タイトル

『Hack RUN』徹底攻略(日本語版)vol.5:LEVEL 34〜43

前回までの『Hack RUN』は、協力者マリーからのメールを受信したところで終わったんだったね。さっそくメールを確認しよう。


LEVEL 34:マリーの疑念

sasha.mail> exit
sasha> exit
backdoor/ exit
localhost> mail
localhost.mail: show idea

政府の機密機関の情報をよく手に入れてくれたわ! あのロボットもシャットダウンして奴らはきりきり舞いね。確かに一撃加えられたけど、相手はまだまだ強大よ。それにサーシャの言う〈支配者達〉って何者かしら? あなたにはそれを探ってほしくて、手がかりも用意してある。思うに、あなたの元ボスこそ〈支配者達〉の一員じゃないかしら?
ネット活動を監視して、彼らが使っているシステムを見つけたの。あなたのマシンに「trace(追跡)」プログラムをインストールしておいたから、起動すれば自動的に接続されるわ。一緒にあなたのボスの正体を突き止めましょう。あと一歩よ。

何だって、あのボスが黒幕!?

だけど元々、君を雇ってRUN社の秘密を探させたのがボスだ。そのボスが実はRUN社の裏側、政府の背後にいる? 理屈に合わないんじゃないだろうか。

でもマリーがこう言うからには、何か(まだ確証まではない)根拠があって言っているのだろう。新しいハック・プログラムが、それを助けるかもしれない。

コマンド「trace」で図の右下、ボスのシステムに侵入する。
あの謎の人物に迫るチャンスだ。ためらわず突っ込め!


LEVEL 35:ボスからのメール

localhost.mail: exit
localhost> backdoor
backdoor/ trace

探知中…
追跡確立
ターゲットのシステムに接続完了

これがボスの使っているシステムらしい。当然ながらいつもと勝手が違うが、定石通りhelp(ヘルプ)コマンドでできる事を調べていこう。

trace> help

追跡プログラムヘルプメニュー:
exit……プログラム終了
help……システムのコマンドメニューを表示
mail……Eメールプログラムを起動
uplink…データ送信を確立

今まで見たことのない「uplink」コマンドが目を引くね。とはいえその前に、基本に戻ってメールの中身も見ておこう。

trace> mail
trace.mail> ls

メールリスト:
readme(お読み下さい)<アップロード済>
hr(人事) <送信済>
sales(売上)<送信済>
admin(ネット管理者)<送信済>
attacked(攻撃)<送信済>
status(状態)<送信済>

おっと、やけに多い……いや待てよ、件名にはどうも見覚えがある。ためしに先頭のメールを見てみよう。

trace.mail> show readme

依頼を受けてくれて喜ばしく思う。報酬の件は信用してくれていい。とにかく君のローカルシステムには、ハック・プログラムをインストールしておいた。「run」とタイプすれば起動する。
君のボスより

やっぱり、これは最初に君がボスから受け取ったメッセージだ。
「hr」「sales」「admin」「attacked」、どれも過去に君が受信したメールの文章だね。
逆に言えば……このメッセージが残っているシステムは、間違いなくボスのものだろう。「attacked」が君が最後に受け取ったメールだ(前回のノートの先頭で、解雇通告を受けたよね)。
そして最後のメール「status」は受け取った覚えがないので、別の誰かへのメールだろう。こういう情報が欲しかったんだ。

trace.mail> show status

To: <政府秘密機関>
Cc: <RUN社最上位メンバー>
現在、私たちの計画は予定通り進んでいる。諸君の協力には相応の報償が支払われるだろう。近日中の続報を受信されたい。

やはり……マリーの言った通り、ボスは〈支配者達〉の一員らしい。メールのあて先は政府とRUN社、それも彼らを下に見ているらしい文面だ。
〈支配者達〉、政府機密機関、RUN社最上位メンバー、彼らは何が目的なのか? 計画とは何だろう?

