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ハルヒは退屈でも読者は退屈しない

この記事は

涼宮ハルヒの退屈(著者・谷川流)

の読書記録となります。

第2回ハルヒ語り!
実は消失まで読み終えているので、今日、明日はハルヒの記事で食いつなごうと思います!

というわけで、記念すべき3冊目、涼宮ハルヒの退屈ですが、

やっぱり面白い。

なにが面白いかって、ジャンルが固定されないところです。
SFだの世界系だの色々言われるハルヒですが、この巻には孤島症候群というミステリー回が収録されています。
アニメで視聴したときはなんとも思わなかったのですが、今頃になって谷川流のあまりの達筆に度肝を抜かれました。
ミステリーって書こうと思ってもうまく書けないんです。l
というのも、腑に落ちるようなオチがなかなか浮かばないし、無駄に長々と続かせてしまいそうだし、なにより短編の一つとして組み込むのが難しいんです。
米澤穂信のようなミステリー作家ならわかります。
けれど、谷川先生はラノベ作家ですよ?
果たして、今のラノベ界にここまでのミステリーをかける方がいらっしゃるのでしょうか。伏線を張って、読者を引き込んで、50ページほどで短編として完結させる。驚嘆です。すごすぎますよ。

と、短編のラストではとんでもミステリーが展開されるのですが、その前はしっかりハルヒなんですよ。
野球大会で長門がハチャメチャな能力を発動して、朝比奈さんと過去の七夕デーに遡行して、小泉がふもっふして……えと、これなんの話でしたっけ?
そう混迷してしまうくらいに、ハルヒの生み出すジャンルの振り幅はえげつないんです。
例えるなら、ラブコメ×ミステリー×SFでしょうか。
いや、これじゃ甘いな。ちょっとうまくまとめられないです。

要するに、ハルヒには読者を飽きさせない魅力があるんです。
やっぱり、ハルヒの一番すごいのはここじゃないかなと思います。
キョンくんの自分語りに始まり、展開まで抜かりなく読者を楽しませてくれます。だから、読者はワクワクしながらページを繰ることができます。
アニメを見たぼくでも、ワクワクしながら読めたんです。
果たして、リアルタイムで読んでいた人たちはどれほどの感動を味わったのでしょうか。羨ましいなあ。こんな作品が自分が学生の時代にあったら、間違いなくSOS団作ってましたよ。まあ、中学時代にリトルバスターズを作った自分が言えるタチではないのですが……

さて、ラストは恒例のキャラ語りで締めたいと思います。
今回は小泉一樹です。
微笑み野郎こと、機関に所属する超能力者、小泉ですが、これまたものすっごくいいキャラしてるんですよね。
なにがいいかって、超常的な現象の解説役にうってつけなんですよね。
人間性の欠落した長門に、禁則事項の朝比奈さん、キョンくんに如実に顛末を語れるのは小泉しかいません。なのに、小泉を過度に信用してはいけないと忠告する朝比奈さん。ならどうしろっていうんだって感じですよね(笑)
機関ってほんとになんなんでしょう。
本編を追えばわかるのかな?……いや、わからないだろうな。情報思念体と同様に、謎に包まれたまま、原作ストップしてるに違いありません。
でも、小泉ってハルヒをどう思っているのでしょう。
好意を寄せてるのか、尊敬しているのか、憎悪を滾らせているのか。
後の消失でハルヒと小泉が恋人になっていたのは、小泉の正統な世界線における感情が作用していたからなのではないでしょうか。そうでないと、消失で朝比奈さんとハルヒはなにも変わってなくて、小泉だけ人格がイジられているというのは些か不自然です。……なんて、考えすぎかな。こうやって考察の余韻を残してくれるのも、ハルヒシリーズの魅力です。

と、こんなところでしょうか。
いやあ、ほんとハルヒは面白い。最高の教科書ですよ。
明日は消失の感想を投稿します。
あらかじめ言っておきますけど、
涼宮ハルヒの消失は、ラノベ界屈指の名作です。
ここまでの4巻は、ぜひ全世界の人に読んでもらいたいものです。


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