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大内山牛乳のごちそうたち

遅く起きた朝は?

(あー、ねむ……今日は朝ご飯作るのとか無理……)
そんな朝、現在の私には2つのメニューがある。
ひとつは筍ご飯(電子レンジ)とアマゴの一夜干し(焼くだけ)のセット。
さらに簡単なもうひとつは、妹の手作りグラノーラとミルクティーだ。

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妹はのグラノーラは旨い。
各種ナッツとオーツ麦をオーブンでローストした、メープルシロップ風味。
これが実に美味で、私にとっての最高の朝ご飯のひとつなのだ。
牛乳をかけるだけですぐ食べられるし。
(そして、今の私には、最強の牛乳がついてる!)
そう、三重県には大内山牛乳がある。
以前、お綱茶屋で「大内山ソフト」を食べて以来のファン。
ソフトクリームだけでなく、プレーンの牛乳も大変おいしい。
身内の手作りグラノーラを、地元の酪農家さんたちの牛乳でいただく幸せ。
各所からの愛情をはむはむといただく。
そうするうちに、朝のエネルギーが充填されていく。
それだけだと身体が冷えるので、温かい紅茶を濃いめに淹れておき、グラノーラを食べ終わった器へそそぐ。

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ほんのり甘みの溶けた牛乳。
おかげで、濃厚なミルクティーがさらに贅沢になる。
ナッツのかけら等が浮いてしまうのは、おうちごはんのご愛敬。
ちなみに、底の方で見落とされたオーツ麦は、ラストはお粥状になる。

むふふふふ、今日のあまあま朝ご飯も最高であった。
そういえば、今朝のグラノーラで牛乳は使い切っちゃったか。
(でも、もう1本、ストックがあるんだよねー)
農水省の「モ~1本」キャンペーンに乗っかって、2本買っておいたのだ。

にやにやと冷蔵庫を覗いた私。
そこで、衝撃の事実と向き合う羽目になる。
今朝使い終わった牛乳は、今日が賞味期限だった。
じゃあ、冷蔵庫のもう1本は?
(一昨日じゃないか!!なんという失態……)
実のところ、私は、賞味期限についてはわりとルーズ。
なので、飲む上で問題なのではない。
ただ、賞味期限が後のものを先に使ってしまったこと。
それがショックで、至らない自分が情けなくてたまらない。
なんてことだ……
せっかくの大内山牛乳に、私はなんて失礼なことを……
とまぁ、ほんのわずかな間、落ち込むだけ落ち込んだら、気が済んだ。
さぁ、ここからが勝負ですよ。
今日中になんとしてもやってしまおう。
1本の牛乳を一気に使い切るための、私の好きな調理法はなんだろう?

即答しよう。
それは、ホワイトソースである。

白ソースのための魔法

小さい頃からの大好物、グラタンに欠かせないホワイトソース。
作っておけば、使い道はいくらでも考案できる。
今日はグラタン、明日はトースト、なんならクリームスープもいいね。
しかし、そこにはひとつ、超えるべき壁が存在した。
今、我が家には小麦粉が無いのだ。
しかも、大家さんが昨日なにか言ってなかった?
「今度は小麦粉の買い占めやて。みんな、デマに踊らされすぎやな」
小麦粉???
皆さま、なんてタイムリーな買い占めを。
山道をウネウネと数十分も運転してまで、買いに行くべきか?
しかし、スーパーへたどり着いても、在庫が無いかもしれない……
初心者マークの私は悩んだ。
いや、小麦粉無しでなんとかならないのか?
悩むならそっちに悩むべきじゃないのか!?

そんな私を救ってくれた方はというと……
(はっ!今こそ、あの魔法の炒め玉ねぎを使う時!)
ご近所さんの玉ねぎは、ホントにたくさんいただいたので、一部をストック用に調理しておいたのだった。
カレーのルーにもなる炒め玉ねぎは、奄美で教わったレシピ。
強火で数分炒め、数十分は余熱にお任せして冷ます。
これを3回繰り返すと、1時間炒め続けたのと同じ旨味が出るという魔法。
やってみたら、甘いし旨いし、少しとろみも出ていた気がする。
よし!
牛乳と炒め玉ねぎだけのホワイトソース、やってみよう。

ホワイトソースは、たぶん、何百回も作ったことがある。
でも、小麦粉を使わずに作るなんてのは初めてだ。
本当にうまくいくのだろうか?
しかし、どこかで確信してもいる。
(大丈夫、大内山牛乳の力を信じるのよ!)