ここでマリーから再びメールの受信がある。

メッセージ「plan(計画)」を協力者マリーから受信しました

まだ試していないuplinkコマンドを使ってからにするか、マリーのメールを先に読むか悩むかもしれないけど、ずばり言ってここではメールを優先した方がストーリーはスムーズに進む。ここはtraceプログラムから外れておこう。

trace.mail> exit
trace> exit
backdoor/ exit


LEVEL 37:上位通信接続!

localhost> mail
localhost.mail: show plan

想像通りだったわね! 次は彼らの計画を明かす番よ。彼らのシステムにあるuplink(上位通信)コマンドを知ってるわね? ハッシュ反復アルゴリズムを使ってパスワードを解読してみる。あなたはプロンプトから上位通信に繋いで。後は私がやるわ。

やる事はもう明らかだけど、意味はちょっと分かりづらいかもしれない。簡単に言えば、マリーが自前のプログラムで上位通信のパスワードを解読するっていうことだ。そのために君が、彼らのシステムの内側から、マリーとの接続を仲立ちする必要がある。そこで使うのがuplinkコマンドだ。

localhost.mail: exit
localhost> backdoor
backdoor/ trace
trace> uplink

通信を確立中…
外部通信が届きました。
通信が接続されました

ここからは自動でマリーのプログラムが動き出し、パスワードを解読してくれる。解読し終わったらその状態で停止するので、君はreturn(enter)キーを押すだけでいい。

passcode: 8847384621

ログイン成功


LEVEL 38:再びRUN社へ

これで彼らの上位通信システムに侵入できた。さっきまで見ていたボスの環境より、さらに一段階セキュリティレベルの高い場所だ。とうぜん重要な情報もあるだろう。
ここは今までのメール中心のシステムと勝手が違っている。help(ヘルプ)コマンドで確認しよう。

ヘルプメニュー
exit…………………上位通信を終了
help…………………コマンドメニューを表示
hr……………………人事システムに接続
jump ユーザー名…端末に接続
ls……………………ファイルリストを表示
type ファイル名……ファイル内容を表示

人事システムとか端末とか、ずいぶん懐かしい言葉が出てきたぞ。
これ、先に言ってしまうと本当に君が最初の頃にハックしたRUN社のシステムと一緒なんだ(だからべつだん新しい情報はない)。このシステムを使っているボスは、RUN社に直接アクセスできる権限があるってことなんだろうね。

そこで、残っているコマンドといえばファイルリストだ。ボスの文書ファイルをのぞいてみよう。

uplink> ls

ファイルリスト:
failure(失敗)1k r-r rww rw-
larry(ラリー)2k r-r rww rw-

uplink> type failure

ピーター及びサーシャ
無能は許しがたい。データベースの壊滅とロボット操業プラントの事故によって我々は危険な状況にある。もしシステムを復旧できなければ、諸君にはリコジーナルを服用してもらう。分かっているだろうが──楽しい経験ではない。

ボスは相当お困りのようだ。技術担当のピーターとサーシャがひどく叱責されている。君のハックが原因なので少々気の毒といえば気の毒かも……。

気になるのはまた出てきた「リコジーナル」という薬の名前だ。確かピーターが情報漏洩を心配していた、RUN社の機密事項だったはず。それがここでは、脅しに使われている。
飲むとヤバい薬なのは間違いなさそうだが、その効果が世間にバレるとRUN社もヤバい……?

uplink> type larry

ラリー、Victor(ビクター)は──そう、一巻の終わりだ。彼は余計な事に首を突っ込みすぎたし、何度警告しても端末のパスワードを強化しなかった。あの子供じみたパスワードを誰かに気付かれる前に、アカウントを削除してくれ。たしかあれは、alphabet song(アルファベットの歌)のうち一拍止まる文字でできていたんだ。

ボスも色々気苦労が絶えないね。そしてボスには悪いけど、これはチャンスだ。ビクターはずさんなパスワードの持ち主で、しかも「余計な事に首を突っ込みすぎた」という。ハッカーにはおいしい相手だ。

さいわい、このシステムからは直接 jumpコマンドでビクターの端末に接続できる。パスワードのヒントもあるので、さっそくハックしよう……と言いたいところだけど、このパスワードはちょっと難物なんだ。

ポイントはもちろん「アルファベットの歌」だけど、君が考えたまま打ってもパスワードは通らないかもしれない。ヒントは、このゲームがアメリカのゲームだということ。ハッカーの情報収集能力が試されるぞ。


ビクターのパスワードは何?

