『Hack RUN』徹底攻略(日本語版)vol.4:LEVEL 26〜33
前回の『Hack RUN』で、君は窮地におちいってしまった。
ラリーの捨てゼリフには嫌な予感がつきまとう。「二度とハッキングできなくしてやる!」
タイトル画面のレベル表示を見ると、さすがにゲームが全リセットされた訳ではないようだから、再開してみよう。
「Begin Your Run」を押すと……。
LEVEL 26:ボス!?
ローカルホストは順調に起動する。
が、こちらが何もしないうちにメッセージが出てきたぞ。
あまりいいニュースとは言えないね。事実上、ボスからの解雇通告だ。
LEVEL 27:謎の連絡者
「攻撃」と言った通り、ラリーは君のマシンに手を加えてしまったようだ。ハック・プログラムを起動しようとすると……。
localhost> run
こんな表示が出て起動できない。なんてこった!
ボスに見放され、ハックもできない君に打つ手はあるのか?
Q
ハック・プログラムが停止された今、何をすればいい?
答:
コマンドを全て使ってみる
今はローカルホストでできる事を全部やるしかない。片っ端からコマンドを打ってみよう。
localhost> ls
ラリーの手際はかなりのものだと言わざるを得ないね。なんとlsコマンドで自分のファイルを見ることさえできない! しかし、webブラウザとメールは起動できることが分かった。
localhost> mail
localhost.mail: ls
おや? 一番最後に見たことのないメールを受信しているぞ?
localhost.mail: show playme
意外な所から味方が現れたようだ。はたして信用していいものだろうか?
playme(遊んで)という件名は、スパムに見せかけてラリーの目をそらす用心だったんだろう。一度ハックされた君のマシンで詳しいことは言いづらいようだ。
LEVEL 27:RUN社の機密
今はとにかく、彼女の情報を知るべきだろう。何をすればいいかはもちろん分かるよね?
Q
マリーの詳しいメッセージを読むには?
答:
ゴー・トゥ・ノート.comでパスコード「born2run」を入力する
レベル17で1度使ったゴー・トゥ・ノート.com、まだ使い方を忘れてはいないだろう。
パスコードのページでマリーの指示通り「born2run」と入力すれば、彼女からのメッセージが表示される。
localhost.mail: exit
localhost> web
GotoNote.com
(Passcode?)
born2run (Submit)
大変なことになってきた!
RUN社の業績拡大はたびたび疑問になっていたけど、背後で非人道的なまねをしていたって? しかもアメリカ政府が後押ししている!?
マリーの話が正しいとすれば、今の所わからないのはRUN社と政府の「計画」、そして「機密区画」の場所だ。
何かヒントがあるかもしれない。もう1つのサイト、エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comにアクセスしてみよう。
AlienConspiracyTheories.com
エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comはこんなサイトだ。サイト名は「異星人陰謀論」という意味で、要するにトンデモな宇宙人ミステリーを追うサイトみたいだね。これなら何が書いてあってもガセネタだろうと誰も気にしない。マリーはそれを隠れミノに、RUN社の陰謀を記事に織り交ぜているようだ。
「副大統領がエイリアンの存在を示唆?」「地球にグルテンをもたらしたのは異星人?」「私は宇宙人と交際していた」等々、ひどい見出しに交じって「リ=ユージング・ネイチャー社は何者なのか?」という記事が載っている。
ここでもRUN社は怪しさ満点。やはり謎は「機密区画」だ。
それにしても、こんな細々とした活動で情報は集まるんだろうか……? 無理だからこそ、ハッカーとしての君に期待しているのかもしれない。
Mary(マリー)
元RUN社員。RUN社の陰謀を探る
エイリアン・コンスピラシー・セオリーズ.comの他のページには、これといって有効な情報はない。「キーボードを通してDNAをスキャンし宇宙人だけがアクセスできる」だの「精神を読むので連絡フォームは必要ない」だの「エイリアンネーム教えます」(自分のフルネームを入れると頭文字に応じたエイリアンネームに変換される……普通ならジョークプログラムだね)だのと、どうでもいいような事ばかり書いてある。
唯一、もしかして?と思わされるのは、メンバーログインページだ。
「普遍的ユーザーネーム」と「光通信パスワード」を入力するんだけど……ありそうなどの組み合わせでも「地球人お断り」、とログイン拒否されてしまう。
どうやらサイトで今できることは無いみたいだ。となると、マリーの情報にあった新プログラムの出番だろう。
Q
政府機関システムに入るための3つのコマンドは?
