PCの調達から廃棄まで…情シスのPCライフサイクル管理4業務の基本
業務にPCが不可欠になって以来、情シスがその調達、運用・管理、廃棄までの業務を担うようになりました。今回のnoteでは、情シスが担当するPC調達から廃棄までの流れと業務についてまとめました。なお、このnoteは主に中堅・中小企業の新任情シスや兼任情シス向けの内容です。
1. PCライフサイクル管理の概要…4つの管理業務
企業が従業員に貸与するクライアントPCは、一般的に3〜5年ほどで入れ替えるケースが多いと言われています。このPC調達から廃棄・入れ替えの流れを管理することを、PCライフサイクル管理と呼びます。この管理業務は情シスにとって重要な業務の1つとされていますが、PCライフサイクル管理を分解すると「①調達」、「②導入」、「③運用・管理」、「④消去・廃棄」という4つの業務に分けられます。
①調達:PCを選定し購入、リース、レンタルなどの方法でPCを用意することです。
②導入:調達したPCを自社の業務に向け、各種設定を行い配布します。この設定業務をキッティングと呼びます。
③運用・管理:ユーザがPCを業務に利用している段階で、情シスは問い合わせ対応、故障やトラブル対応、OSのアップデート対応などを行います。
③消去・廃棄:PCライフサイクルの最後は、確実にPCのデータを消去し、ディスク破壊などを行う必要があります。情報漏えいを防ぐためにも重要な業務です。なお、購入、リース、レンタルなど調達方法により、データの消去・廃棄方法は異なります。
2. PCライフサイクル管理業務のよくある課題と対策
次に、PCライフサイクル管理の各業務のポイントや、よくある課題とその対策を紹介します。
2-1 「①調達」の課題・対策
PC選定の際には、各部署や業務内容によってPC のスペックや価格帯はあらかじめ決められていたり、前例に則ったりすることが多くあります。また、ユーザが希望するPC があっても、上記の理由や、すでに販売終了しているなどの理由から、希望に応えられるとは限りません。また選定の際に、ベンダやメーカー比較や稟議が必要な場合もありますので準備が必要です。
社内のPCのメーカー、ベンダが混在し、窓口が複数になると後々の運用(トラブル対応、修理対応等)に影響を及ぼす可能性があるので、複数の問い合わせ先の管理も検討しておく必要があります。もしくは、異なるメーカーのPCの購入から運用管理まで、一元的に管理するサービスを利用するという方法を選ぶこともできます。
PCの調達方法は、購入、リース、レンタルに大分されます。それぞれのメリット、デメリットについては整理しておき、自社に適した方法を選ぶことがおすすめです。
2-2 「②導入」の課題・対策
PCを調達したら、すぐに業務に使えるPCが届くわけではありません。一般的に、PCが梱包された箱が企業に届きます。当然ながら、PCの箱の開梱作業を行う必要がありますが、これが数十台、百台以上となってくると、その負荷は情シスに大きくのしかかってきます。見落としがちですが、開梱のための場所、ダンボール箱の廃棄等も考えて準備しておく必要があります。
次に、PCをユーザがすぐに使えるように設定する必要があります。部署や業務ごとに定められた要件を満たすように、それぞれのPCをセットアップします。この作業はキッティングとも呼ばれます。キッティングの内容は、OSやネットワークの設定、各種アプリケーションのインストールと設定、セキュリティの設定、Active Directoryへの登録など多岐にわたり、1台あたり数時間かかることもあります。リプレイスPCの場合には、データ移行などの作業も含まれます。その後、ユーザにPC、マウス、キーボードなどを渡す/取りに来てもらうになりますが、この一連の流れは情シスにとても大きな労力がかかる作業であることがわかります。キッティングは情シスにとって大きな課題の1つであることから、今後、改めて詳しく紹介したいと思います。
この手間のかかる導入作業を軽減する方法もあります。開梱、キッティングなど、負担が大きい部分をアウトソーシングできるサービスがありますので、それを利用することも一案です。少ない台数でしたら問題ないかもしれませんが、新年度など新入社員が増えるタイミングや異動などで、PCの導入台数が増える場合には検討してみてはいかがでしょうか。
2-3 「③運用・管理」の課題・対策
PCの運用・管理で最も大きな課題となるのは問い合わせ対応や、故障時の対応です。まずはPCトラブル発生から、故障かどうかを切り分ける必要があります。よくある問い合わせにはマニュアルやFAQで対応することになりますが、それでも電話が鳴り止まない、同じ問い合わせばかり…というケースもあります。このような対応に備える必要があります。
PCが故障だと判明した後には、業務を止めないためにも代替機の用意や修理の手配などが必要になります。修理の手配は各メーカーに依頼するのか、PCを調達したベンダやパートナーなどに依頼するかで情シスの業務負荷は異なります。「マルチベンダー/マルチメーカー」の場合、PCの修理依頼先が異なるため、毎回の依頼方法やサポート体制が異なるため管理が複雑になります。
あらかじめ、メーカーやベンダーごとに異なる修理依頼先やサポート方法を整理しておく必要があります。もしくは、PC問い合わせやヘルプデスクなどPC運用を一元的にアウトソースするという方法もあります。
2-4 「④廃棄」の課題・対策
ライフサイクル最後はPCの消去と廃棄ですが、とても重要な問題です。2019年にはある自治体で、HDDの内容を消去・廃棄したはずのPCやサーバから納税情報など個人情報が漏洩した事件がありました。これはデータ消去・廃棄を依頼した業者による不正があったことがわかっていますが、消去・廃棄を慎重に行わなければならないことは確かでしょう。
PCの情報の消去方法としては、物理破壊・磁気による消去・ソフトウェアやOSの機能による消去の3種類が一般的です。いずれの方法を採用するかは、信頼できるパートナーと相談の上、最新の情報なども踏まえて決めるのがよいでしょう。
データを消去したPCは法律などの定めに則り廃棄処理を行うことになります。確実に廃棄されたことを書面で残す必要があります。また、信頼できる廃棄業者を選ぶことも重要と言えます。
この消去・廃棄の流れは、購買・リース・レンタルでは異なります。リースやレンタルでは、契約内容に応じてデータ消去後のPCのがどのように扱われることになるのかは確認する必要があります。
おわりに
このnoteでは、PCライフサイクル管理業務を、調達、運用・管理、廃棄の4つに分けて、それぞれの課題や対策を紹介しました。
また、今回のnoteではPCライフサイクル管理の基本的な内容を紹介しましたが、より詳しい内容についての解説もしています。ぜひ、下記の関連記事を参考に、効率的なPCライフサイクル管理を実現してください。
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