「アルファベットの歌」が何のことか、知らない人はたぶんいないだろう。「きらきら星」の節で♪ABCDEFG〜、のあの歌だね。その歌が「一拍止まる」場所を1文字ずつピックアップするとパスワードになる、これもボスのメッセージに書いてあったことだ。

でも……、日本人が「アルファベットの歌」と聞いて思いつく節回しと、アメリカのそれは実は全然違う。
そうだな、YouTubeで「alphabet song(アルファベットの歌)」で検索してみると早いかもしれない。ネットでしかるべき情報を探すのも、ハッカー能力のうちだ。

これならどこで区切るかもはっきり分かるね。「きらきら星」以外のABCソングもあったりするから、間違わないように注意!

uplink> jump victor
password: gpsvxz

ログイン成功
ビクターの端末に接続しました

Victor(ビクター)
詮索がたたりボスの不興をかった

ここでちょっと余談。
このゲームでは登場人物の頭文字が、ABC順にふられている事は前にも書いたよね。ところがどういうわけか、この辺りではその法則に抜けが生まれている。P(ピーター)の後に、Qが付く名前・Rが付く名前が出ないでいきなりS(サーシャ)になり、その後またT・Uの付く名前は無視してV(ビクター)が登場する。
まあ確かにQの付く名前ってあんまりないけど、クエンティンだってQだし、Rが付く名前ならいっぱいある。シナリオにカットされた部分があったんだろうか? ちょっと気になるね。
ちなみにVから先はもう抜けがなくなる。XYZなんてどんな名前になるのか、楽しみに待ってみるのもいいだろう。


LEVEL 39:ビクターの調査

運のいいことに、まだビクターのアカウントは消される前のようだ。今のうちにビクターのメールを見てしまおう。

victor> mail
victor.mail: ls

メールリスト:
brian(ブライアン)<送信済>
david(デイビッド)<送信済>
elise(エリース)<送信済>

ずいぶん懐かしい名前が出てきたね。1人ずつ思い出しながら読んでみよう。

Brian Harold -(ブライアン・ハロルド・××)1988年6月1日生
販売担当。アリスの同僚。お調子者の野球狂。

victor.mail: show brian

ブライアン、君が正しかった。最初は信じられなかったが、RUN社が実験中の新薬をドラッグ中毒者に投薬しているのは事実だ。なぜこんな事を秘密裏に? 確かに疑惑が沸いてくるよ。

ブライアンは噂を否定していたが、その実怪しいとも思っていたみたいだ。ビクターは噂の真偽を確かめ、そしてRUN社とドラッグの関係にたどり着いたらしい。

投薬実験に正規のルートを使わず、秘密でドラッグディーラーを介してなんてどう見てもまともじゃない。RUN社は新薬の存在を隠しつつ、手早く実験できる方法を選んだという事だろうか。そんな事をしなければいけない薬とは、一体?