答:backdoor、govt、71.4462.232
マリーのメッセージでは専門用語めいて書いてあるが、実際には順にコマンドを打つだけで問題ない。
localhost> backdoor
backdoor/ govt
ここまでを図にしてみると、ハック・プログラムがボス製(run)からマリー製(backdoor)に変わり、それに合わせてコマンドも変わったという感じだ。生まれ変わったハック環境だね。
address: 71.4462.232
成功! 君は政府機関のシステムに侵入した。どうやらアドレス「71.4462.232」は政府のエージェント、ナイジェルという男に割り当てられたナンバーのようだね。
あらためて図にすると、こういう事。
コマンド「govt」は政府機関に接続するコマンドで、特定のアドレスを入れることでそれぞれの端末に接続できるようだ。
LEVEL 28:ナイジェルのメール
help(ヘルプ)メニューを見ても、できる事はメールしか無いようだ。
今は細い糸をたどっていくしかない。メールののぞき見を続けよう。
nigel> mail
nigel.mail> ls
nigel.mail> show olive
ナイジェルのアカウントでは、メールにヘッダーが付いているのがデフォルトのようだ。それにメールの中身もなんだか思わせぶりだね。話の途中から聞くような感じで、何の事を言っているのか今ひとつ分からないけど……
彼は名前を出したがらなかったが(用心深い男だ)「ラリーの前任者」というのはマリーに違いない。かたが付く? どういう事だろうか。
Nigel(ナイジェル)
政府エージェント。マリーに関係した任務?
政府の陰謀を探るマリーは、ナイジェル達にとって厄介な存在だろう。彼女の件にかたを付ける……。嫌な予感がするね。
そこでナイジェルの言う「例の小包」も、もしかすると小包爆弾の事かもしれない。サイトで情報を募っている彼女に、それとない形で爆弾を送る……? でも、その爆弾が必要なくなったとは、一体……?
ナイジェルのメールで見られるのはこれだけ。ここからはまた新しいハックが必要になるようだ。いったんバックドア・プログラムの入口まで戻って、再び政府のシステムに侵入しよう。
nigel.mail> exit
nigel> exit
backdoor/ govt
もちろん改めてアドレスが聞かれる。ナイジェルのアドレスを入れても仕方ないので、新しいアドレスが必要だ。君には分かったかな?
Q
次のユーザーをハックするためのアドレスは?
答:
22.3201.556
ナイジェルがオリーブに宛てたメールのヘッダーに注目だ。
「宛先:olive@reusingnature.com <22.3201.556>」と書いてある。最後にある数字は、ナイジェルのアドレス「71.4462.232」と同じ、2桁・4桁・3桁の番号だ。つまり、これがオリーブのアドレスってわけ(メールアドレスによれば、オリーブがRUN社の社員らしいことも分かるね)。
address: 22.3201.556
LEVEL 29:オリーブの狙い
この辺りのハックはさいわい難しくない。その分、ストーリーが複雑になっていく。メールの文面の裏で何が起きているか、推理して把握しながら進めないとストーリーを見失うぞ。
まずはオリーブのメーラーを確認して、順にメールを見ていこう。
olive> mail
olive.mail> ls
olive.mail> show larry
ここでまたしてもラリーが出てきた。RUN社のセキュリティ・チーフの彼にオリーブから何の用だろう?
アレックスが危ない!
ナイジェルもラリーも気にしていたオリーブの役目とは、アレックスを片付けることだった。
オリーブはRUN社の汚れ仕事を請け負っているらしい。要は社内殺し屋だ。アレックスはまだ無事だろうか? 殺し屋に目を付けられるとは、アレックスは何をしたのだろう?
