タイトル

『Hack RUN』徹底攻略(日本語版)vol.4:LEVEL 26〜33

前回の『Hack RUN』で、君は窮地におちいってしまった。
ラリーの捨てゼリフには嫌な予感がつきまとう。「二度とハッキングできなくしてやる!」

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タイトル画面のレベル表示を見ると、さすがにゲームが全リセットされた訳ではないようだから、再開してみよう。
「Begin Your Run」を押すと……。


LEVEL 26:ボス!?

ローカルシステム・スタートアップ
起動処理完了

ローカルホストは順調に起動する。
が、こちらが何もしないうちにメッセージが出てきたぞ。

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メッセージを自動表示中……
非常に残念だ。話をしよう……今後について。
私は有能なハッカーを数人雇う事ができた。君にもそうあって欲しかったが、君は今回の攻撃に対処できないし、対処させる時間の余裕も私には無い。
自分の手で処理せよ。

あまりいいニュースとは言えないね。事実上、ボスからの解雇通告だ。


LEVEL 27:謎の連絡者

「攻撃」と言った通り、ラリーは君のマシンに手を加えてしまったようだ。ハック・プログラムを起動しようとすると……。

localhost> run

runコマンドはオフラインです

こんな表示が出て起動できない。なんてこった!
ボスに見放され、ハックもできない君に打つ手はあるのか?


ハック・プログラムが停止された今、何をすればいい?

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答:
コマンドを全て使ってみる

今はローカルホストでできる事を全部やるしかない。片っ端からコマンドを打ってみよう。

localhost> ls

lsコマンドはオフラインです

ラリーの手際はかなりのものだと言わざるを得ないね。なんとlsコマンドで自分のファイルを見ることさえできない! しかし、webブラウザとメールは起動できることが分かった。

localhost> mail
localhost.mail: ls

メールリスト:
hr(人事) <受信箱>
sales(売上)<受信箱>
admin(ネット管理者)<受信箱>
urgent(緊急)<受信箱>
playme(遊んで)<受信箱>

おや? 一番最後に見たことのないメールを受信しているぞ?

localhost.mail: show playme

やったわ! ずっとあなたと連絡を取りたかったの。
ラリーは自分自身が監視されてるとは思わなかったようね。彼の動向を尾けていたらあなたを見つけられたというわけ。
私の名前はMarie(マリー)、以前はRUN社のコンピューターセキュリティ・チーフだったわ。知りすぎてしまった私の後任がラリー。私はずっと反撃の機会を待っていて──それはあなたを助ける事にもなるはずよ。
このシステムでこれ以上は言えない。ゴー・トゥ・ノート.comでパスコード「born2run(やってやる)」で私の提案を読んで。今すぐに。

意外な所から味方が現れたようだ。はたして信用していいものだろうか?

playme(遊んで)という件名は、スパムに見せかけてラリーの目をそらす用心だったんだろう。一度ハックされた君のマシンで詳しいことは言いづらいようだ。


LEVEL 27:RUN社の機密

今はとにかく、彼女の情報を知るべきだろう。何をすればいいかはもちろん分かるよね?


マリーの詳しいメッセージを読むには?

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答:
ゴー・トゥ・ノート.comでパスコード「born2run」を入力する

レベル17で1度使ったゴー・トゥ・ノート.com、まだ使い方を忘れてはいないだろう。
パスコード
のページでマリーの指示通り「born2run」と入力すれば、彼女からのメッセージが表示される。

localhost.mail: exit
localhost> web
GotoNote.com
(Passcode?)
born2run (Submit)

私は元リ=ユージング・ネイチャー社のセキュリティ管理者。今は自分自身の意志でこのメッセージを書いている。
私がネット管理者権限で得た情報によれば、RUN社の業績拡大は危険なものだ。巨額で製薬会社の合併吸収をアメリカから世界まで広げる陰で、相手企業の幹部は脅迫され、おそらくは殺された者もいる。これを知った私も危険を感じ、RUN社を離れた。
だが直前、私はRUN社の全メールを調査した。そこで知ったのは、RUN社設立の恐ろしい陰謀だ。おそらく背後にいるのはアメリカ合衆国政府だ。政府の機密機関がRUN社に指示を与え資金を出し、ある計画を遂行しようとしているのだ。計画の全貌は私には分からない……。

RUN社が秘密を隠している機密区画があるらしい。陰謀を進めているのもそこだ。そこさえ見つかれば、我々にもチャンスはある。
私はダミーサイトを使って情報を流し、機密区画の場所を探っている。エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comがそれだ。そこで本格的な政府機密を暴露するのは難しいし、いい加減な記事に紛らわせることしかできていないが。

信用してくれたろうか? あなたの協力が欲しい。既にマシンには「backdoor(裏口)」プログラムをインストールしてある。これを使えばRUN社のリモートシステムを中継して、政府機関システムに「govt(政府)」で接続できる。アドレス 71.4462.232 が突破口になるだろう。機密区画を見つけ出し、秘密を暴く事を祈っている。
幸運を。マリー

大変なことになってきた!
RUN社の業績拡大はたびたび疑問になっていたけど、背後で非人道的なまねをしていたって? しかもアメリカ政府が後押ししている!?

