環境の捉え方ステージ1-2-3(緑単フードのポジションを見ながら)
現在スタンダードで緑単フードが良いポジションにあると言われるので、VS Performanceを見ながら確認してみます。その後で、環境の捉え方について考えます。
主要6デッキの関係と緑単フードのポジション
まず、シェアの確認。シェア5%超は6デッキあります。グルールアドベンチャー、エスパードゥーム、デイミーアローグ、ここまでがシェア上位3デッキ。そして、緑単フード、ティムールミッドレンジ、ディミーアコントロールと続きます。
MTGmeta.ioのVS Performanceを見ると、緑単フードはシェア上位3デッキ全てとティムールミッドレンジ(シェア合計52%)に有利がついています。不利が付いているディミーアコントロールのシェアは6%に過ぎません。
他方で、緑単フードを除く他の5デッキには、対主要3デッキに不利マッチがあります。
次の図の赤矢印は主要3デッキが有利を取っている(=主要3デッキに不利を取られている)マッチです。シェアの大きいデッキに不利というのは大きなマイナス評価ですが、赤矢印が付いていないのは緑単フードだけです。
なるほど、「緑単フードが板」というわけです。(ディミーアローグはグルールアドベンチャーに対して微不利程度なのでもしかするとディミーアローグも良いのかも知れません。)
ステージ1
とは言え、この「緑単フードが板」という結論自体は、デッキの相性(VS Performance)を見るまでもなく、「Global Performanceが高くて、かつ、シェアがそれなりにある」という基準でデッキを選別すれば得られます。
Global Performanceが高いということは、すなわち主要デッキに対して有利が付いていることを意味します。(Global Performanceは各デッキに対する勝率(=VS Performance)にその各デッキのシェア(Metagame Share)で重み付けをした加重平均だからです。)
Global_Performance = Σ Matagame_Share * VS_Performance
したがって、Global Performanceの高いデッキのなかから(パフォーマンスの信頼できない)シェアが低いデッキを除外すれば、同じ結論を得られるわけです。(この場合はマルドゥドゥームとラクドスランプを除外して緑単フードが残る。)
したがって、こういう環境の捉え方をしている場合は、VS Performanceを見ることに実益はないでしょう。
「こういう」というのは、デッキ選択の自由が自分だけにあると仮定している、つまり、環境を変化しない、静的なものとして見ているということです。(ステージ1)
ステージ2
「緑単フードが板」と考えるのは自分だけではありません。その前提に立ったとき、環境を動的なものとして捉えることになります。
「緑単フードのGlobal Performanceが高い」という情報がプレイヤーに共有されると、緑単フードのシェアは大きくなります。反対に、緑単フードに不利なデッキのシェアは小さくなります。
さらには、緑単フードが増えることを見越して、緑単フードに有利なデッキが増えてくるかも知れません。
各デッキのシェア(Metagame Share)が変われば各デッキのGlobal Performanceも変わります。(繰り返しですが、下記参照。)
Global_Performance = Σ Matagame_Share * VS_Performance
この段階になるとVS Performanceを見る実益が出てきます。
シェアが変化するときにGlobal Performanceが高くなるデッキがどんなデッキかというと、(上の式のとおり)シェアが増えるデッキに対するVS Performanceが高いデッキです。
「緑単フードが増えるだろうから、緑単フードに有利のつくディミーアコントロールを握ろう」というステージです。(ステージ2)
ステージ3
もうひとつ先のステージになると、不利マッチを改善する構築が見つかる等してデッキ間の相性(VS Performance)が変化することを想定するようになるのでしょう。(ステージ3)
ただ、このステージ3で環境を見ている人というのは、ハイレベルで競技に取り組んでいるような少数の方だけではないでしょうか?
まとめ
環境の捉え方ステージ1-2-3をまとめると次のとおりです。
現実を正確に捉えているのはステージ1よりは2、2よりは3です。
ですが、ここで注意したいのは、環境変化のスピードが遅ければステージ1も十分有効だということです。
たとえば、Yoman5氏のメタゲーム解説では、ステージ2はもちろんステージ3に相当する考察もなされています。
けれども、最終的な結論としてWhat I’d Playのデッキは緑単フードです。
「緑単フードが増えるだろうから、緑単フードに有利のつくディミーアコントロールを握ろう」と考えても、想定よりも緑単フードが増えなければそのデッキ選択は失敗します。
重要なのは環境変化のスピードの見積もりではないかと思っています。
おわりに
マトリクス図に矢印を書き込んでいて、頭に浮かんだことをまとめました。
次は、VS Performanceを見ることなく環境を動的に捉える試みとして、パフォーマンスとシェアのマトリクス図の中で、デッキがどう動くかというお話をまとめたいと思います。あるいは、Global Performanceの算数について、頭の整理など。