olive.mail> show pete
殺し屋のオリーブと、それをサポートする技術屋のピーターというところか。大口を叩いていたオリーブだが、アレックスの居所が突き止められず焦っているようだね。
Olive(オリーブ)
RUN社の始末屋。アレックスを狙う
アレックス対RUN社の闘いはかなり長い時間をかけて少しずつ進行している。ここまでの情報を整理してみよう。
まずアレックスは新入社員のアリスと接触している。この時アリスは知っていたのか知らなかったのか、アレックスはRUN社を調査していたようだ。
それから人事部のエリース。彼女はRUN社をかぎ回るアレックスの存在を怪しく思い、ラリーに相談している。
それからイタリアのケイトも、アリスをローマに引き離してまでアレックスの正体を探ろうとした。これもラリーが頼みの綱だ。
おそらくラリーは、調査の結果アレックスに危険を見出したのだろう。社内の始末屋、オリーブに依頼したが……思いの外時間がかかって焦っている、というところか。
アレックスが生き延びているのは、オリーブの言った通り本当に「内部の助け」があったのかもしれない。だとすると、その協力者はケイトも警戒していたアリスなのかもしれないな。交際中に知ったか、もしかすると最初から協力者だったのか、とにかく今のアリスはアレックスを公私ともにサポートしているようだ。
さあ、アレックスの運命は居場所を割り出されるかどうかにかかっている。そしてそれは技術屋のピーター次第だ。急いでピーターのアカウントをハックしよう。
どうすればいいのか、もちろん気が付いているよね?
Q
ピーターのアドレスは何番?
答:
93.482.3388
ずばりオリーブのメールに書いてあったから、ここまで来たプレイヤーならすぐ分かるはず。
olive.mail> exit
olive> exit
backdoor/ govt
address: 93.482.3388
LEVEL 30:秘密のきざし
ここから先、どのメールもおろそかにできない重要な文面だ。注意しつつピーターのメールを見ていこう。
peter> mail
peter.mail> ls
peter.mail> show nigel
ピーターとオリーブは対等の関係のようで、どうも内心ピーターはオリーブを下に見ているようだね。
オリーブの任務といえば、当然アレックス抹殺だ。どうもアレックス抹殺に失敗すると、RUN社にとって大事な「リコジーナル」の秘密がバレる危険があるらしい。このリコジーナル、名前の響きは薬っぽいけど、今のところまったく正体不明だ。
そして、ピーターがこんなメールをしているという事は、オリーブにはアレックスの位置情報を教えた後なんだろう。ナイジェルはマリー関係の任務完了が目前と言うし、オリーブに狙われるアレックスの命も風前の灯火だ!
Peter(ピーター)
政府のエージェント。情報処理担当
peter.mail> show sasha
おやおや? オリーブは任務を果たせなかったようだ。からくもアレックスは逃げ切ったのだろうか?
もう1つの彼らの問題らしい、フリーズしたサーバーは「ヴァーチャファーム」と関係があるらしい。ヴァーチャファーム……訳すなら「仮想農場」とか? 何のことか今はまださっぱりだ。
とにかく彼らが大事にしているサーバー。機密情報が入っているのか、はたまた陰謀をそこで進めているのか……。ハッカーなら見逃せない情報だ。
Sasha(サーシャ)
政府のエージェント。サーバー管理担当
Q
データベース・サーバーに接続するためのアドレスは?
答:
94.200.3331
メールに直接書いてあるから、さすがにここで詰まる事はないだろう。それより、ここまでの詰め込んだシナリオを忘れず理解しておきたいね。
peter.mail> exit
peter> exit
backdoor/ govt
address: 94.200.3331
query(クエリー)とは「データの照会」といった意味で、人名じゃない。ピーターのメールにもあったけど、データベース・サーバーの操作に使うアドレスだったようだね。
ここから先は政府のデータ照会システムのハックになる。
LEVEL 31:RUN社の謎を探れ
今回のハッキング相手は特定の誰かではないので、メールも使わない。やる事はデータベースを調べる事(かなり前に人事データベースをハックした事もあったよね?)。使えるコマンドをhelp(ヘルプ)で確認しよう。
query> help
今ひとつ分からない? 確かにこれだけだと説明不足だ。
ちなみにSQLというのは実在のデータベース言語なんだけど、まあこのゲームで言語系を勉強する必要まではない。とにかく使えるコマンド「sql」を打ってみよう。
query> sql
これでやっと本格的なコマンドが表示される。少々まだるっこしいが、実際のコマンドプロンプトにもそういうところはあるしね。
query> help sql
この説明、正直親切とは言えないね。とは言え、不親切なリファレンスから機能を推測するのもハッカーの仕事のうち。何が書いてあるのか、技術職気分で解読してみよう。
Q
ここでsqlコマンドを何と打てばいい?
