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全力で走るカタツムリを見守る

朝、バス停までの小径で時折カタツムリに出くわします。
雨上がりのときや、早朝の朝露が光る中、カタツムリが目の前を黙々と横切るのを見守るのは結構楽しいこと。
横断歩道で通学途中の小学生たちを見守る、みどりのおばさんよろしく、目的地に辿り着くまでを根気よく応援します。

そばで見ていると、相手も見られていると言う意識があるのか、歩みを早めて必死に前進しているように感じられます。
意外と彼ら、速足なので見守る方も熱が入るというもの。
彼らにとっては、2mほどの小径も中央環状線並みの道路幅なんじゃなかろうかと。
朝の通勤で急ぐ人は足元の小さな物体が必死に前進していることに気付かず、ガンガン走り抜けていきます。
自転車との事故やランナーとの衝突、スマホを見ながら歩く人との接触事故などなど、大いなるサバイバル。

対岸に達したときはやれ無事辿り着いた、とほっと一息なんじゃないかと、毎度思わされます。
何を思ってここを横断しようとしたのか、知る術もないけれど、ひたむきに前進を続ける努力を目の前にすると、なんとなく応援したくなってしまうのです。
掴まえてひょいと反対側の木の枝にワープさせてあげることもできるのだけれど、物事にはこの道中の工程が大切なことも多々ありなん。
子育て、人育てにも通ずる普遍的なテーマです。
カタツムリにすれば、見守られるのと、ワープさせてもらえるのと、どちらがよりウェルカムなんだろう、と考えながら、彼らの努力をそっと見守るまれさんです。

ちなみに、カタツムリは雌雄同体。
成熟した大人の個体同士が出会うと、互いが妊娠し合うという、合理的なメカニズムを持っています。
個体間の出会いがこの歩みの先にある以上、種を保存していくには出会いを逃さない戦略も必要。
大地の片隅で、性別を超えた世界を生きるカタツムリたちは、とっくに多様性社会を生きているんですよね。
そんな中でも、左巻カタツムリはレアなんだとか。
反時計回りの殻を持つカタツムリと出会ったら、その日はラッキーなことがあるかもしれませんよ。


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