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#ミッドナイトスワン

これほど「初めて観る」ことが大切な映画を観たことがない。
2回観ても素晴らしい!でも、「初めて」には勝てない。

「最初」を大切に。隅から隅まで。
でも、しっかり受け取って観る2回目も至極。

そして、最後まで観ること。


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青みがかったスクリーンに、凪沙の唇が映るシーン。
1stカットで、この映画が大切なものになると確信した。

とにかく、この映画は凄い!
理由はたくさん。

「色が良い」
作品の大半は青いフィルターがかかっていて、ノスタルジーを感じた。
これは回顧だから?と最初観た時に思ったけど、2度観て分かったのは、一果の現在、ニューヨークで、というシーンは白い。おそらく意図的にそういう色合いにしたんだろうなぁ。
ニューヨークロケはこのご時世で中止され、国内でその映像をおさえたようだけど、最後のニューヨークとオーディションでオデットを踊るシーンに、今を生きる一果の未来が明るく感じた。
もう一度観るなら、色だけ追っかけたいな。


「画が良い」
凪沙の部屋とバレースクール。
整頓されているけど物が多い、どこにでもあるような部屋の凪沙の構図。
バレースクールで雑然と置かれたタオル。
どれも徹底的にこだわっている、ある種アート写真のように見えた。
この場面はもちろん、どのカットも構図が素晴らしい。
お気に入りの「写真」が絶対に見つかるはず!


「話が良い」
トランスジェンダー、ネグレクトといった社会問題を描きつつも、実は人と人との結びつきを描いている。
なりたい自分になるはずの凪沙が、親戚の娘というだけの一果と時をすごすことで、一果のために「してあげたい」自分に、一果は凪沙の思いを受け止め(朝ご飯のあのシーンは、この作品の一番肝では?)、「なりたい」自分になろうとする。
話はシンプルだけど、その過程がすべて愛おしい。


「キャストの顔が良い」
まず一果。
凪沙のところに来た時と、広島に帰ってコンビニの前にたむろしてる時。
一方、中学校を卒業する時。
彼女の顔を見ただけで彼女の心の内を表している。要注目。

ネグレクトの原因である一果の母親、早織もそう。
初めて登場するシーンは、水川あさみだと全く思わなかった。そして、卒業式の場面。
出演シーンは少ないけど、その顔でその時点の状態をしっかり分からせてくれている。

でも、やっぱり、凪沙!凄まじい!
あの肌感。決してきれいとは言えないけど、しっかり手入れされていることを窺わせる。
肌の状態はそれほど変わらないし、表情豊かか?と言えばそうではない。
ただ、微妙な変化に、凪沙の複雑な心情が窺えるというのが、、
草彅剛という人を、これほどまでに魅力的に捉えた作品もないのでは?


「キャストが良い」
なにしろ、凪沙と一果。それに尽きる。
特に、一果役の服部樹咲は、バレエの先生から世界に行けるかもしれない、というレベルでバレエに取り組んでいる人物(と、内田監督がインタビューで答えている)。
彼女の存在はもちろん、バレエダンサーとしてのポテンシャルがあったからこそ、この作品が説得力を持ったと言えるでしょ。

なんて書き出したら、キリがない。
洋子ママも、りんも、まあ素晴らしかった!
長くなるので省略!悪いわけがない!


「音楽が良い」
渋谷慶一郎が手掛けた音楽は、Midnight Swanを幹にして、どれも素晴らしい。
幹からバリエーションを作成してるから統一性があるのは当然だけど、なにしろ、Midnight Swanがドツボすぎて、、
悲しみとノスタルジー、時に力強く。そんな感じ。
CD、すぐポチった。ホントはアナログ欲しい!


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「話が良い」を3番目に持ってきたけど、話がすごく良いのは当然のこととして、映画館で観る、という意味で、色と画の素晴らしさは、この作品をより高みへ押し上げている。
とにかく、「良い」ものの相乗効果がこれほど出てる作品もなかなかないのでは?
いや、ないか?

でかいスクリーンで、どっぷりその画に浸るのをオススメしたい!
本当に素晴らしい作品だった。。


一つ残念なのは、パンフレット的なものが電子書籍にしかないこと。
余韻に浸るためには、物としてのパンフレットが欲しい。
内容も、もっとキャストのインタビューとか関係者のものが欲しかった。
やはり、中の人が何を感じ、この作品にのぞんでいたのかがすごく気になる。

ま、これから出そうな気はするけど! ヒットしてるし!

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