答:
select * from master
日本語に翻訳したことで、だいぶ簡単にはなってしまった。全部英語で書いてあると、どこまでがコンピューター用語でどこまでが平文なのか、ひっかかる所も多いんだけど……。
ともかく、これはマスターテーブルを調べて、テーブル名一覧を表示する命令だ。結果を見てみよう。
query> select * from master
「ファイルサイズ」は見た通りだね。「アクセス権」は技術系に詳しい人なら分かるだろうが、まあこの場合どっちもほとんど関係ない。
このうちmaster(マスター)テーブルは今見ている一覧そのものなので、それ以外を順に表示することにしよう。
query> select * from backup
おっと、さっそく閲覧不可だ(アクセス権!)。
あきらめて、次のテーブルを表示する。
query> select * from orders
これは50行以上の長いリストなので、途中までにしておこう。
「OID」「PID」「RID」はオーダーIDやパーチェス(購入)IDの頭文字かな? まあとにかく、orders(注文)のテーブル名どおり発注関係のデータのようだ。
query> select * from products
products(製品)テーブルは見ての通り(?)薬品が並んでいる。おそらく、このデータベースとRUN社は強いつながりがあるのだろう。
ピーターのメールに出てきた謎の「リコジーナル」はこのリストの中には無いようだ。あれは薬の名前じゃなかったのか? それとも、まだ実用前の試作品……?
query> select * from regions
どうやらregions(地域)テーブルに書いてあるのは、取引先の地名と会社名のようだ。
会社の名前を見るとIT系? 工業系? はたまたバイオ関係? あまり統一感はない気がするが、とにかく世界中の様々な会社と取引しているのは確かだな。あるいはこれ全部が、政府の陰謀につながる会社なのかもしれない。
さて、ここまでで気付いたかな? 実はこの中に大事なカギがある。
このデータベースは今までよりセキュリティレベルの高い、政府以外の人間が読むと想定していないデータベースだ。だから他人に見られてはまずい情報もそのまま載っているんだ。
それはデータのうち、どの部分だろう? 注意深く読めば分かるはず。
Q
データベースに書いてあった、重要な情報とは?
答:
75.2288.112(アドレス)
regions(地域)テーブルのRID666番を見てみよう。「RUN@75.2288.112」とある。RUN社の名前と、後半はアドレス。
出所から言って、これはRUN社の中でも特別な、政府が直に接触しているアドレスに違いない。
斜め読みしていると見逃しかねないが、ある程度注意していれば1つだけ異質な行が目を引いたはずだ。
さあ、問題のアドレスでログインしてみよう!
query> exit
backdoor/ govt
address: 75.2288.112
これまでと全く違うシステムに侵入したぞ!
R.O.B.O.T.(ロボット)システム……? このシステムがRUN社の管理下にあるのは間違いないけど、工業用ロボットか何かだろうか。
LEVEL 32:工業プラントの戦い
ここでhelp(ヘルプ)コマンドを使っても、表示されるコマンドメニューはごく短いものだ。
ここまであからさまだと、謎でもなんでもないだろう。webブラウザーから「VRGB.com」を見るしかないよね。
robot> web
VRGB.com
表示されるVRGB.comはこんなサイトだ。「VRGB」というのは「Virtupharmbotic R.O.B.O.T. Guide Books(ヴァーチャファームボティック・ロボット・ガイドブック)」の略だったらしい。
おや待てよ? 「ヴァーチャファームボティック」……どこかで聞いた言葉だ。
「ヴァーチャファームまでこのザマだ。」そうピーターが困っていたね。
ヴァーチャファームボティックという言葉は、ヴァーチャル(仮想)・ファーム(農場)・ロボティクス(ロボット工学)を組み合わせた造語だと推測できる。イメージで言うと、農夫のように工業ロボットを働かせて、農園を維持するように工業プラントを維持する、そういうコンセプトだろうか。
だんだん見えてきたね。政府は機密のサーバーを利用して、工業ロボットを使って無人工場を維持して、怪しげなモノを作っているみたいだ。
そうだ、マリーが気にしていた政府の「秘密区画」って、この工場の事なんじゃないか?
もしかすると今、政府の陰謀にダメージを与えるチャンスなのかもしれない。もっと詳しくサイトを見てみよう。
工業製品のサイトだけあってカタカナ用語がやたら多いが、とにかくサイトのメイン・メニューから情報が得られそうな事は分かった。
しかしそのメニューの先は……
・モデルRBC661-20
・モデルXJ5a12
・モデルKRY09J6
・モデルVBFR-IWKYA
どれも、メチャメチャ難しそうなマニュアルなんだけど!? これを全部読破しなきゃいけないの?
いやいや、さすがにそれはない。少なくともこのうち3つは必要ないページなんだ。どういう事か、分かったかな?