マリーの話が正しいとすれば、今の所わからないのはRUN社と政府の「計画」、そして「機密区画」の場所だ。
何かヒントがあるかもしれない。もう1つのサイト、エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comにアクセスしてみよう。

AlienConspiracyTheories.com

エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comはこんなサイトだ。サイト名は「異星人陰謀論」という意味で、要するにトンデモな宇宙人ミステリーを追うサイトみたいだね。これなら何が書いてあってもガセネタだろうと誰も気にしない。マリーはそれを隠れミノに、RUN社の陰謀を記事に織り交ぜているようだ。

「副大統領がエイリアンの存在を示唆?」「地球にグルテンをもたらしたのは異星人?」「私は宇宙人と交際していた」等々、ひどい見出しに交じって「リ=ユージング・ネイチャー社は何者なのか?」という記事が載っている。

註:この記事は本来は某政治系サイトに投稿されたが、上層部に公開差し止めを命じられたため、この場を借りて告発する事とした。
政府はRUN社との関係をいまだ否定している。小さな一企業が突如として北米・南米・ヨーロッパ・アジアにまたがる巨大企業に膨れ上がり一大製薬会社となった謎について、同社の幹部はみな口を閉ざしている──ある人物はインタビューに応じると約束したが、直後に自殺死体として発見された──。
入手した政府文書によれば、RUN社には製薬会社とは別の機密区画が存在する。この件を調査中、RUN社と政府から激しい妨害にさらされ、いまだ「機密区画」の実態は謎だがそこに陰謀の鍵があるのは疑いもない。わずかでも情報をお持ちの読者はぜひお知らせいただきたい。

ここでもRUN社は怪しさ満点。やはり謎は「機密区画」だ。
それにしても、こんな細々とした活動で情報は集まるんだろうか……? 無理だからこそ、ハッカーとしての君に期待しているのかもしれない。

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Mary(マリー)
元RUN社員。RUN社の陰謀を探る

エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comの他のページには、これといって有効な情報はない。「キーボードを通してDNAをスキャンし宇宙人だけがアクセスできる」だの「精神を読むので連絡フォームは必要ない」だの「エイリアンネーム教えます」(自分のフルネームを入れると頭文字に応じたエイリアンネームに変換される……普通ならジョークプログラムだね)だのと、どうでもいいような事ばかり書いてある。

唯一、もしかして?と思わされるのは、メンバーログインページだ。
「普遍的ユーザーネーム」と「光通信パスワード」を入力するんだけど……ありそうなどの組み合わせでも「地球人お断り」、とログイン拒否されてしまう。

どうやらサイトで今できることは無いみたいだ。となると、マリーの情報にあった新プログラムの出番だろう。


政府機関システムに入るための3つのコマンドは?

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答:backdoor、govt、71.4462.232

マリーのメッセージでは専門用語めいて書いてあるが、実際には順にコマンドを打つだけで問題ない。

localhost> backdoor

マリー・バックドア・プログラム実行中…
侵入成功

backdoor/ govt

ここまでを図にしてみると、ハック・プログラムがボス製(run)からマリー製(backdoor)に変わり、それに合わせてコマンドも変わったという感じだ。生まれ変わったハック環境だね。

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接続中…
接続完了

address: 71.4462.232

nigel(ナイジェル)のログイン完了

成功! 君は政府機関のシステムに侵入した。どうやらアドレス「71.4462.232」は政府のエージェント、ナイジェルという男に割り当てられたナンバーのようだね。

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あらためて図にすると、こういう事。
コマンド「govt」は政府機関に接続するコマンドで、特定のアドレスを入れることでそれぞれの端末に接続できるようだ。


LEVEL 28:ナイジェルのメール

help(ヘルプ)メニューを見ても、できる事はメールしか無いようだ。
今は細い糸をたどっていくしかない。メールののぞき見を続けよう。

nigel> mail
nigel.mail> ls

メールリスト:
olive(オリーブ)<送信済>

nigel.mail> show olive

--- 全てのヘッダーを表示中 ---
発信:<71.4462.232>
宛先:olive@reusingnature.com <22.3201.556>
セキュリティ:enc UH4-layer
中継:echo654..119
中継:lima229..224
受信:intact/secure 988-33874
オリーブ、いま戻ったところだ。例の小包も届いていたが幸い私には必要ない。ピーターに任務は完了しそうだと伝えるよ。上からプレッシャーをかけられていた彼にはいいニュースだね。私にとっても、ラリーの前任者の件にかたが付くのは満足さ。あとは君の問題だな……幸運を祈るよ。ナイジェル

ナイジェルのアカウントでは、メールにヘッダーが付いているのがデフォルトのようだ。それにメールの中身もなんだか思わせぶりだね。話の途中から聞くような感じで、何の事を言っているのか今ひとつ分からないけど……
彼は名前を出したがらなかったが(用心深い男だ)「ラリーの前任者」というのはマリーに違いない。かたが付く? どういう事だろうか。

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Nigel(ナイジェル)
政府エージェント。マリーに関係した任務?

