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プレステのCMに外れなし!!なんなら泣く!

僕はwebCM、ラジオCM、テレビCMが大好きなのですが、中でもプレイステーションのCMは特に大好きですし、なんならたった15秒~30秒のCMで号泣するほど感動します。

新作ラインナップCM

一番目にする機会の多いプレステCMといえば新作ラインナップのCMかと思います。

特に2016年発表のtofubeatsのラップCM!!これを皮切りにした、新作タイトルの超かっこいい映像に合わせて、アーティストが(ゲーム内容の説明になってる歌詞を)歌っていくシリーズは大好きです。お馴染みのプレステロゴに合わせて出る「buun!!」※をマッシュアップして何度も頭出しするイントロで全てを持っていかれ、間違いない、イケてるtofubeatsのビートとラップと、ゲーム内サウンドのサンプリング…。ため息が出るほど全てがかっこいい…。これに続く形で、最上もがやRIPSLYMEのRYO-ZやPESをゲストに迎えての掛け合いで歌っていくCMも、この世の全てのカッコよさを体現していると言っても過言ではない…!

※「buun!!」について:2019年12月に発売された『ケトル』のプレイステーション特集号で、初代プレステ発売時のCMを手掛けた黒須美彦氏が「なんて聞こえていてもいいですよ(笑)」としつつも「でも、僕がプレゼンした時は『buun!!』って言いました。だから、『buun!!』なのかな……」と公言している。個人的にはこれを聞いても「ジョンッ!」に聞こえる(笑)

加えて大好きなのが、ヨルシカの『夢の中へ』カバー(リメイク?)のCM。

すごくオシャレで爽やかな歌になっているのですが、歌っていることはファンタジーありロボットありのゲームの内容というギャップが大好きで、特にラストの大サビで「それより僕と踊りませんか」の歌詞と共に映し出されるゲーム内カットが、よりによって例の『フォートナイト』のダンスエモート!!!!なぜか毎回、見返すたびにここで泣いてしまうんです。なんだか、ゲームというカルチャーの素晴らしさと、無邪気さというか馬鹿馬鹿しさ…(笑)その全てがここに詰まっているようで、いつも泣き笑いしてしまいます。

プレステはラジオCMもいい!

それらを差し置いてでも言いたいのが、プレイステーションのラジオCM「ラジオについての思い出」!
大好きなラジオ番組『プレイステーション presents ライムスター宇多丸とマイゲーム・マイライフ』でよく流れていたCMなのですが、これがもう尊すぎて死んでしまう!!!(※番組は2022年3月で終了)

もうあまりにも大好きすぎて、ラジオを録音したものを自分でCM部分だけカットして、自分で書き起こした脚本を片手に何回も何回も聞き直しているほどです。

書き起こし

―buun!!
A「ゲームについての思い出!」
B「ゲームについての思い出」
A「小学生の頃から、友達とよくゲームした!」
B「小学生の頃、周りの友達はよくゲームをしていた」
A「学校でやって起動音でバレて没収されたりっ!」
B「後ろの席のやつがよく没収されてたな…」
A「大学生の時は“テニスサークル”とは名ばかりの“ゲームサークル”所属!」
B「大学生になって初めてゲーム機を買ったけど、周りが上手くて…」
A「プロか、ってくらいやりこんだ!」
B「プロ級のやつが多すぎて挫折…」
A「社会人になってゲームからは遠ざかった…」
B「社会人になって夜ゲームをするようになった!」
A「ストレス発散は土日に山とかで…」
B「ストレス発散はその日のうちに、ってことで!」
A「あ、でも最近オンラインのRPG始めて!」
B「今一番やってるのはオンラインRPGかな!」
A「全然レベル上がらないんだよな、俺…」
B「もう大分レベルも上がって、僕かなり上級者だと思う!」
A「最近そこでよく世話してくれるベテランがいて…!」
B「最近ちょっとお手伝いしてる初心者がいて!」
A「土曜日はその人とプレイするのが最近の楽しみ!」
B「次の土曜日も一緒にダンジョン行く予定!」
A「あ~!早く…」
AB「ゲームしてぇなぁ!!」
ナレーション「今日も誰かが、ゲームの思い出更新中!」
―プレイステーション!