David Bart(デイビッド・バート・××)1978年5月23日生
新入社員教育担当。もう1人の野球マニア。

victor.mail: show david

デイビッド、全部調べた訳じゃないが、この謎の化合物の分子構造を見るに、資料にない成分が使われているのは確かだ。詳しく調べたいが、今は人事部と会議の準備がある。またすぐ連絡するよ。

謎の化合物──もしや実験中の新薬だろうか?
デイビッドがこの件に絡んでくるとは意外な気もするけど、ブライアンに憧れている彼らしいかもしれない。
ビクターの調査はあいにく人事部の会議で後回しになってしまったが……人事部と言えばちょうど最後のメール相手が人事部だ。

Elise Lisa(エリース・リサ・××)1965年11月3日生
人材雇用担当。

victor.mail: show elise

エリース、まだこれが何の会議か分からないんだけど、ともかく少し遅刻する。早急に化学研究室の人間と会って、彼らが新薬に加えようとしている成分について話し合う必要があるんだ。いま確かなのは、それは服用者の遺伝子情報を書き換える副作用があるって事だ。正気じゃない! とにかく急ぐ。

ビクターがボスの不興をかった事(その理由はもう分かりすぎるほど分かったね)と、人事部の呼び出しがかかった事は無関係ではなさそうだ。運が良ければクビにされるだけで済んだろうか……。

RUN社はどういう理由か、遺伝子情報を書き換える薬を作ろうとしているらしい。
そういえば思い出されるのは、Recogenal(リコジーナル)という薬だ。名前の中に入っている「gene(ジーン)」は遺伝子の意味。リコジーナルを少し強引にでも読み変えると、RE-COnstruction GENe-AL(リ=コンストラクション・ジーン=アル)つまり「遺伝子書き換えの」薬だったのでは?

ここでまたも、マリーからメールが君の元に届く。しかしそのタイトルは……。

メッセージ「dead(死亡)」をマリーから受信しました
ローカルホストに戻って内容を確認してください


LEVEL 40:最後のメッセージ

件名が dead(死亡)とは穏やかじゃない。マリーの周辺には政府のエージェント、ナイジェルの影もあったし不安はつのる。
とにかくメールを急いで見よう。

victor.mail: exit
victor> exit
uplink> exit
trace> exit
backdoor/ exit
localhost> mail
localhost.mail: show dead

これをあなたが読んでいるという事は、彼らが私の居場所をかぎ付けたという事ね。一定期間接触がなければこのメッセージを送信するようプログラムしておいたから──おそらく私はもう殺されている。私のウェブサイトに、あなたに向けた指示を残してあるわ。あなたの名前(ファーストネーム・ミドルネーム・ラストネーム)を入れれば読めるはずよ。運命と呼ぶのは大げさだけど、私のウェブサイトとあなたの名前が同じイニシャルなのは可笑しいとずっと思っていたわ。

なんてこった……! マリーは殺されてしまった。
ナイジェルが任務は完了同然とメールして以来、彼女が生き延びてこれたのはラッキーだったのかもしれない。

君はマリーの最後のメッセージを受け取らねばならない。数ステップの謎を解く必要があるが、一気に行こう。



マリーのメッセージを受け取るには
どのウェブサイトの、
どのページで、
何という名前を入れれば良い?

答:
エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comの、「エイリアンネーム教えます」のページで、Alex Chris Thomason(アレックス・クリス・トマソン)と入力する

マリーのウェブサイトといえば、エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comだ(ゴー・トゥ・ノート.comじゃないので間違えないように。そっちはマリーの利用しているサイトであって、マリー自身のサイトじゃない)。

サイトに入ったら、ログインページに行けばいいように思うかもしれない。ユーザーネームとパスワード、いかにもそれらしいページだが……たぶんこれはマリーの偽装だ。本当に行くべきは「エイリアンネーム教えます」。
いかにもふざけたページのふりをして、重要な情報を隠していたってわけ。
「フルネーム」を要求しているのはこのページだけだと覚えていればすぐに分かったろうし、消去法でもたどり着けるだろう(もう1つ、連絡フォームのページもあるけど、そこは名前を入れることもできないのですぐ消去できる)。