政府の陰謀を探るマリーは、ナイジェル達にとって厄介な存在だろう。彼女の件にかたを付ける……。嫌な予感がするね。
そこでナイジェルの言う「例の小包」も、もしかすると小包爆弾の事かもしれない。サイトで情報を募っている彼女に、それとない形で爆弾を送る……? でも、その爆弾が必要なくなったとは、一体……?

ナイジェルのメールで見られるのはこれだけ。ここからはまた新しいハックが必要になるようだ。いったんバックドア・プログラムの入口まで戻って、再び政府のシステムに侵入しよう。

nigel.mail> exit
nigel> exit
backdoor/ govt

address(アドレス):

もちろん改めてアドレスが聞かれる。ナイジェルのアドレスを入れても仕方ないので、新しいアドレスが必要だ。君には分かったかな?


次のユーザーをハックするためのアドレスは?

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答:
22.3201.556

ナイジェルがオリーブに宛てたメールのヘッダーに注目だ。
「宛先:olive@reusingnature.com <22.3201.556>」と書いてある。最後にある数字は、ナイジェルのアドレス「71.4462.232」と同じ、2桁・4桁・3桁の番号だ。つまり、これがオリーブのアドレスってわけ(メールアドレスによれば、オリーブがRUN社の社員らしいことも分かるね)。

address: 22.3201.556

olive(オリーブ)のログイン完了


LEVEL 29:オリーブの狙い

この辺りのハックはさいわい難しくない。その分、ストーリーが複雑になっていく。メールの文面の裏で何が起きているか、推理して把握しながら進めないとストーリーを見失うぞ。
まずはオリーブのメーラーを確認して、順にメールを見ていこう。

olive> mail
olive.mail> ls

メールリスト:
larry(ラリー)<送信済>
pete(ピーター)<送信済>

olive.mail> show larry

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ここでまたしてもラリーが出てきた。RUN社のセキュリティ・チーフの彼にオリーブから何の用だろう?

ラリー、聞いてる? 何度問題ないって言えば安心するの? あなたにはナイジェルがついてる。賭けはあなたの勝ちよ。いいこと、私の問題もすぐ解決するわ。生きて帰れる奴なんていない。内部の助けがあれば別だけど、馬鹿げた話よ。とにかくあなたの賭けは勝ちで決まり。
アレックス・トマソンは死んだも同然よ。

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アレックスが危ない!

ナイジェルもラリーも気にしていたオリーブの役目とは、アレックスを片付けることだった。
オリーブはRUN社の汚れ仕事を請け負っているらしい。要は社内殺し屋だ。アレックスはまだ無事だろうか? 殺し屋に目を付けられるとは、アレックスは何をしたのだろう?

olive.mail> show pete

ピーター? 時間がないの。居場所がつかめないおかげで仕事が片付かないわ。三角測量に信号追跡、あなたの手が必要なの。せめてネット経由であなたのPDAが使えればいいのに、アドレスは 93.482.3388 から変わったの? それとも電源を切ってるだけ? 今すぐ動いて私の任務を終わらせて。
早く片付けないとナイジェルに笑われてしまうわ。じゃあね。オリーブ

殺し屋のオリーブと、それをサポートする技術屋のピーターというところか。大口を叩いていたオリーブだが、アレックスの居所が突き止められず焦っているようだね。

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Olive(オリーブ)
RUN社の始末屋。アレックスを狙う

アレックス対RUN社の闘いはかなり長い時間をかけて少しずつ進行している。ここまでの情報を整理してみよう。

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まずアレックスは新入社員のアリスと接触している。この時アリスは知っていたのか知らなかったのか、アレックスはRUN社を調査していたようだ。

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それから人事部のエリース。彼女はRUN社をかぎ回るアレックスの存在を怪しく思い、ラリーに相談している。

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それからイタリアのケイトも、アリスをローマに引き離してまでアレックスの正体を探ろうとした。これもラリーが頼みの綱だ。

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おそらくラリーは、調査の結果アレックスに危険を見出したのだろう。社内の始末屋、オリーブに依頼したが……思いの外時間がかかって焦っている、というところか。

アレックスが生き延びているのは、オリーブの言った通り本当に「内部の助け」があったのかもしれない。だとすると、その協力者はケイトも警戒していたアリスなのかもしれないな。交際中に知ったか、もしかすると最初から協力者だったのか、とにかく今のアリスはアレックスを公私ともにサポートしているようだ。

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さあ、アレックスの運命は居場所を割り出されるかどうかにかかっている。そしてそれは技術屋のピーター次第だ。急いでピーターのアカウントをハックしよう。

どうすればいいのか、もちろん気が付いているよね?


ピーターのアドレスは何番?

