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インフラ巡礼 in 姫路市 ウォーカブルなまちの実現に向けて現場で働く人にインタビュー!<大手前通り再整備事業編>


にこちゃん

きらちゃん、姫路市って行ったことある?

きらちゃん

うん!行ったことあるよ!
姫路市は兵庫県の都市で、
県内では人口が神戸市に次いで2番目に多い都市なんだよね。

げんきくん

そうそう。
特に姫路城は有名で、日本で初めて選ばれた世界遺産の一つなんだ!
姫路城はJR姫路駅北口から徒歩で行ける距離に立地しているよ!

きらちゃん

JR姫路駅は駅前広場の再整備が進み、平成27年に完成。
今では大きく様変わりしたようだね。

げんきくん

そうそう。
さらに、姫路城とJR姫路駅とを結び、南北に延びる「大手前通り」も、
駅前広場の完成後、再整備を行ったとのこと!
JR姫路駅、大手前通り、ともに様々なにぎわいを生む取組をされていると
聞いたことがあるよ!

にこちゃん

駅前だけでなく通りにおいても、にぎわいを生む取組をされているとは!
是非、その様子を紹介したいな!

げんきくん

では、今回は令和2年に再整備工事が完成した大手前通りをメインに現地を取材し、事業に取り組む皆さんにお話を伺いましょう!


ということで、にこちゃん、きらちゃん、げんきくんは姫路市まで現地取材に行くことに!今回は姫路市 観光経済局  中心市街地活性化推進室 室長の杉野さん、都市局 都市計画課 技術主任の川島さん、建設局 道路管理課 主任の井上さん、建設局 街路建設課 技術主任の三輪さんにお話をお聞きました。(所属は取材当時)

姫路城をバックに、左から姫路市の杉野さん、川島さん、井上さん、三輪さん

1.JR姫路駅周辺の再整備とは


では、まずは簡単に、JR姫路駅周辺の再整備について見ていきましょう。そもそも姫路城とJR姫路駅の周辺はどのような位置関係か。先にも述べましたが、以下の写真がより分かりやすいかと思います。

このように姫路城は、JR姫路駅の北側に位置し、その間を大手前通りが南北に走ります。

杉野さんによれば、「高架化前のJR姫路駅周辺は過去、慢性的な交通渋滞が発生。南北をつなぐ踏切において、半日以上開かずの踏切もあった。」とのこと。そこで姫路市は、南北交通の円滑化と南北市街地の一体化を目指すことにしました。 

このような背景がきっかけとなり、2011年の高架化完成後、JR姫路駅の駅前広場再整備(姫路駅周辺土地区画整理事業)が開始されました。

 JR姫路駅の再整備では、「城を望み、時を感じ人が交流するおもてなし広場」を基本コンセプトとして整備が進められました。その結果、JR姫路駅周辺は大きく様変わり。以下は、以前のJR姫路駅前の周辺エリアの様子なのですが・・・

整備前の駅前広場(平成23年3月)
整備前の大手前通り(平成23年3月)

以上のようなJR姫路駅の駅前広場が、今では以下のような姿に生まれ変わりました。

以前のJR姫路駅しか知らない読者の皆様にとっては、大変驚かれたのではないでしょうか?JR姫路駅の駅前広場は、今回の整備事業で歩行者空間・環境空間を確保して「歩行者優先のまちづくり」を行い、以上のような大きな変貌を遂げたのでした。

さて、今回のメインは大手前通りの再整備事業!簡単にJR姫路駅の駅前広場の再整備をお伝えしたところで、この駅前広場と姫路城の間を延びる大手前通りの再整備事業をこれから見ていきたいと思います!