プレイステーション ラジオCM|ゲームについての思い出

ここが尊い「ラジオについての思い出」

まず登場人物は2人の男性。この2人はそれぞれの人生でゲームに対して全く違う付き合い方をしてきました。Aは子どもの頃はゲームざんまい。たくさんの思い出があるのでしょう、嬉々として「ゲームをしていた思い出」を語ります。対してBは幼少期にはあまりゲームをしてこなかった為、「ゲームについての思い出」を語るときにゲームそのものではなく、「ゲームをしていたやつ」の話をします。また、語り口も決して明るい口調というわけではありません。

A「学校でやって起動音でバレて没収されたりっ!」
B「後ろの席のやつがよく没収されてたな…」

プレイステーション ラジオCM|ゲームについての思い出

ここでまず、2人の思い出が一致はしていないが、交差はしているというのがポイントです。短いCMの中で秀逸な伏線になっていますし、またゲームにまつわる「あるある」を、この2人が同窓生だったのかは語られていませんが、「ゲームに熱中していた人」と「距離があった人」という2つの視線から描くことで、様々な聴取者の興味をつかむ役割を果たしています。

そして両者の思い出は、学生時代から社会人生活へと進んでいきます。ここでなんと立場の逆転が起きます。少年時代ゲームに熱中していたAは「社会人になってゲームからは遠ざか」り、逆にゲームとは距離があったBは「社会人になって夜ゲームをするようにな」るのです。しかし、これもゲーマーあるあるで、どちらの境遇も共感できます。

A「社会人になってゲームからは遠ざかった…」
B「社会人になって夜ゲームをするようになった!」

プレイステーション ラジオCM|ゲームについての思い出

また、「夜ゲームする」は冒頭で少年時代を語っていたときに両者が言っていた「よくゲームした/をしていた」と韻を踏んでいるので、直前のシーンを思い出され、より当時との違いが際立ちます。この手法は全編を通して徹底されていて、必ず(言い回しや、少なくとも内容は)Aの話にBの話を対応させるように書かれていて、それが音声の気持ちよさ、あたかも歌の歌詞のような気持ちよさを生んでいます。

Aが明らかに少年時代を語る口調からはトーンダウンした、または落ち着いて「大人になった」口調で現状を語る様子に、Aの少年時代を知る我々としては「そういうもんだよな…」なんて一抹の寂しさを抱き、そこへ続けてBが大人になって本格的にゲームをやるようになったなんて聞くと、それに対しても「イマドキはそういうもんだよな!」と嬉しくなります。ゲームと「離れた」寂しさを抱かせておいてからの「近づいた」話!!その喜びは段違いですし、それが綺麗に両者の関係が逆転している様子に驚き、一種の抜けの良さ、ターニングポイントを通過し物語が動き出すワクワク感を感じます。

そこで2人の物語は、子どもの頃とは「変わってしまった」状況を描いていくのかと思いきや、急旋回してなんとAがゲームを再開したという展開になります!マジで!?お前!やったぁ!

A「あ、でも最近オンラインのRPG始めて!」
B「今一番やってるのはオンラインRPGかな!」

プレイステーション ラジオCM|ゲームについての思い出

しかもやっているのが同じ「オンラインRPG」!!ここで初めて交差し、すれ違っていた2人の物語が合流するのです!!しかも「あの頃」とは立場が逆転しています。子ども時代ゲームざんまいだったAは「オンラインRPG初心者」、子ども時代ゲームとは距離があったBは「オンラインRPGのベテラン」!そしてなんと2人はもうすでに出会っていて、「土曜日に一緒にオンラインゲーム内で遊ぶ関係」になっているのです!

そんな2人が同時に「ゲームしてぇなぁ!!」と声を合わせて言う瞬間、それぞれが歩んできた人生の中で抱いてきた「寂しさ」が報われるんです!!なんて美しいんだ!なんて尊いんだ!お前らどうか末永くお幸せに!!!

前述したこのCMが流れていたラジオ番組は、毎回各界の有名人がそれぞれのゲームについての思い出を語るという構成の番組だったのですが、その思い出達が見事に十人十色でありながら、でもどこか共通することを言っていたり、なんならほとんど同じ思い出を全然別の業界の人が語っていたりして、それはそれは面白く、このCMがこの番組で流れていたことの意味ったらないですし、ゲームに限らず、カルチャーや趣味が多様化している現代における、「同じ趣味を持っている喜び」ってそういうことだよなぁなんてしみじみ思わせてくれる最高のCMです。

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