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答:
93.482.3388

ずばりオリーブのメールに書いてあったから、ここまで来たプレイヤーならすぐ分かるはず。

olive.mail> exit
olive> exit
backdoor/ govt
address: 93.482.3388

peter(ピーター)のログイン完了


LEVEL 30:秘密のきざし

ここから先、どのメールもおろそかにできない重要な文面だ。注意しつつピーターのメールを見ていこう。

peter> mail
peter.mail> ls

メールリスト:
nigel(ナイジェル)<送信済>
sasha(サーシャ)<送信済>

peter.mail> show nigel

良くやってくれた、ナイジェル。後はあのバカ女が任務を果たしてくれさえすれば皆ハッピーなんだが。あれがいかに大事な事か、そもそも最初に分からせるべきだったよ。オリーブがヘマをして世間にRecogenal(リコジーナル)の事でもバレれば我々はおしまいだ。ピーター

ピーターとオリーブは対等の関係のようで、どうも内心ピーターはオリーブを下に見ているようだね。
オリーブの任務といえば、当然アレックス抹殺だ。どうもアレックス抹殺に失敗すると、RUN社にとって大事な「リコジーナル」の秘密がバレる危険があるらしい。このリコジーナル、名前の響きは薬っぽいけど、今のところまったく正体不明だ。
そして、ピーターがこんなメールをしているという事は、オリーブにはアレックスの位置情報を教えた後なんだろう。ナイジェルはマリー関係の任務完了が目前と言うし、オリーブに狙われるアレックスの命も風前の灯火だ!

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Peter(ピーター)
政府のエージェント。情報処理担当

peter.mail> show sasha

サーシャ、私は手一杯なのに、あのぽんこつデータベース・サーバーがまたフリーズしているぞ! 94.200.3331 からリモートで再起動させられるか? オリーブは任務に失敗するし、今度はヴァーチャファームまでこのザマだ。もしこの上あのサーバーがダウンなんて事になれば、我々は死を覚悟しなければ。頼んだぞ! ピーター

おやおや? オリーブは任務を果たせなかったようだ。からくもアレックスは逃げ切ったのだろうか?
もう1つの彼らの問題らしい、フリーズしたサーバーは「ヴァーチャファーム」と関係があるらしい。ヴァーチャファーム……訳すなら「仮想農場」とか? 何のことか今はまださっぱりだ。

とにかく彼らが大事にしているサーバー。機密情報が入っているのか、はたまた陰謀をそこで進めているのか……。ハッカーなら見逃せない情報だ。

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Sasha(サーシャ)
政府のエージェント。サーバー管理担当


データベース・サーバーに接続するためのアドレスは?

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答:
94.200.3331

メールに直接書いてあるから、さすがにここで詰まる事はないだろう。それより、ここまでの詰め込んだシナリオを忘れず理解しておきたいね。

peter.mail> exit
peter> exit
backdoor/ govt
address: 94.200.3331

queryのログイン完了

query(クエリー)とは「データの照会」といった意味で、人名じゃない。ピーターのメールにもあったけど、データベース・サーバーの操作に使うアドレスだったようだね。
ここから先は政府のデータ照会システムのハックになる。

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LEVEL 31:RUN社の謎を探れ

今回のハッキング相手は特定の誰かではないので、メールも使わない。やる事はデータベースを調べる事(かなり前に人事データベースをハックした事もあったよね?)。使えるコマンドをhelp(ヘルプ)で確認しよう。

query> help

ヘルプメニュー:
exit……ログアウト
help……コマンドメニューを表示
sql………システムからSQLデータを照会

今ひとつ分からない? 確かにこれだけだと説明不足だ。
ちなみにSQLというのは実在のデータベース言語なんだけど、まあこのゲームで言語系を勉強する必要まではない。とにかく使えるコマンド「sql」を打ってみよう。

query> sql

「help sql」で追加説明を表示します

これでやっと本格的なコマンドが表示される。少々まだるっこしいが、実際のコマンドプロンプトにもそういうところはあるしね。

query> help sql

sql (structured query language)
例:
select * from テーブル名
利用可能なテーブル名は master(マスター)テーブルを参照してください

この説明、正直親切とは言えないね。とは言え、不親切なリファレンスから機能を推測するのもハッカーの仕事のうち。何が書いてあるのか、技術職気分で解読してみよう。

Q
ここでsqlコマンドを何と打てばいい?

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答:
select * from master

日本語に翻訳したことで、だいぶ簡単にはなってしまった。全部英語で書いてあると、どこまでがコンピューター用語でどこまでが平文なのか、ひっかかる所も多いんだけど……。
ともかく、これはマスターテーブルを調べて、テーブル名一覧を表示する命令だ。結果を見てみよう。

query> select * from master

テーブル名       ファイルサイズ  アクセス権
backup(バックアップ)  127gb     wxw-xrx-rxw
master(マスター)     18gb     rrr-rwx-rrw
orders(注文)       17gb     rrw-wrx-wrr
products(製品)      3gb     rrw-wrx-wrr
regions(地域)      10gb     rrw-wrx-wrr

「ファイルサイズ」は見た通りだね。「アクセス権」は技術系に詳しい人なら分かるだろうが、まあこの場合どっちもほとんど関係ない。

このうちmaster(マスター)テーブルは今見ている一覧そのものなので、それ以外を順に表示することにしよう。

query> select * from backup

backupテーブルにアクセスできません

おっと、さっそく閲覧不可だ(アクセス権!)。
あきらめて、次のテーブルを表示する。

query> select * from orders

OID PID RID ステータス
5001 42 114 配達済
5002 171 114 配達済
5002 201 446 配達済
5002 455 52 輸送中
5002 655 901 処理中
5002 788 543 輸送中
5002 889 227 配達済
5003 192 285 輸送中
5003 172 963 配達済
5003 202 754 配達済
5003 203 734 処理中
5003 802 543 配達済
5003 804 233 処理中
5004 889 374 輸送中
5005 42 32 処理中
5005 455 754 配達済
5005 655 771 調査中
   :
   :

