■夏の夜の夢と新技術

―――最後に申し訳ありません。ららさんの8月の公演のお知らせなどもよろしければ掲載させて頂きたいのですが………いかがでしょうか。

小林:あ、そうなの。
芝原:ぜひ。お願いします。
小林:ありがとう。えっとじゃあ、今度出演する公演……『PLAY!!!!!〜夏の夜の夢〜』の注目のポイントについてなんですけど。
芝原:ええ。
小林:この公演、演劇やダンス公演でまだ使われてない「スケルトンLEDパネル」っていうのを使うんですよ。
芝原:へえ!
小林:あの、普通LEDパネルって後ろが見えないですよね。
芝原:はいはいはい。
小林:このスケルトンLEDパネルは、LEDだけど後ろが見える。今回は、それを初めて舞台で使うんですよ。
芝原:へえ~!

小林:正直これだけ見ても全貌は分からないですけど。例えば今2枚、LEDパネルが(役者を挟むように)奥と手前にあって。明かりが入ると手前の映像も見えるし、奥に映る映像も見えるっていう。
芝原:え、すげえ。これどうなってるんですか!?
小林:これを、舞台全面で使うことになってて。今度の公演はシェイクスピアの『夏の夜の夢』を、人生ゲームって設定でやろうとしてるんですけど、結構デジタルな感じの世界観になるかなっていう。これが今回一番の見どころなんじゃないかな。
芝原:いっすね、これすごい。
小林:あと、私がハーミアとヘレナの一人二役をやるっていう所も。
芝原:そうですね、あれもびっくりしました(笑)だってその二役、(原作では)一緒に出るシーンありますからね。
小林:そう。それをどう演出するかがね。大変面白いです。なのでぜひ、良かったらお越しください。
芝原:もちろんです。どうなるのか楽しみにしてます。

―――本日は、素敵なお話ありがとうございました。

小林:ありがとうございました。今日もよろしくお願いします。
芝原:ありがとうございました!こちらこそよろしくお願いします!
(2024年7月14日/砧地区会館 会議室)

『海賊の時間』2024版の稽古は、この日も小林さんのステージングを受けて大きな動きが加わりました。本番が近付くにつれ、精彩を放ってくる役者たちのアクト。ぜひ劇場でご覧ください!
そして対談の最後でも触れました、小林さん出演の舞台『PLAY!!!!!〜夏の夜の夢〜』の公演概要もこの下にございます。ご興味を持たれた方はぜひ、劇場に足をお運びください!


小林らら(こばやし らら)

1995年、東京都生まれ ダンサー

ダンスカンパニーCHAiroiPLIN所属。
3歳よりクラシックバレエを始め、幼少より、日本バレエ協会、小林恭バレエ団など様々なバレエ公演に出演。また、日本舞踊を藤間藤三郎に師事。
高校在学時より、東京芸術劇場×勅使川原三郎 U18メンバーとして活動。
以後、勅使川原三郎、近藤良平、鈴木ユキオ、青木尚哉などの作品に参加。
ほか、NHK Eテレ『みいつけた!』ED曲「さあ!」、舞台『文豪ストレイドッグス』 シリーズ、 東京五輪リーディングプロジェクト『東京キャラバンinいわき』、KADOKAWA「霧雨が降る森」振付・出演などがある。
ペタゴジー(教授法)や幼少期から培った様々なダンスメソッドをベースに、身体表現やバレエ講師として指導に当たるほか、近年では振付助手として、東宝ミュージカル、PARCOステージなど演劇やミュージカル作品のサポートを務める。


こくみん共済 coop〈全労済〉文化フェスティバル2024夏 参加

CHAiroiPLIN おどるシェイクスピア
『PLAY!!!!!〜夏の夜の夢〜』

振付・構成・演出 / スズキ拓朗
原作 / W.シェイクスピア「夏の夜の夢」

●公演日時

2024年
8月2日(金)19:00
8月3日(土)13:00 17:00
8月4日(日)13:00 17:00
※ 受付開始は開演の60分前、客席開場は開演の30分前

●会場

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
(〒151-0053 東京都渋谷区代々木 2-12-10 こくみん共済 coop 会館 1F)

●チケット (全席指定・税込)

一般 4,500円
大学・専門学生 3,000円 ※1
中・高校生 2,000円 ※1
小学生以下 1,000円 ※2
障害者割引 2,000円 ※3
おやこペア 5,000円 ※4

※1 入場時に学生証・年齢確認証要提示
※2 小学生以下は4歳以上から入場可
※3 障害者割引は介助者1名まで同額/障害者手帳要提示
※4 おやこペアは一般+小学生以下の方

●プレイガイド(ご予約)

e+(イープラス)https://eplus.jp/

●出演

スズキ拓朗、清水ゆり、小林らら、よし乃、青井想(以上、CHAiroiPLIN)
石渕聡、北尾亘、谷山知宏、柏木俊彦、山下直哉、宮悠介
稲葉由佳利、浦島優奈、美守桃、加藤ちかの、中野瑠美

●スタッフ

舞台監督/赤坂有紀子
照明/坂本明浩(OneDropOffice)
音響/原嶋紘平(SONIC WAVE)
映像・舞台美術・宣伝美術/青山健一
劇中歌/清水ゆり
衣装/渡部淳子
小道具/小玉珠成
演出助手/豊島伶圭、池野上咲月、高橋将貴
制作/柏木俊彦、田中美紗樹
制作助手/宮﨑有里、飯塚なな子
票券/中井沙織
プロデューサー/池田仁徳

●制作協力

ROCKSTAR有限会社

●協力

公益財団法人セゾン文化財団、コンドルズ、第0楽章、Baobab、花組芝居、流山児事務所、ACALINO TOKYO、有限会社ゴーチ・ブラザーズ

●助成

文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(公演創造活動))独立行政法人日本芸術文化振興会

●共催

こくみん共済 coop〈全労済〉

●主催

合同会社モダンタイムス

●お問い合わせ

合同会社モダンタイムス chairoi.plin@gmail.com

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