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75%が情シス不足…対策の上位は?【数字で見る情シス2022】

DXや新たな働き方に求められるIT人材。しかし、今、日本ではこの人材が質・量ともに大幅に不足していると言われています。情シス人材も同様に不足していると言われていますが、今回は、情シス向けアンケート(※)の結果から、企業がどのように感じているのかその実情を見ていきましょう。なお、このnoteは主に中堅・中小企業の新任情シスや兼任情シス向けの内容です。
※「情報システムの現状とIT システム活用実態アンケート 2022(2021年12月〜2022年1月)」ソフトクリエイト

1. 情シスは2〜4人体制が多数派

時代の変化とともに、情シスのあり方は変化しています。これまでの社内システムの運用管理などのノンコア業務が主体だったのが、デジタル技術の活用提案やDX推進への関与、IT戦略への関与など、多様な業務が求められることも増えています。

このような状況下にある情シスですが、ここではその体制と人材不足の状況について見ていきましょう。まず、情シスの体制(人数)について見ていきましょう。

情シスの運用・保守体制について2021年度の結果は次のようになりました。

・1人以下:22.7%
・2〜4人:41.2%
・5人以上:36.1%

情シスは兼任で複数名体制というケースも多々ありますが、「2〜4人」の企業が最多という結果となりました。

しかし、これを2018年度から見ると少し印象が変わります。「2〜4人」の企業は4年間に10%近くも減少し、「5人以上」が約7%増加する傾向が見られました。「1人以下」の情シスが大きな変化がないことから考えると、複数名情シスを抱える企業は、情シス人員を増強する傾向にあることが伺えます。これは前述したように情シス業務が多様化していることも理由かもしれませんが、継続的に調査結果に注目していきたいと思います。

                       『数字で見る“ 情シス”の実像 2022』より

2. 情シス不足を感じる企業は約75%

次は、情シス人材不足を感じているか?という問いに対する結果を見ていきましょう。

・不足を感じている:74.7%
・不足を感じていない:24.2%
・その他:1.1%

不足を感じている企業は約75%、4社中3社が情シス不足という結果となっています。少子高齢化が進み労働力人口が減少する中、多くの企業では人材不足を訴えていますが、情シス人材も例外に漏れず不足を感じている企業が多いようです。

                       『数字で見る“ 情シス”の実像 2022』より

3. 情シス不足に対し、どのように対策しているのか?

約75%が情シス不足という中で、不足を感じる企業はどのように対策しているのでしょうか。不足を感じている企業に、どのような対策を行っているのかその実情を聞きました。

・外部サービス利用を代替案として検討:28.0%
・社内で育成している:26.8%
・採用活動を実施/検討中:24.2%
・採用活動を行っているがうまくいっていない:17.1%
・特に何もしていない31.9%

行っている対策に大きな差はありませんでしたが、最多の対策だったのが「外部サービス利用を代替案として検討」となりました。これは、情シスのアウトソーシングサービスとも呼ばれるもので、主に運用などに必要な人材を外部に委託することを指します。

2019年度からの経年変化を見てみると、2019年度は「外部サービス利用」のが「特に何もしていない」よりも多い結果となっていました。2020年度からはコロナ禍の影響を受けているものと思われますが、「採用活動」が減少し「特に何もしていない」が増えるなど、時勢の変化が読みにくい中で動きを控える企業が増えていたような印象を受けます。2021年度も2020年度の流れを受けていますが、採用活動が再開している様子もうかがえます。アフターコロナの情シス不足対策はすでに多くの企業で動き出しているのかもしれません。

                       『数字で見る“ 情シス”の実像 2022』より

4. IT人材不足を考えるための情報源

最後に、IT人材不足を考える上で役立つ資料をいくつかご紹介します。
昨今、社会は大きな変化の時期を迎えていて、情シス不足も時代の変化が影響して発生している一つの事象とも考えられます。近年は不測の時代と呼ばれていますが、これからの変化に備えるために、官公庁やシンクタンクなどが公表している資料も参考の1つにしてみてはいかがでしょうか。

●DX白書2021
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)による、DX推進の鍵となる戦略や人材などをまとめた資料。2009年から発行されてきた『IT人材白書(IPA)』の要素が本資料に統合されています。DX人材のみならず、IT人材の獲得に関する統計や、IT人材不足の実態調査など、豊富な調査結果とともに解説されています。

●デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)
IPAが2022年4月に公開した、調査結果をまとめた資料。IT人材のキャリアやスキルに対する考え方、DX状況などを数年間に渡る調査結果とともにレポートしています。

▲引用元「デジタル時代のスキル変革等に関する調査(2021年度)報告書一枚図」

●情報通信白書 令和3年度版(2021年7月)
総務省が毎年公開している情報通信白書。令和3年度版では、日本のデジタル化政策の歴史、社会におけるデジタル化の進展状況や国際指標での位置付け、デジタル化が後れた原因の考察などが掲載されています。「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」の「ICT人材の不足・偏在」でも、ICT人材不足問題について触れています。ほかにも、日本のICTの概況をカバーする本白書は情シスにとって必読書の1つと言えます。

●2050年までの経済社会の構造変化と政策課題について
経済産業省が平成30年に公開した資料。少し前の資料ですが、将来人口の推移、第四次産業革命と就業構造の変化、今後の社会構造の変化などがまとめられています。これからの社会を考える上で基礎的な情報が掲載され、IT人材問題を俯瞰的により大きな視点から考えるためにも役立ちます。

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/2050_keizai/pdf/001_04_00.pdf

おわりに

今回は、情シスの人材不足に関する調査結果をアンケートより紹介するとともに、これからのIT人材を考えるための資料を紹介しました。また、ほかの調査結果については下記の資料をぜひお読みください。

<関連情報>

また、ソフトクリエイトは「情シスレスキュー隊」にて、情シスに役立つ様々な情報を発信しています。こちらもぜひご覧いただき、情シス業務にお役立てください。

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