これは50行以上の長いリストなので、途中までにしておこう。
「OID」「PID」「RID」はオーダーIDやパーチェス(購入)IDの頭文字かな? まあとにかく、orders(注文)のテーブル名どおり発注関係のデータのようだ。

query> select * from products

PID 製品名
42 Altruiton(アルトルイトン)
171 Biogenaxic(バイオジェナシック)
172 Cryothanthylamide(クリオサンシラミド)
192 Ethylmollydon(エシルモリドン)
201 Hydroxilanth(ヒドロキシランス)
202 Iodanpanthice(アイオダンパシス)
203 Manthelope(マンシロープ)
455 Nagstentide(ナグステンティド)
607 Polyperpithine(ポリパーピシン)
655 Quindoxyalace(クィンドキシャレス)
788 Reoxigan(リオキシガン)
802 Unopganthium(アンプガンシウム)
804 Xamboendie(ザンボエンディ)
889 Yanthinide(ヤンシナイデ)
1993 Zyganode(ジガノード)

products(製品)テーブルは見ての通り(?)薬品が並んでいる。おそらく、このデータベースとRUN社は強いつながりがあるのだろう。
ピーターのメールに出てきた謎の「リコジーナル」はこのリストの中には無いようだ。あれは薬の名前じゃなかったのか? それとも、まだ実用前の試作品……?

query> select * from regions

RID 名称
12 ロサンジェルス、セブン・エンジェルス
52 オースティン、ブランドフォード・ツーリング
114 マイアミ、インダストリアル・エクスボッツ
227 シカゴ、バイオ・フェンド・コープ
321 バンクーバー、ワールド・リキッズ
593 ローマ、LXIIインダストリーズ
666 <RUN@75.2288.112>
668 ベルリン、パーティクル・ゲノミクス
670 パリ、プライベータ・ホールディングス
684 リマ、エクスポン・エンデバーズ
714 モスクワ、システム・ホリスティクス
730 カイロ、バイオダイン・ボンド
750 シドニー、アドバンスド・システムズ
771 ロンドン、コンパシス・ダイナミクス
773 マドリード、クィントニック・コープ
840 香港、コープXAAA
882 アムステルダム、バイオログ・タンクス
933 デンマーク、インターロジック・アンプ
964 ボン、バーチャコンド・エージェンシー

どうやらregions(地域)テーブルに書いてあるのは、取引先の地名と会社名のようだ。
会社の名前を見るとIT系? 工業系? はたまたバイオ関係? あまり統一感はない気がするが、とにかく世界中の様々な会社と取引しているのは確かだな。あるいはこれ全部が、政府の陰謀につながる会社なのかもしれない。

さて、ここまでで気付いたかな? 実はこの中に大事なカギがある。
このデータベースは今までよりセキュリティレベルの高い、政府以外の人間が読むと想定していないデータベースだ。だから他人に見られてはまずい情報もそのまま載っているんだ。
それはデータのうち、どの部分だろう? 注意深く読めば分かるはず。

Q
データベースに書いてあった、重要な情報とは?

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答:
75.2288.112(アドレス)

regions(地域)テーブルのRID666番を見てみよう。「RUN@75.2288.112」とある。RUN社の名前と、後半はアドレス。
出所から言って、これはRUN社の中でも特別な、政府が直に接触しているアドレスに違いない。
斜め読みしていると見逃しかねないが、ある程度注意していれば1つだけ異質な行が目を引いたはずだ。

さあ、問題のアドレスでログインしてみよう!

query> exit
backdoor/ govt
address: 75.2288.112

VRGB R.O.B.O.T.システムにようこそ
モデルXJ5a12 - バージョン37.501
2006年9月インストール
最新のヘルプはVRGB.comをご覧ください

これまでと全く違うシステムに侵入したぞ!

R.O.B.O.T.(ロボット)システム……? このシステムがRUN社の管理下にあるのは間違いないけど、工業用ロボットか何かだろうか。


LEVEL 32:工業プラントの戦い

ここでhelp(ヘルプ)コマンドを使っても、表示されるコマンドメニューはごく短いものだ。

最新のヘルプはVRGB.comをご覧ください
exit……ログアウト
help……コマンドメニューを表示
web……webブラウザーを起動

ここまであからさまだと、謎でもなんでもないだろう。webブラウザーから「VRGB.com」を見るしかないよね。

robot> web
VRGB.com

表示されるVRGB.comはこんなサイトだ。「VRGB」というのは「Virtupharmbotic R.O.B.O.T. Guide Books(ヴァーチャファームボティック・ロボット・ガイドブック)」の略だったらしい。

おや待てよ? 「ヴァーチャファームボティック」……どこかで聞いた言葉だ。

画像26

「ヴァーチャファームまでこのザマだ。」そうピーターが困っていたね。

ヴァーチャファームボティックという言葉は、ヴァーチャル(仮想)・ファーム(農場)・ロボティクス(ロボット工学)を組み合わせた造語だと推測できる。イメージで言うと、農夫のように工業ロボットを働かせて、農園を維持するように工業プラントを維持する、そういうコンセプトだろうか。

だんだん見えてきたね。政府は機密のサーバーを利用して、工業ロボットを使って無人工場を維持して、怪しげなモノを作っているみたいだ。
そうだ、マリーが気にしていた政府の「秘密区画」って、この工場の事なんじゃないか?