問題は、そこで入力する「君の」名前だ。
うーん……ここは少々反則というか、あれっ? と思ってもしかたない場面だろう。今まで君自身(たぶん日本人で、日本名を持っている)がプレイヤーのように遊んでいたのに、突然この場面で君には君のキャラクター名がある、って事になって何だか変だよね。
正直に言えば、このゲームはそういう人称の扱いが無頓着で、そこのところはちょっといただけない。
が、まあそういうものと思って遊ぶしかない。その先にはちょっとした驚きも待っているよ。

君の(プレイヤーキャラの!)名前は、マリーによれば「エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comと同じイニシャル」だそうだ。つまり、A. C. T. が君のイニシャルということになる。
ここまで注意深く遊んでいたならば、登場人物の名前は全部メモしていたかもしれないね。このノートでも、全員の名前を記録してある。その中で、条件に合うのは1人しかいない。

ファーストネームがAの人間は、Alice(アリス)かAlex(アレックス)だけ。
人事データベースでわかる2人のミドルネームは、アリス・Jill(ジル)と、アレックス・Chris(クリス)だから、イニシャルA. C. T. に合うのは後者だけだ。
アレックスのラストネームはケイトのメールにあったThomason(トマソン)。
Alex Chris Thomason(アレックス・クリス・トマソン)が入力すべき名前であり、君自身の名前というわけだ。
……そう、君こそがアレックスだった!

君自身のプロフィールを改めて見てみよう(変な話だけど)。
おそらくアレックスは最初からRUN社の機密を探っていた。新入社員アリスと接触し、その内にいい関係を築いたのか、協力し合うようになった。
RUN社の社員に怪しまれてからはアリスの助けもあってこれを逃げ切り、殺し屋を派遣されてもまだ隠れ家(つまり、君の今いる場所だ)を突き止められず助かっている。
それが君であり、アレックス・トマソンだ。

ゲーム序盤から付きまとった謎はついに解けた。今こそ、アレックスとしてマリーの最後のメッセージを受け取る番だ。

localhost.mail: exit
localhost> web
alienconspiracytheories.com
(Learn of Your Alien Name!)
Alex Chris Thomason

貴方の定めはここに…… ENTER(入室)

ここでENTERリンクをクリックすると、A.C.T. メンバーズページに入りマリーのメッセージが表示される。

(ENTER)

RUN社のシステムから得た最新の情報から、彼らの計画を知る事はできたが、最終目的までは分からない。RUN社の科学者はリコジーナルと呼ばれる謎の化合物を発見し、裏で世界中のドラッグディーラーに流している。RUN社は事を秘密裏に運ぶため合法なルートを使いたくないのだろう。あるいは当初リコジーナルは麻薬中毒者だけを対象にしていたかもしれないが、RUN社にはより大きな計画があると最新情報は示している。

少し前からRUN社は秘密のロボット制工場で、リコジーナルをあらゆる既製薬品に混入し始めていた。数週間で世界中にリコジーナルが蔓延するという訳だ。RUN社の科学者はリコジーナルに遺伝子的副作用があると考えているが、私が思うにその副作用こそが真の目的だ。地球上の全人類がこの影響を受け、それは世界中のRUN社幹部や政府の秘密組織ですら無事ではすまないだろう。すなわち──信じがたい話だが──政府とRUN社をコントロールしている何者かは、外宇宙からの訪問者だと考えられる。

この私の推論には、証拠が必要だ。遺伝子的副作用とは具体的に何なのか、確かめねばならない。私のプログラムの最新バージョンで〈訪問者〉のシステムをハックして欲しい。コマンド「get ufo(UFOを奪え)」であなたのローカルマシンはアクセス可能になる。私の調査によれば〈訪問者〉はRUN社からシステムのメンテナンス要員を雇っている。その女の名はWanda(ワンダ)。二進数への偏愛を買われたらしい。彼女のパスワードを暴きシステムをハックすれば、私達が戦っている相手について知る事ができるはずだ。
幸運を。