2.大手前通り再整備事業の背景


大手前通りは姫路市が管理する市道であって、先にも述べた通り、JR姫路駅北口の駅前広場から姫路城まで延びる大通りです。姫路市の三輪さんに、大手前通りの再整備事業の背景をお伺いしました。

「この大手前通りでは、道路施設の老朽化やバリアフリー面、自転車通行環境面などで課題がありました。(以下の写真のように)以前の大手前通りは、樹木の根上がり等により歩道の舗装が老朽化し、段差が発生してしまいました。また、歩道においては歩行者と自転車とが分離されておらず、混在により危険な歩道になってしまうなど、様々な課題が発生していました。この課題の発生が大手前通りの再整備事業の背景の一つです。」(三輪さん)

さらには、「先の課題に加え、平成27年の姫路城大天守保存修理工事・グランドオープン、同年のJR姫路駅北駅前広場の完成により、大手前通りの再整備への市民の期待が高まってきました。」(三輪さん)とのこと。つまり、解決しなければならない課題があるとともに、姫路城のグランドオープンやJR姫路駅の駅前広場の再開発などの要素が重なり、大手前通りの大規模な再整備が始まることになったのです。

3.大手前通り再整備事業のコンセプト


三輪さんによれば、「歩いて楽しい、大好きなお城への道~「ひと」が集い「まち」とつながる大手前通り~」をコンセプトとし、大手前通りを3つのゾーンに分けて、それぞれの特色ある道路整備と空間の利活用に取り組むことにしたのだそうです。

「今回の整備では、路肩を縮小させることで、歩道の幅を約14.6mから約16.1mに拡幅し、より快適な歩行者空間を創出しています。」(三輪さん)

また、この大手前通り、実は日本で初めて、大阪市の御堂筋、神戸市の三宮中央通りとともに、「歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)」として指定された道路なのです。ほこみちとは、にぎわいのある道路の構築のための道路の指定制度です。例えば、本制度では、やむを得ない場合しか占用(設置)が許可されないテーブルやイス、看板、キッチンカーのような食事施設などの道路への占用が許可されることなります。

姫路市はこのような制度も積極的に活用しつつ、様々な取組を行っているのです。

それでは、各ゾーンについて具体的に見ていきたいと思います!

まずは外曲輪(そとぐるわ)・おもてなしゾーンです。このゾーンはおもてなしゾーンとして、来街者にあえて姫路城からいったん目を離してもらい、足元の緑や花を楽しんでもらう「緑と花のおもてなし空間」を演出しています。

以下の写真は外曲輪・おもてなしゾーンですが、赤丸で囲った箇所には、地域住民により植栽された市民花壇が設けられています。確かに駅を出て、いったん目を引いた姫路城から、思わず足元の緑やキレイなお花に目移りしてしまいました!地域住民の皆さんもこのように、“まちの魅力度向上”に参画しているのですね!

外曲輪・おもてなしゾーン
市民花壇

続いて、商業にぎわい・活用ゾーンについてです。このゾーンは、「市民主体の活用によるにぎわい空間、おもてなしの情報発信空間」の構築に向けて整備されています。このゾーンでは、以下の写真のようにウッドデッキなどが設置され、これらをイベントやオープンカフェなどで利活用できるなど、このような仕掛けを活用し、にぎわい構築に向けた空間が整備されているのです。

加えて、現場を案内してくださった井上さんによれば、「このゾーンでは、周辺店舗が毎日、歩道へのテーブルやイスなどのファニチャーの設置、およびその片づけを実施しています。」とのことで、まさに行政と地域住民とが一体となって、滞留空間の構築を目指しているのです。

ちなみに、このゾーンを歩いていると、ほこみち特例区域を示す“鋲(びょう)”を発見!かわいいですね!

さて、最後に中曲輪(なかくるわ)・城前庭(しろまえにわ)ゾーンです。このゾーンは、「姫路城を感じる静かな休息空間」の構築に向けて整備されています。先に紹介した2つのゾーンとは異なり、このゾーンは姫路城との調和を意識した整備内容であって、重厚感のある色使いが特徴となっています。以下がこのゾーンの写真となります。ご覧のように、かがり火照明の演出などもあって、姫路城と調和した、重厚感のある歩道空間が整備されています!