もしかすると今、政府の陰謀にダメージを与えるチャンスなのかもしれない。もっと詳しくサイトを見てみよう。

ヴァーチャファームボティック・システムのコマンド、ステータスコード、アップデート情報はこちら!
ダウンロード・インストール可能なシステム最新バージョンを常にアップデートしています。ご質問はメイン・メニューでロボットの型式に合ったマニュアルを参照した上で、テクニカルサポートにご連絡ください。

工業製品のサイトだけあってカタカナ用語がやたら多いが、とにかくサイトのメイン・メニューから情報が得られそうな事は分かった。

しかしそのメニューの先は……
モデルRBC661-20
モデルXJ5a12
モデルKRY09J6
モデルVBFR-IWKYA
どれも、メチャメチャ難しそうなマニュアルなんだけど!? これを全部読破しなきゃいけないの?

いやいや、さすがにそれはない。少なくともこのうち3つは必要ないページなんだ。どういう事か、分かったかな?

Q
VRGB.comで見るべきページはどれ?

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答:
モデルXJ5a12

いちばん最初にこのシステムに入った時、ロボットのモデル名が一緒に表示されていた事に気付いていたろうか。

VRGB R.O.B.O.T.システムにようこそ
モデルXJ5a12 - バージョン37.501

モデルの型番が同じなのは、XJ5a12。必要なのはこのページだけだ。
とは言ったものの、それでもなかなか難物そうだぞ、このページ。まあとにかく上から順に見ていこう。

モデルXJ5a12
(注:システムバージョン37.502アップデート適用)
命令は資格免許を持つ技術者が入力してください。規定の安全対策・注意書きを無視した場合契約条項は無効となります。

この辺りはごく普通の注意書きといったところかな。となると、やはり気になるのはその下だ。

命令表(ヒストリ機能はシステム全体のロールバックでのみ使えます)
 A1・ABC123XYZ8900   制御
t418・ZZYZZOZO・・・・Z・・  フレームバッファからコピー
7539・ZYZZZOZO・・・・Z・・  アクティブなORGパラメータを比較する
j73A・ZZZZYOZO・・・・Z・・  設定をコピー/ベリファイ
3340・ZZZYZOZOZ・・・・・・  定義シーケンスの変更
d85B・・・・・・O・・・・・・・・・   トラック/セッションを完了
g989・OX・・・・・・・・・・・・・   フィルタしたレジストリに比較/書き込み
stus・VMVTVVV・・・・・・・・   現在のシステムステータスを表示
x42C・V・・・・OO・・・・・・・・    事前消去(10)
f683・OOO4OO・O・・・・OO・  拡張コピー/ペースト
sdwn・HH・OONOO・QH・・・・ システムのシャットダウンプロセス実行
5893・・M・・・・・・・・・・・・・    事前消去(16)
l4A6・・・・・・・・O・・・・・・・     中型レベルの交換
l1AC・・・・・・・O・・・・・・・・     事前消去(12)
upgr・XIJ・FWLZZZ・O・・・    システムにアップデートを適用
y004・M・・F・・OO・・・・・・・   NULLユニットをフォーマット
togl・OOO・OOO・ZZ・OO・・  コンポーネントのON/OFF切り替え
4904・・O・・・・・・・・・・・・・    中型余剰のフォーマット
3304・・・O・・・・・・・・・・・・    大型フォーマット
coms・・・・OOOZZOOOOOO・ コンポーネントの稼働状態を表示
f508・・・・・・・・・・・・・・・・     メッセージ取得(6)
j725・・・F・・・・・・・・・・・・     ウィンドウ状態を取得・表示
5028・・・・・・・・・・・・・・・・    メッセージ取得(10)
vrsn・X・・・・・X・・・・・XX・    システムのバージョンを取得・表示
5334・CNJDKS・JS・D・・・・    データバッファ状態を取得
k446・・・・・・M・・・・・・・・・     初期設定を取得
e64A・・・・・・M・・・・・・・・・     基準値を取得
f7A8・・・・・・・・・・・・・・・・     メッセージ取得(12)
d3AC・・・・・・O・・・・・・・・・     処理速度を取得

うわあ! これはちょっと参るね。一気に全部理解しようとしても大変だ。分かることだけ少しずつ、順番に確認していこう。

1行目「ヒストリ機能は〜」というのは、直前に使われた命令を探ろうとしてもムダだってこと(コマンドラインを使った事があればイメージしやすいだろう)。まあできる事がひとつ減ったわけだ。