LEVEL 41:明かされた真実

マリー、マリー、本当なのか!?
遺伝子情報を書き換えるリコジーナルが違法ドラッグとしてテストされていたのは知っていた。だけど、それが世界中に、あらゆる薬に混ぜて流されるところだった!?(どうやら君のロボットシステムのハックで、計画は一時中断させられたようだが)

しかも、それを指揮している〈支配者達〉の正体は……宇宙人だって!?
確かに、リコジーナルが蔓延すれば無事で済む人間は少ないだろう。いつ自分も被害にあうか分からない計画をそんな性急に進めるだろうか? だとすれば背後にいるのは、「被害にあわずに済む」存在でなければおかしい……それは、人間じゃない。それがマリーの結論だ。
もちろん彼女の事だ、これも当て推量じゃなくいくつもの根拠があるのだろう。

そうだ……今思い出してみると、エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comにはこんな記事も載っていた。「副大統領がエイリアンの存在を示唆?

副大統領はまたも宇宙生命の存在を示唆した。ここ数ヶ月間の国内有数の宇宙科学者との会談は大きな節目を迎えている。「宇宙に不思議は無い。彼らと共にいられればね」 ある元宇宙局職員はこの会談の内容がE.T.の出現に関するもので「彼らは実在する!」と自身のブログに記したが、それは削除されている。問題の人物とは接触できず、彼も副大統領も現在沈黙を守っている。
彼らが秘密を隠そうとしているにせよ、「リトル・グリーン・マン」と地球の関係は重要だ。今月後半、副大統領は5回もの宇宙局との会議を設ける予定だ。
この歴史的新事実について、新しい情報の投稿をお待ちしている。

どう見ても針小棒大な、トンデモ話と思ってスルーしていたけれど、少なくとも副大統領が何度となく宇宙局と会議しているのは事実だ。では、まさか……?

君はマリーの言葉を確かめる必要がある。
ハックには、まずプログラムが必要だ。驚きの情報ばかりだったからといって、見逃してはいないよね?


マリーの最後のプログラムを受け取るコマンドは?

答:
get ufo(UFOを奪え)

これはメッセージに書いてあった通りで、悩むところじゃない。
悩むとしたら……、ここまで何層もローカルホスト、バックドア、追跡プログラムなど利用してきたどの位置で使えばいいかは、ちょっと疑問かな? そこも単純、マリーは「君のローカルマシン」と言っているので、ローカル(ホスト)から打ち込めばいい。

localhost> get ufo

「UFO」プログラムをダウンロードしインストール完了しました


LEVEL 42:二進数の謎

インストールは簡単に完了。これまでマリーにもらったハック・プログラムと同様、新しい「UFO」プログラムもbackdoor(裏口)から実行すればいい。

localhost> backdoor
backdoor/ ufo

宇宙船システムに接続中
接続完了

ここでユーザー名が聞かれるけど、ここまでは簡単だね。


宇宙船システムにログインするためのユーザー名は?

答:
wanda(ワンダ)

マリーのメッセージによれば、宇宙人はシステムのメンテ要員にワンダという人物を使っているという。当然、ログインするなら彼女を装うのが早いだろう。

username: wanda

Wanda(ワンダ)
宇宙船システムのメンテナンス担当。二進数を偏愛

彼女はかなりの変わり者のようだ。
彼女が愛する「二進数」というのは、デジタルの世界で多く使われる、0と1だけで書かれる数字。たとえば「百」を二進数で書くと、「1100100」になる。コンピューターらしく8桁で書けば「01100100」かな。詳しい説明は長くなるので省略するよ。
大ざっぱな言い方になるけど、いま君が読んでいるこの文章もコンピューターにとっては二進数でできていて、それを僕ら向けの文字に変換しているにすぎない。

そんな二進数を愛する彼女、当然デジタルに造詣が深いのだろう、そこを見込んで雇われたらしい。ここがどうやら重要なポイントのようだね。
おそらく君ひとりの頭で考えるだけでは突破は難しい。ネットを利用して謎を解いてくれ。ヒントは、そんなに巨大なパスワードじゃなく、やはり8文字という事……。


ワンダのパスワードは、何?