信じてひたすら混ぜるのだ

かくして、時間はかかるけれど至ってシンプルな工程となった。
冷蔵庫にあった炒め玉ねぎと大内山牛乳を鍋へ投入。
あとは、ひたすら木べらで鍋をかき回すだけだ。
火が強すぎないように。
気を付けるのはそれだけ。
あとは、何も考えず、ただただコトコト煮えていくのを待つ。

どのくらい時間、クルクルし続けただろうか。
(うん、なんかいい気がする)
ホワイトソースほど、とろみはついていないけれど。
最初の牛乳の真っ白さから、乳白色というかクリーム色に近づいたように見える。
木べらからぽたっとひとしずく、手のひらへ落として舐めてみる。
おおっ、これが大内山牛乳のホワイトソース!!
濃厚ミルクのまろやかさとコク、後味に玉ねぎの甘み。
小麦粉とバター無しでも、こんなに素敵になるなんて!

そうと来れば、こうしてはいられない。
塩を足して味を調えて、と。
こーんなゴージャスな濃厚ホワイトソースができたのだから。
(こ、ここはやはり、贅沢ごちそうコースで行っちゃいます?)
誰に聞いてるんだか。
でも、そのくらい、ちょっとソワソワする贅沢さなのだ。
なんといっても、私の二大好物の合わせ技なのですから。

そしてごちそうへ

どーん!!

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ミートソースとホワイトソース、二段構えのグラタン。
要は、ラザニアと同じ。
しかも、鹿ミートソースと大内山ホワイトソースの共演。
いろんな方面からの愛がこの一皿に!!
※言うまでもなく、カロリー面でも大変にゴージャスな一皿です。

オーブンは無いけれど、具材はみんな加熱済みだから、トースターで十分。
さて、焼き上がりは……お、ちょっと焦がしすぎ?
でも、いい焼き色だ、チーズの香ばしい匂いがたまらん!
作り置きキャロットラペと、作り置き玉ねぎスープと一緒に。
「いただきます!」

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今日はソースがゆるめなので、フォークじゃなくスプーンでいただく。
チーズの森をかき分けて、スプーンをさくりっと入れて見ると。
ほ~らっ、狙い通り。
白い海のなかに、すこーしミートソース色が溶けだしている。

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ペンネの中のあっつあつソースで舌をやけどしないよう、ふーふーして。
はむっと口の中へ放り込んでみた。
まず、香ばしいチーズとホワイトソース、ペンネの歯ごたえが先行。
そして、噛みしめたにんじんからミートソース味が続く。
これらがお口の中で合わさっていく、この一連がおいしいのだ。
ああ~、幸せ。
今日も、いい仕事したわ~、いい道のりだった。
(ぐっじょぶ、私。よくやった!!)
脳内で鳴り響くドラクエⅢのエンディング曲、ちなみにオーケストラ版。
おなかのすいた勢いで、グラタンを次々かき込んでいく。
口の中が濃厚すぎるな~と思い始めたら、はい、キャロットラペ。
うん、塩とにんじんの甘みも、いいバランス。
玉ねぎスープの甘みで口を漱いで、ほっとひと息。
今日は昨日よりもだいぶ寒いみたい。
あったかメニューが身体に沁みる沁みる。
ぽかぽかしてくる身体を感じながら、もぐもぐタイムも続く続く。
日が落ちるとあっという間に冷え込む山里。
今日の献立チョイスもばっちりだ。
友人知人もそれぞれに、素敵なお夕飯時を迎えているといいなぁ。

さて、本日も皆さまの愛に感謝して。
大内山牛乳の酪農家の皆さま。
またまた活躍の玉ねぎをくださったご近所さん。
今日もまた鹿肉をお分けくださった大家さん。
魔法の炒め玉ねぎを教えてくれた友だち。
皆さまのおかげで、少し寒い夜も“たべびと”は幸せいっぱいです。
「ごちそうさまでした!」


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