表の右列は、一番具体的だ。見るかぎりでは命令の説明書きだね。しかし、難しい言葉が並んでいてこれを利用できる気がますますしない。いったん置いておこう。

表の中列「ZZYZZOZO・・・・Z」とか暗号のようになっているのは、おそらく物理スイッチかシステム変数か(いや、気にしないで)……とにかく命令を実行する時、スイッチをこの状態に合わせるということだろう。いまネットを通じて限定的にアクセスしているハッカーには、手を出せそうにない。ここは無視して良さそうだ。

最後に表の左列は、単なる見出し語とは考えにくい。命令表という役割から消去法で考えても、やはりここが実際に打ち込む命令なのだろう。
たとえば最終行のように「d3AC」と打ち込めば、「処理速度を取得」できる……ということじゃないのかな。

確かめる方法はひとつだ。実際に打ち込んでみよう。

robot> d3AC

コマンド認識不能:「d3AC」

ダメだった。逆に言えば、正しい語句を打ち込めばコマンドとして認識される、ことは確かなようだが。何がいけなかったんだろう?
他の左列「f7A8」や「e64A」「k446」と打ち込んでみても、同じエラーが返ってくる。
まさか? と思いながら表中段から「ZZZYZOZOZ」と打っても、やっぱりエラーだ。

先に言ってしまうと、この命令表にはある法則がある。法則さえ知っていれば簡単にコマンドを認識させられるが、今のプレイヤーにはそれは分からない。

じゃあどうすればいい? ヒントは……考えすぎないことだ。


正しい法則を知るために、何をすればいい?

画像28

答:
手当たりしだいにコマンドを打ち続ける

たかが28行、左上から順に全部コピペしてもたいした手間じゃない。
実際、それよりも早くある法則に気付けるはずだ。

「t418」「7539」「j73A」「3340」「d85B」「g989」と打ってもどれもエラー。しかし、次はエラーにならないぞ。

robot> stus

システムステータス:
R.O.B.O.T.(ロボット)システム:稼働中
ベルトコンベア:稼働中
アーム:稼働中
配置スロープ:稼働中
読み込み機構:稼働中

命令表を見ると、「stus」コマンドの意味は「現在のシステムステータスを表示」だそうだ。あんまり役には立たないね……。次のコマンドを探しに戻ろう。

「x42C」「f683」はエラー、だけど次は通る。

robot> sdwn

現在のバージョンではサポート外です。

うまく実行できなかったようだが、認識はされているようだ。この「sdwn」コマンドは「システムのシャットダウンプロセス実行」とのこと。
かつてピーターは「もしこの上あのサーバーがダウンなんて事になれば、我々は死を覚悟しなければ。」と言っていた。いま、彼らにダメージを与えるためにもこのコマンドを実行してやりたいところだが……。

ところで待てよ、ここまでで何かに気が付かなかったかい?


ここまでで分かった、有効なコマンドの法則とは?

画像29

答:
アルファベット4文字のコマンドだけが有効

今まで有効だったのは「stus」「sdwn」。他に「upgr」や「togl」とか、似たパターンのコマンドがあるね。
それにアルファベット4文字というだけじゃなく、ステータス(status)表示がstus、シャットダウン(shutdown)がsdwnと、機能の略語になっているようだ。「f683」なんかと比べて非常にわかりやすい。

おそらく、この種の分かりやすい略語コマンドは「優先度の高いコマンド」なんだろう。それ以外の優先度が低いコマンドは、ネットから遠隔操作では使えないということなんじゃないかな。
それでは、有効と思われるコマンドだけを全部並べてみよう。

stus(status)現在のシステムステータスを表示
sdwn(shutdown)システムのシャットダウンプロセス実行
upgr(upgrade)システムにアップデートを適用
togl(toggle)コンポーネントのON/OFF切り替え
coms(components) コンポーネントの稼働状態を表示
vrsn(version)システムのバージョンを取得・表示

いまいち分からない命令もあるが、ここまででやるべき事は見えてきているよね。


いまシャットダウンのために必要なコマンドは?

画像30

答:
upgr(システムのアップデート)

いまシャットダウンしようとすると「現在のバージョンではサポート外です」と出るんだから、アップデートするのが正解だろう。
念のため、vrsn(バージョン表示)コマンドも先に使っておくのがいいかな。

robot> vrsn

現在のバージョン:v37.501

robot> upgr

使用法:upgr バージョン番号
バージョン番号にはアップグレードしたいリリースを記述します

おっと、ただ「upgr」だけでは無効らしく、より詳しい使用法が表示された。要するにどのバージョンにアップデートしたいか、番号で書けということらしい……。


アップデートすべきバージョン数は何番?

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答:
v37.502

見逃していなかったかな? 命令表ページの先頭に「バージョン37.502アップデート適用」と書いてあったね。
これで問題はない。素直にアップデートしてしまおう。

robot> upgr v37.502

R.O.B.O.T(ロボット)システムは問題なくバージョンv37.502にアップデートされました。

これでいよいよシャットダウンが可能になった、かと思えば……?

robot> sdwn

XJ5a12 R.O.B.O.T. システムはシャットダウンに失敗しました。全システムコンポーネントが問題なくシャットダウンしている事が必要です。

ええっと、シャットダウンのためにシャットダウンが必要?