答:
01110111

ヒントがあっても難しかったに違いない! これはある程度コンピューター知識が必要だ。しかし、君が正しい推測と正しい検索をしていれば、おのずと答も見えてきただろう。

まず、パスワードが二進数でできているというのは簡単に想像がついたはず。しかし二進数で何を表わせばいいのか? 「百」とか「千」じゃ何の意味もなさそうだ。「二」を二進数で書けば「00000010」だけど……いや、このパスワードでは通らない。
考えられるのは、ワンダに関係すること。しかしそれを二進数で?

ここで発想の飛躍が必要になる。たとえば「コンピューター 文字」で検索すると、いくつもヒントが見えてくるはずだ。

コンピューター内部では、全てのデータは数字とし取り扱われている。(中略)例えば、英数字の場合、アスキーコード表というものがあり、 世界中で使われている。
──Yamamoto's laboratory「コンピューター内部での文字の表現」より抜粋

これを知れば、答はかなり近付いたはずだ。そこで、「アスキーコード 二進数」で検索をかけてみると、君が必要としている情報にたどり着く。

例えば、いまの検索キーワードで最初に出てきたのは「平らなホームページ」よりアスキーコード表だ。これを見ると、「!」なら「00100001」、「"」なら「00100010」と、文字を二進数にするとどうなるのかが表になっている!

あとはどの文字を二進数にすればいいのかだけ考えればいい。「binary(二進数)」のb? RUN社のR? いやいや、あんまり難しく考えずに「wanda(ワンダ)」のwでいい。
大文字のWと小文字のwがあって、ここでは小文字のw──つまり「01110111」が答になる。ここはちょっとイジワルだけど、今までのパスワードが全部小文字だった事から推測できるだろう。

password: 01110111

ログイン成功
RUN スペースクラフト・システムにようこそ


LEVEL 43:宇宙人の正体

スペースクラフト、つまり宇宙船だ。推測だが、RUN社と宇宙船の間、宇宙語と英語をつなぐインターフェースがこのシステムなんじゃないのかな?

だとすると、ワンダのアカウント自体で目新しい変化はないはずだ。メールののぞき見から始めよう。

wanda> mail
wanda.mail> ls

メールリスト:
hackers(ハッカー) <受信箱>

wanda.mail> show hackers

ワンダ、君の助けがいる。何もかもずたずたで、それを再び正さねばならん。計画を軌道に戻すためには君が必要だ。アレックスは危険だし、ラリーが受けた損害を回復している余裕はない。手助けが必要だ、早急に! 質問があれば隠し機能のping(呼び鈴)プログラムで連絡してくれ。

名前はないが文章から察するに、ヴァーチャファーム計画の監督者からのメールだろう(ボスかも?)。ワンダは本来計画とは別セクションのはずだけど、その彼女にヘルプを頼むくらい追い詰められているようだね。いいぞ!
そこで簡単な問題。


このメールを送った人物に接触する方法は?

答:
pingコマンドを打つ

pingとは本来はネットで対象の反応を調べるコマンド。というのがPCの基本だけど、この場合は相手に緊急連絡するコマンドなのかな。help(ヘルプ)メニューにも出てこない隠しコマンドなので、helpに頼っているとかえって見失うだろう。

wanda.mail> exit
wanda> ping

ping実行中……

君は私が悪玉だと思っているだろうが、落ち着いてよく聞いてほしい。アレックス、君を見捨てた事は謝る。時間が無かったのだ。君は見事にやってのけた。君が探っていた物の正体を明かす時だろう。君の想像通り、異星の種族がRUN社を操り地球の諸国家を攻撃しつつある。彼らの名はYengi-Tat(イェンギ=タット)、君たち人間にリコジーナルという危険な遺伝子操作物質をまき散らそうとしているのだ。

