初めて迎える入居。そして龍一の経済的虐待

夏の間は入居問い合わせもなくゼロ行進が続きます。毎日毎日本隊からイヤミを言われます。これに関してはやれる宣伝は全てしたのだからじっと待つしかありません。

よくいいますが『私が営業したから利用者見つかった』なんてのはあり得ません。福祉の営業というのは毎日の積み重ね。困った時に思い出してもらえるようにしなければなりません。

困った顔して利用者くれくれしてもババ引かされるだけです。

さて、夏の気配が抜けないある日、I病院のソーシャルワーカーから電話がありました

『空きはありますでしょうか。入居を希望されている人がいます』

飛び跳ねる勢いで胸が高鳴りました。I病院に訪問して試験外泊の日を組んで、退院も決めました。
試験外泊は一泊二日でしたが、嬉しくて私も泊まり込んだのを覚えています。

10月8日に入居となりました。しかしながらこの人に絡んでくるのは詐欺師の龍一です。

『俺と梅崎がI病院にパンフレットまきに行ったからこのルートがある。わかるか。向谷はそんなことできないしお前もそうやろ。違うか』

人が何がしようとしたら急に無茶振りして予定を無茶苦茶にすることしかしてないのによくもこんな盗っ人猛々しいことが言えるもんです

この方は年金だけで月20万。なんと前職は看護師という事で年金はいいのです。隣町のY弁護士が成年後見人でついていて、当座のお金として10万円預かりました。それを本隊の事務局長に預けようとしたら

『どうにかしてその金を抜いてくれ。成年後見人なんか訪ねてこないからわかるわけない。豚ゴリラもそうやって金を抜いている。俺らも同じことやって何が悪い。だいたい俺と梅崎がパンフレット置いたから(以下略)』

執拗に龍一から言われ、やむなく彼の指示に従いました。情けないのと恐怖がありました。バレた時はどうなるか。こんな盗っ人みたいなことするためにケアマネになったわけじゃない。

豚ゴリラというのは事務局長のことです。かっては男と女の間柄だったと推察されるのにこの呼び名は…。関係性は拗れていたのでしょう。

出入りの電気屋に政治家の妻に話して偽造領収書を龍一のパソコンで作り、弁護士にはテレビが欲しい。と許可をもらい、実行はされました。

これはのちに知るのですが、法曹関係ではお金の出入りを家庭裁判所に持っていくだけで、要はレシート揃っていて帳簿の数字が正しければそれで問題なくすぎるわけで、お金の管理なんて預けてる側に丸投げです。酷い事務所なんか成年後見だけチリも積もればで受けてそれで小遣い稼ぎをしている悪徳事務所もあるようです。成年後見人だからといって老人に思いやり持っている人なんかいないのです。
現にに私が就任している間、後見人の弁護士や補助者が訪ねてきたりなんかありませんでした。確かにコリャパクり放題だよなぁ。と呆れてしまいました。もちろん10万円は龍一が全て懐に入れてしまいました。

介護記録はパソコンで入力に変えたのですが、改変された形跡がありました。恐らくは龍一のやったことです。

本隊でも大都市から来た身寄りない生活保護者の預金が溜まってしまい、

『このままじゃ保護が切れるのよ。そうね。自費だけどこんな福祉用具買いたいって言っていたのよね』

とケアマネや龍一が出入りの福祉用具や電気屋と組んで不要な電化製品や福祉用具を買わせて通帳の預貯金を空にする。で、その人が亡くなるなり退去するなりしたら寄贈してもらった体で施設の備品にする。いわば老人マネーロンダリングです。気色悪いです。こんな事が罷り通ってはないとは思いますが、一部の事業者がこんな制度の隙間をつくことをしていたらみんなしていると誤解を招きますしマジメにやっている人を辱めることになりかねません。

私は龍一との力関係で悪事に引き込まれましたが、金銭的に徳をしたのは龍一だけで私は横領犯の汚名を被るだけになってしまいました。

くる人がいれば去る人もいます。これ以降退去が相次ぎます

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