どうもシステムの内部に、「コンポーネント(部品)」と呼ばれる単位が存在していて、まずはそっちを全部シャットダウンしなくてはいけないらしい。
理屈が分かってしまえば、もうやる事も分かったはずだ。


システムシャットダウンに必要なコマンドの手順は?

画像32

答:
「coms」(コンポーネントの稼働状態を確認)、次に「togl」(全コンポーネントをOFFにする)、最後に「sdwn」(システムをシャットダウン)

コンポーネントに関係するコマンドは2つしか残っていないから、あとは実際に使うだけだ。

robot> coms

システム・コンポーネントとコード名:
ベルトコンベア:belt
アーム:arms
配置スロープ:ramp
読み込み機構:load

それぞれのコンポーネントには、アルファベット4文字の「コード名」が割り振られているらしい。

robot> togl

使用法:togl コンポーネントコード名

なるほど、「togl」コマンド1発では実行できないようだ。さっきのバージョンアップと大差ないから、迷うほどの事はないだろう。
とりあえずベルトコンベア(belt)をOFFにしようとすると……。

robot> togl belt

無効なコンポーネント終了プロセス。依存するシステムの稼働中はコンポーネントをOFFにできません。

おや、またしても止められてしまった。どうやら末端のコンポーネントから大元のコンポーネントまで、順にOFFにしないといけないらしい。
人間の体でたとえるなら、腕をシャットダウンするためには、まず指をOFFにして、次に手首をOFF、次はひじ、肩というふうに、末端から根元の順にOFFにしていく感じかな。

実はこのコンポーネントをOFFにする順序、ほとんどノーヒントだ。今まで出てきた以上の情報はいっさいない。ただし、ある発想で順序を想像することはできる。


コンポーネントの正しい序列はどういう順番?

画像33

答:
(末端から順に)読み込み機構、配置スロープ、アーム、ベルトコンベア

これまでに2度、コンポーネントが一覧表示されていたけれど、常に同じ順序で表示されていたことに気付いていたかな? アルファベット順でもないし、という事はシステムにとって都合のいい順なのだろう。
分かりづらい話だったかな? ためしにもう1回見てみよう。

robot> stus

システムステータス:
R.O.B.O.T.(ロボット)システム:稼働中
ベルトコンベア:稼働中
アーム:稼働中
配置スロープ:稼働中
読み込み機構:稼働中

先頭行にシステム──つまり大元──が表示された。ということは、最終行に表示されているコンポーネントが末端、ということにならないかな?
だとすれば、下から順にOFFにしていけばいい、ということになる。

robot> togl load

読み込み機構をOFFにしました

robot> togl ramp

配置スロープをOFFにしました

robot> togl arms

アームをOFFにしました

robot> togl belt

ベルトコンベアをOFFにしました
R.O.B.O.T(ロボット)システムはシステム・シャットダウンできます

ついにここまで来た!
シャットダウン・コマンドを入れて、彼らのシステムを止めてやろう。

robot> sdwn

XJ5a12 R.O.B.O.T.システムは問題なくシャットダウンしました。
警告
未公認・予定外の重大なシャットダウンが発生しています。テクニカルサポート担当者への報告のため自動送信メッセージが <16.2222.900> に送信されました。

とうとう奴らに一矢報いてやったぞ!
このサイバー攻撃がどんな結果を生むのか、ぜひ確認しようじゃないか。まさか分からない、なんて事はないよね。


次のユーザーをハックするためのアドレスは?

画像34

答:
16.2222.900

もちろん、テクニカルサポート担当者とやらのアドレスだ。ヴァーチャファームの長い道のりで、この手のハックを忘れたりはしてないよね?

robot> exit
backdoor/ govt
address: 16.2222.900

sasha(サーシャ)のログイン完了

画像35

サーシャといえば、そう。そもそもこのサーバーの件でピーターから相談を受けていた人物だ。彼女がテクニカルサポート担当者だったようだね。


LEVEL 33:攻撃の余波

sasha> mail
sasha.mail> ls

メールリスト:
peter(ピーター)<送信済>

sasha.mail> show peter

ピーター! 私のデータベースとロボットに何が起きてるの! 警告メッセージの嵐に、それに、両方ともダウンしてる! 本当に何があったのか、何かヒントはないの? 失敗すれば政府に目を付けられるって……私もそうなるって事!? どうあれオンラインに戻せなかったら、政府が事態に気付くより先に〈支配者達〉に私たち殺されるわ。 サーシャ

うん? 大騒ぎなのはいいとして、〈支配者達〉ってなんだ?

RUN社の陰にいるのはアメリカ政府で、それが諸悪の根源だと今までは思っていた。だが、それよりさらに上手がいるというんだろうか。アメリカ政府より上の支配者……なんだかますます大ごとになってきてしまったぞ。

ここで、新しいメールが君に届く。

メッセージ「idea(見解)」をマリーから受信しました
ローカルホストに戻って内容を確認してください

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マリー。RUN社と政府の陰謀を探っていて、君に新しいハック環境をくれた恩人でもある。
彼女からのメールで、〈支配者達〉のまた別の一面が明らかになるのだけど……予想外の正体と、明らかになる謎の続きは次のノートVol.5で!