以上、大手前通り再整備における3つのゾーンについてのご紹介でした。

ちなみに、この「ほこみち制度」の活用の中で、姫路市は2022年10月、2023年2月、3月に利用者に対するアンケートを実施。利用者からは、「開放的で気持ちよく過ごすことができた」、「(普段)外で食べられるお店が少ないので、とても良かった」などの声が寄せられるとともに、大手前通りに屋外テラス席を増やしてほしいという意見も多く、利用者満足度が非常に高いことが分かりました。また、利用者の性別や年代も様々である調査結果となり、この「ほこみち制度」を活用した大手前通りが、多様な属性の利用者の受け皿として機能していることが分かりました。

4.姫路市が目指す姿


先に述べたように、姫路市はJR姫路駅前広場の再整備事業から始まり、大手前通りの再整備事業に取り組んでいるわけですが、姫路市が目指す姿は何なのでしょうか?川島さんによれば、姫路市は、「“居心地が良く歩きたくなるまちなか”、いわゆる“ウォーカブルなまち”を目指している」のだそうです。その目指す姿に向け、姫路市は令和3年3月末に、姫路市ウォーカブル推進計画を策定しました。姫路市は本計画を通して、中心市街地において歩行者優先の居心地が良く歩きたくなるまちなかを目指し、公共空間利活用の仕組みやリノベーションまちづくりなどのウォーカブルな環境づくりにつながるさまざまな取組を進めています。

杉野さんによれば、例えば以下の図のように、JR姫路駅と姫路城間の観光客の動線が、大手前通りを挟んで東西に15の商店街(約600店舗)があるにも関わらず、南北の一直線になってしまっており、東西にある商店街とのつながりが希薄になってしまっているのだそう。

姫路市としては、将来的には、大手前通りや商店街に様々な“日常の風景”をつくり、以下の図のように、観光客などの来街者の皆さんには、姫路城への行き帰りの中で、それらを体験してもらえるような姿を目指しているのです。

これはまさに、“居心地が良く歩きたくなるまちなか”、いわゆる“ウォーカブルなまち”なのではないでしょうか。姫路市はそのような目指す姿に向けて、まちでの多様な過ごし方の選択肢を増やそうと、社会実験も含めて様々な取組を実施しています。例えば、以下の写真のように、道路を歩行者天国にして様々なイベントを実施するなど、姫路市は現在、公共空間利活用の仕組みの検討に取り組んでいるのです。

5.ナイトタイムイベントを実施!


上述のように様々な取組を行っているJR姫路駅から姫路城の間のエリア。2024年2月現在、JR姫路駅~大手前通りにかけて、イルミネーションが行われています(開催期間:2023年11月22日~2024年2月29日)。現地では、以下の写真のように、光をふんだんに使った空間演出がなされておりました!


げんきくん

JR姫路駅の駅前広場から姫路城までかけてイルミネーションで彩られ、
まさに歴史と現代の融合という感じだね!

きらちゃん

非常に幻想的な空間が演出され、
現地では私たちも心が本当に惹きつけられてしまいました!

にこちゃん

多くの来街者もイルミネーションに見入っており、
“非日常の光の空間”を楽しんでいるように感じられました!

取材当日は、この光の空間の魅力に魅せられて、JR姫路駅~姫路城間を行き交う来街者を数多く目にしました。姫路市はウォーカブルなまちを目指し、昼だけではなく、夜においてもこのような魅力的なナイトタイムイベントを実施!昼夜問わず、まさに“歩きたくなるまち”の実現に向け、様々な創意工夫でまちの魅力を高める活動に日々取り組んでいるのです!


げんきくん

今回の現地取材も非常に勉強になったね!

きらちゃん

うん!
行政だけではなく、地域住民の皆さんも一緒になって
ウォーカブルなまちづくりに関わる姿は、本当に良いものだと感じました!

にこちゃん

そうだね! 
地域住民の皆さんも、アイデアを出して、
まちの魅力を高めようとしているんだ。

げんきくん

読者の皆様もぜひ一度、
姫路市を訪れてウォーカブルなまちを体験してください!

にこちゃん

今回取材に応じていただきました皆様、
本当にありがとうございました!