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#アメリカン・ユートピア

これはスゴい、、

WHITE CINE QUINTO


音楽が中心なんだけど、様々な要素が絡み合ったステージ。
音楽ライヴ?演劇?ミュージカル?
こういうのを目指したアーティストはいたはずだけど、デイヴィッド・バーン御大が実現するとは。。
そして、映像作品としてその魅力を余すことなくスクリーンで魅せてくれるとは。

ショーのアイディアにまず驚く。
長い鎖を上方から垂らして三方を囲う、シンプルだけど存在感のあるステージ。
鎖の間からメンバーが出入りするのも、ありそうでない演出。
このセットを観る限り、演劇的な見せ方とも言える。

その鎖の間から出てくるメンバーの様子、増え方もユニーク。
最初はバーン氏が語るように歌い出す「HERE」で始まり、2人のダンサーが出てきて、次に鍵盤とパンデイロ?、、と、打楽器メンバーを中心にメンバーが増えていく。

12人全員が揃うのは、7曲目。そこからもメンバーが出たり入ったりしながら、12人の作り出すグルーヴに包まれてクライマックスを迎える。
バーン氏自身、ショーの中で自分が社交的ではないことを告白しつつ、1人では生きられないことを語るけど、このショーが人のつながりを最高の形で見せる構成であることも、バーン氏の伝えたいメッセージと捉えられる。

そう、演出という面で、オープニングから曲の真意を分かりやすくしているのが素晴らしい。
ショーのオープニングを飾る「Here」は、アルバム「アメリカン・ユートピア」のラストだけど、曲を聴いてもあんな解釈できやしない。
伝えたいメッセージの順番といい、本当に練られたショーであることは間違いない

そうだ、2人のダンサーも、このショーに欠かせない。
シリアスになりそうな曲の内容を、2人のダンスが分かりやすくファニーにして、観客はユーモアを持って受け止める。
ライヴではなくエンタテインメントに昇華してくれているこの2人の存在は非常に大きい。

ここまでショーの話ばかりだけど、ショーの中心はもちろん音楽。

このショーを力強くしているのが、9人のプレーヤー。
まず、映画のパンフで今作の監督を務めたスパイク・リー氏が「マーチングバンド」と掲揚した6人のパーカッショニストが織りなすグルーヴ!
そして、空間の四方に放たれる「マーチングバンド」の破裂音を包み込んで塊にまとめているのが、ねっとりとした後ろノリのベースライン。 
そこにギターのカッティングが打楽器の音とは違う軽さを加えて、巨大なグルーヴを作っている。

バンドマスターのキーボード、カール・マンスフィールド氏が、ショーの中心をバーン氏のヴォーカルとリズム(もちろん、ベースとギターを含む)に持ってきているところがニクい。
かと言って、ショーのベースをその音色でしっかり支えているから、実にセンスが良い。

そして、中心にあるのはバーン氏の歌声!
1時間半を超えるショーを、60代後半のアーティストがこのクオリティでこなせるのは凄まじい。
スクリーンに映し出されるバーン氏はとても若々しく、まぁ50代前半と言っても疑わない(実際は60代後半!)。

トーキング・ヘッズから最新ソロまで網羅したセットリストは、ベストと言える選曲でありつつ、コンセプトの一貫性が貫かれている。
バーン氏の曲だから、と言ってしまうとそれまでだけど、自身をアップデートしながら、社会問題にコミットしてきたバーン氏の楽曲をショーのバランスを考えて並べるとこうなるんだから恐れ入る。

ただ、このショーのポイントは、彼の足跡を知らなくても、観たら踊りたくなるし、グッとくるところ。
なんでだろう、、

元々ブロードウェイでの上演が決まっていたのか分からないけど、この編成でワールドツアーをしていたんだから恐れ入る。
youtubeには南米でのフェスの模様が上がっているのでチェックすべし。

と、ここまでショーだけに触れてきたけど、このショーを魅力的な映像にまとめたのはスパイク・リー監督!

まぁ、カット割りが本当に素晴らしい。
曲の魅力をどう引き出すか、ショーの流れをどう見せていくか、計算されている。

ステージ上で撮影したとしか思えないカットも多く、どんな風に撮影したのか謎が多い(数日シューティング?)。
近くで撮影したとしたら、メンバーがカメラ、カメラマンを意識せずにショーができたのもスゴい。

そう、カメラマンが見えない。確認できたのは、最後の「Road To Nowhere」、しかも最後の最後だけ。
これはこんな感じでカメラマンがいました、とわざと入れたカットかもしれない。
「ちゃんと観客の入ったショーを撮影しましたよ」と。

「スパイク・リーが監督したとは思えない」と書かれている人もいたけど、リー監督が我を通すだけの人物でもあるまい。
後半にリー監督っぽい演出はあったけど、あれはバーン氏のメッセージでもある。
CDのデラックス盤に入っているようなジャネル・モネイ氏の曲を、カバーしたいと申し出たわけだし。
(イベントで歌っているのを見て、直接連絡して許可を得たとのこと)

まぁ、まとまりなく書いてきたけど、素晴らしいショーとそれを詰め込んだ最高の映像がここで観られる。
5月下旬に観てから3度観たけど、これだけ書きとめたくなったのは、この作品が、このショーがいかに素晴らしいかということ。
傑作!!

パンフレット


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と、banされた以前のインスタアカウントに書きとめようとしていた感想。
「何か忘れていることは?」と思っていて、
残しておいて良かった!

そして、なかなか実現しなかった立川シネマシティでの極上音響上映。
ようやく、、シネマ・ツー a studioでの最強上映!
そして、初日はピーター・バラカン氏と立川直樹氏によるトークショー付き。最高の組み合わせ!

トークショー

シネマシティの極音上映の何が違うって、まず観客の拍手。
まるでその場で起こっているような臨場感!ゾクッと来た、、

打楽器の音も違った。特に、スネアの瑞々しさよ、、
ギターの音の粒も鮮明だったなぁ。
そして、本編ラストの「One Fine Day」での12人によるアカペラ。泣きそうになった、、

唯一「ん?」と思ったのは、ベースのグルーヴ感が出てなかったこと。
「Lazy」あたりはもっとうねうねしていた気がする。
3/4から数館で追加上映されるので、別の映画館でも観たい。

まぁ、傑作ですよ。間違いなく。
そして、シネマシティの極上音響上映の本気を感じました。ええ。
何回でも観に行きたい、、立川が近ければなぁ、、

立川シネマシティ


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