Q
VRGB.comで見るべきページはどれ?
答:
モデルXJ5a12
いちばん最初にこのシステムに入った時、ロボットのモデル名が一緒に表示されていた事に気付いていたろうか。
モデルの型番が同じなのは、XJ5a12。必要なのはこのページだけだ。
とは言ったものの、それでもなかなか難物そうだぞ、このページ。まあとにかく上から順に見ていこう。
この辺りはごく普通の注意書きといったところかな。となると、やはり気になるのはその下だ。
うわあ! これはちょっと参るね。一気に全部理解しようとしても大変だ。分かることだけ少しずつ、順番に確認していこう。
1行目「ヒストリ機能は〜」というのは、直前に使われた命令を探ろうとしてもムダだってこと(コマンドラインを使った事があればイメージしやすいだろう)。まあできる事がひとつ減ったわけだ。
表の右列は、一番具体的だ。見るかぎりでは命令の説明書きだね。しかし、難しい言葉が並んでいてこれを利用できる気がますますしない。いったん置いておこう。
表の中列「ZZYZZOZO・・・・Z」とか暗号のようになっているのは、おそらく物理スイッチかシステム変数か(いや、気にしないで)……とにかく命令を実行する時、スイッチをこの状態に合わせるということだろう。いまネットを通じて限定的にアクセスしているハッカーには、手を出せそうにない。ここは無視して良さそうだ。
最後に表の左列は、単なる見出し語とは考えにくい。命令表という役割から消去法で考えても、やはりここが実際に打ち込む命令なのだろう。
たとえば最終行のように「d3AC」と打ち込めば、「処理速度を取得」できる……ということじゃないのかな。
確かめる方法はひとつだ。実際に打ち込んでみよう。
robot> d3AC
ダメだった。逆に言えば、正しい語句を打ち込めばコマンドとして認識される、ことは確かなようだが。何がいけなかったんだろう?
他の左列「f7A8」や「e64A」「k446」と打ち込んでみても、同じエラーが返ってくる。
まさか? と思いながら表中段から「ZZZYZOZOZ」と打っても、やっぱりエラーだ。
先に言ってしまうと、この命令表にはある法則がある。法則さえ知っていれば簡単にコマンドを認識させられるが、今のプレイヤーにはそれは分からない。
じゃあどうすればいい? ヒントは……考えすぎないことだ。
Q
正しい法則を知るために、何をすればいい?
答:
手当たりしだいにコマンドを打ち続ける
たかが28行、左上から順に全部コピペしてもたいした手間じゃない。
実際、それよりも早くある法則に気付けるはずだ。
「t418」「7539」「j73A」「3340」「d85B」「g989」と打ってもどれもエラー。しかし、次はエラーにならないぞ。
robot> stus
命令表を見ると、「stus」コマンドの意味は「現在のシステムステータスを表示」だそうだ。あんまり役には立たないね……。次のコマンドを探しに戻ろう。
「x42C」「f683」はエラー、だけど次は通る。
robot> sdwn
うまく実行できなかったようだが、認識はされているようだ。この「sdwn」コマンドは「システムのシャットダウンプロセス実行」とのこと。
かつてピーターは「もしこの上あのサーバーがダウンなんて事になれば、我々は死を覚悟しなければ。」と言っていた。いま、彼らにダメージを与えるためにもこのコマンドを実行してやりたいところだが……。
ところで待てよ、ここまでで何かに気が付かなかったかい?
Q
ここまでで分かった、有効なコマンドの法則とは?
答:
アルファベット4文字のコマンドだけが有効
今まで有効だったのは「stus」「sdwn」。他に「upgr」や「togl」とか、似たパターンのコマンドがあるね。
それにアルファベット4文字というだけじゃなく、ステータス(status)表示がstus、シャットダウン(shutdown)がsdwnと、機能の略語になっているようだ。「f683」なんかと比べて非常にわかりやすい。
おそらく、この種の分かりやすい略語コマンドは「優先度の高いコマンド」なんだろう。それ以外の優先度が低いコマンドは、ネットから遠隔操作では使えないということなんじゃないかな。
それでは、有効と思われるコマンドだけを全部並べてみよう。
いまいち分からない命令もあるが、ここまででやるべき事は見えてきているよね。
Q
いまシャットダウンのために必要なコマンドは?