ボスからのメッセージだ! さすがと言うべきか、君のアクセスに気がついているようだ。
しかし、何か妙な雲行きだ。君に謝ったり、自分から手の内を明かし出したり……? メッセージの続きを読もう。

そこまでは君も知っていたろうが、その理由までは知らないだろう。理解してもらうためには「我々」の歴史を話す事になる。そう、私もかつて、君の惑星に降り立った者の1人だ。私の名はYurgon(ヤーゴン)、かつてイェンギ=タットの通信士長だった。君の星に着いた時、それは我々最悪の時だった。我々の母星は災害で滅び、宇宙を漂流していたのだ。

やっぱりボスも異星人だった! 彼は〈支配者達〉の一員だったから、君もうすうすは気付いていたろうか。ボスことヤーゴンのメッセージは続く。

ついにZyrgorkn(ズィルゴルカン)と呼ばれる異星人と遭遇し、我々は保護を期待した。だが悪夢じみたことに我らの船団は襲われ、わずかな船だけが君の星団まで逃げ切れたのだ。幸い、君たちは他の宇宙人に発見されていない未知の種族だった。我々は地球の一員となって安全さえ確保できれば良かった……そのはずが、我々の指導者達は恐怖のあまり侵略を決意したのだ。

故郷を失い、好戦的な異星人にまで襲われ、ボスと仲間たちも苦労していたようだ。地球に侵略を定めたのも苦労の裏返しではあるのだろう。もちろん地球人として黙って受け入れる訳にはいかない。

彼らの計画の骨子は人類の遺伝子情報を、従順な性質に書き換える事だ。3世代もすれば、事実上人類は大人しい奴隷に変わっているだろう。たやすく異星を制圧し、たやすくズィルゴルカンに対抗する兵士を作る計画だ。どうか信じて欲しいが、私はこの計画を知って恐怖にとらわれた。確かにもう宇宙に戻りたくはないし、君たち人類と簡単に共存できるかも分からない。それでも指導者達のやり方は間違っている。そんな私の反抗のきざしは気付かれ、私は基幹システムから遠ざけられてしまった。

ボスは地球人の味方だった! 相手は地球の権力を操る異星人、1人でも味方がいるのは心強いね。……もっともボスも反逆まではできず、表向きは計画を支援しているのが残念。

私自身に計画を止める力が無いなら、力のある者を雇うしかない。それが君だ。ハックを続け、どうにかして彼らを止めてくれ。君のコンピューターには十分なハック・プログラムがあるようだが、私からはもう1つ情報がある……。君の恋人アリスは誘拐された。RUN社から我々の側に「昇格」した人物のしわざだ。その名はXander(ザンダー)。彼はアリスを殺すつもりだ。

今度はアリスが危ない! 君ことアレックスの居場所を突き止められなかった敵は、恋人のアリスを狙う挙に出たということか。

彼女を誘拐したのは新たな敵、地球人にしてイェンギ=タットの側についた裏切者のザンダーだ。ザンダーを止める手はあるのか?

残された時間は少ないが、彼女を救うチャンスはあるはずだ。ザンダーはパスワードを必ず1年に12回変更し、それ以外は偏執的に変えようとしないという。私にはこれ以上は分からないが、彼のシステムにアクセスする手がかりにならないだろうか。もし運良く彼女を救えたなら、手遅れになる前にハックを続けてくれ。可能なら君の手助けにまた連絡したい。幸運を祈る。

どうやら……ザンダーをハックするヒントは見つかったようだね。迷っている時間はない、アリスを救え!


新しくUFOシステムにログインするための、
ユーザー名とパスワードは?

この問題の答とアリス救出劇、そしてイェンギ=タットの陰謀を阻止するクライマックスは次回のノートVol.6、完結編で!

Xander(ザンダー)
イェンギ=タット側についた地球人。アリスを誘拐した

Yurgon(ヤーゴン)
アレックスを雇った「ボス」。
元イェンギ=タットの通信士長で彼らの暴走を止めようとする