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#2-3【解説3】STP(スパニングツリープロトコル)~ブロックするポートの選出~

先の解説とハンズオンにて、障害発生に伴う経路の自動変更、showコマンドを確認しました。

次に理解すべきは「何がブロックするポートの場所を決めているのか?」ということです。結論「ルートブリッジ」よってブロックするポートの場所が決まります。

上図の構成ではSW1がルートブリッジです。
では何がルートブリッジを決めるのかというと、プライオリティ値とMACアドレスから算出される「ブリッジID」です。
上図における各スイッチのブリッジIDは以下の通りです。
・SW1:32769.0001.C9D1.3B74
・SW2:32769.00D0.D3B5.7B4A
・SW3:32769.0004.9A03.7D1A
※10進数のプライオリティ値と16進数のMACアドレスをそのまま併記しているので学術的には正しくありませんが、わかりやすい解説という意味でご了承ください。

STPにおけるプライオリティ値はデフォルトでは「32769」のため、デフォルトのSTPではMACアドレスの大小がブリッジIDの大小を決めます。

そしてブリッジIDが一番小さいスイッチが「ルートブリッジ」であり、上図のスイッチ3つ構成ではブリッジIDが中と大の「大側のポート」がブロックするポートになります。
・SW1:32769.0001.C9D1.3B74 =小
・SW2:32769.00D0.D3B5.7B4A=大
・SW3:32769.0004.9A03.7D1A =中
※いまは感覚的に理解しておくだけで十分です。


すなわち、ブロックされたポートの場所を移動させたい場合は、MACアドレスは変更できないので、プライオリティ値を変更することで、ブリッジIDの大中小を変更させることで実現できます。

まずはハンズオンで下図の通り、「プライオリティ値を変更」=「各スイッチのブリッジIDの大中小を変更する」ことで、ブロックするポートの場所を「SW2のfa0/2」に移動させてみましょう。

ポイントはSW3のプライオリティ値を「0」にすることで、ブリッジIDを「0.0004.9A93.7D1A」に変更させ、ルートブリッジにすることです。

【SW3】
spanning-tree vlan 1 priority 0

上記の設定により、正常時においてPC1からPC2の通信はSW3を経由することになります。


<チャレンジ>
せっかくなので下図のようになるように各スイッチのプライオリティ値を変更してみましょう。

【SW1】
spanning-tree vlan 1 priority 4096

【SW2】
spanning-tree vlan 1 priority 0

【SW3】
spanning-tree vlan 1 priority 8192

以上で、プライオリティ値の変更によるブロックするポートの移動をハンズオンすることができました。この経験がすごく大切です。

次のレクチャーでは細かい座学で理解を深めたいと思います。

<次へ進む>

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