答:
upgr(システムのアップデート)
いまシャットダウンしようとすると「現在のバージョンではサポート外です」と出るんだから、アップデートするのが正解だろう。
念のため、vrsn(バージョン表示)コマンドも先に使っておくのがいいかな。
robot> vrsn
robot> upgr
おっと、ただ「upgr」だけでは無効らしく、より詳しい使用法が表示された。要するにどのバージョンにアップデートしたいか、番号で書けということらしい……。
Q
アップデートすべきバージョン数は何番?
答:
v37.502
見逃していなかったかな? 命令表ページの先頭に「バージョン37.502アップデート適用」と書いてあったね。
これで問題はない。素直にアップデートしてしまおう。
robot> upgr v37.502
これでいよいよシャットダウンが可能になった、かと思えば……?
robot> sdwn
ええっと、シャットダウンのためにシャットダウンが必要?
どうもシステムの内部に、「コンポーネント(部品)」と呼ばれる単位が存在していて、まずはそっちを全部シャットダウンしなくてはいけないらしい。
理屈が分かってしまえば、もうやる事も分かったはずだ。
Q
システムシャットダウンに必要なコマンドの手順は?
答:
「coms」(コンポーネントの稼働状態を確認)、次に「togl」(全コンポーネントをOFFにする)、最後に「sdwn」(システムをシャットダウン)
コンポーネントに関係するコマンドは2つしか残っていないから、あとは実際に使うだけだ。
robot> coms
それぞれのコンポーネントには、アルファベット4文字の「コード名」が割り振られているらしい。
robot> togl
なるほど、「togl」コマンド1発では実行できないようだ。さっきのバージョンアップと大差ないから、迷うほどの事はないだろう。
とりあえずベルトコンベア(belt)をOFFにしようとすると……。
robot> togl belt
おや、またしても止められてしまった。どうやら末端のコンポーネントから大元のコンポーネントまで、順にOFFにしないといけないらしい。
人間の体でたとえるなら、腕をシャットダウンするためには、まず指をOFFにして、次に手首をOFF、次はひじ、肩というふうに、末端から根元の順にOFFにしていく感じかな。
実はこのコンポーネントをOFFにする順序、ほとんどノーヒントだ。今まで出てきた以上の情報はいっさいない。ただし、ある発想で順序を想像することはできる。
Q
コンポーネントの正しい序列はどういう順番?
答:
(末端から順に)読み込み機構、配置スロープ、アーム、ベルトコンベア
これまでに2度、コンポーネントが一覧表示されていたけれど、常に同じ順序で表示されていたことに気付いていたかな? アルファベット順でもないし、という事はシステムにとって都合のいい順なのだろう。
分かりづらい話だったかな? ためしにもう1回見てみよう。
robot> stus
先頭行にシステム──つまり大元──が表示された。ということは、最終行に表示されているコンポーネントが末端、ということにならないかな?
だとすれば、下から順にOFFにしていけばいい、ということになる。
robot> togl load
robot> togl ramp
robot> togl arms
robot> togl belt
ついにここまで来た!
シャットダウン・コマンドを入れて、彼らのシステムを止めてやろう。
robot> sdwn
とうとう奴らに一矢報いてやったぞ!
このサイバー攻撃がどんな結果を生むのか、ぜひ確認しようじゃないか。まさか分からない、なんて事はないよね。
Q
次のユーザーをハックするためのアドレスは?
答:
16.2222.900
もちろん、テクニカルサポート担当者とやらのアドレスだ。ヴァーチャファームの長い道のりで、この手のハックを忘れたりはしてないよね?
robot> exit
backdoor/ govt
address: 16.2222.900
サーシャといえば、そう。そもそもこのサーバーの件でピーターから相談を受けていた人物だ。彼女がテクニカルサポート担当者だったようだね。
LEVEL 33:攻撃の余波
sasha> mail
sasha.mail> ls
sasha.mail> show peter
うん? 大騒ぎなのはいいとして、〈支配者達〉ってなんだ?
RUN社の陰にいるのはアメリカ政府で、それが諸悪の根源だと今までは思っていた。だが、それよりさらに上手がいるというんだろうか。アメリカ政府より上の支配者……なんだかますます大ごとになってきてしまったぞ。
ここで、新しいメールが君に届く。
マリー。RUN社と政府の陰謀を探っていて、君に新しいハック環境をくれた恩人でもある。
彼女からのメールで、〈支配者達〉のまた別の一面が明らかになるのだけど……予想外の正体と、明らかになる謎の続きは次のノートVol.5で!