初めて地域資源と繋がりを持てた日。龍一が老人を見殺しにした夜

さて、新規利用者もそうですが既存の老人も大事にしていかねばいけません。
以前顔面裂傷した旅人。この人が朝から様子がおかしいというのです。確かにホントに何かおかしい。しかもこの日は土曜日。医者もいません。やむなくどうするどうする、施設長病院によろしく。アホの従業員は全て丸投げです。結局病院には全て門前払いされ、出入りの訪問看護事業所に電話して急患の当番医を教えてもらいその大病院に駆け込みました。

しかしこれが待たされる待たされる。詐欺師の龍一が本当は夜勤だったのですが、息子の陸の講演会の飲み会があるから夜勤を変われと無理矢理夜勤をかわらされたのです。

時間は刻一刻と過ぎていきます。やむなく龍一に電話して事情話して帰ってきてくれと懇願したら

『帰れるわけがないやろ。夜勤変わってもらえ、それか旅人殺せ。俺は博多におるんだから帰れるわけないやろ。バカか。電話するな。お前がケアマネなんだからいいようにしろ』

これが公営競技の選手の父でなおかつ社会福祉に携わっている人間のいうことでしょうか。事実上老人を見殺しにしているとしか言えません。

だいたい夜勤始まっている時間に夜勤探すなんて出来るわけありません。

病院側の嫌がるのは夜勤の時の緊急入院受け入れです。夜勤もそれで動きが変わってきます。

検査が終わり受け入れ決まったのが午後9時。長かったです。病名は誤嚥性肺炎疑いでした。

疲弊しながら施設に戻ると施設にいたのは夢子ちゃんだけ。反社は夢子ちゃんに押し付けて定時で帰ったそうです。
緊急対応できない奴や家庭が大事というのは介護の仕事はしないで頂きたいですね。こんな予想外の対応しなければならないこともあり、家庭があるから。教えてもらってないから。なんてのは通りません。

夢子ちゃんに帰れと指示を出して夜勤また日勤しながら旅人の家族に連絡したりケース記録パソコンで入力(誰もキーボード扱えないのです)しながら日が暮れます。

老人は入院先で予測もできない身体機能低下があります。特に面会をこまめにしておかないと粗末に扱われてしまいます。旅人はガチガチに身体拘束をされておりもし目を光らせてないとどんな仕打ちをされるかわかったもんではありません。毎日面会に行くように心がけました。私がいけない時は宗佑に時給払って面会に行かせました。宗佑は面会行ったふりをしてタバコ吹かしたり、事務局長に無体な仕事をさせられていると注進しにいったり反発してきました。私が宗佑解雇の時も止めなかったのはそれです。
事務局長からは

『面会したから治るわけやないやろ。行くなそんなの。いいから営業しろ。赤字なんだから』

これも社会福祉に携わっている奴のいうことでしょうか。

しかし、施設長と言っても力がなく誠意くらいしか見せれませんでした。どうしたら誠意を見せられるか。毎日面会に行くくらいしか思いつかなかったのです。そんなことをひたすらに続けていた最中、病院の地域連携室の室長から声をかけてもらえました

『他の施設の方でここまで誠意を込めて見舞いに来てくれる方はいなかったですよ。感服しました。』

初めて地域の資源と繋がりが産まれました。その連携室から利用者紹介してもらうとかはなかったのですが、色々な地域の社会資源を紹介してもらったり、地域の空室ネットワークの存在を知り、それに登録させてもらえたことも一気に可能性が広がることに繋がりました。

今現在、その連携室で繋がった方は退職していなくなりましたが、貴重な財産でした。今だに忘れ難いですね。

旅人も退院しましたが、利用者少ない日々は続きます。そんなことをしながら厄介な対応にも応えないといけません。私が対応させられた入居に繋がらない入居相談。それについて思い出しながら書いてみたいです

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