[トップインタビュー]IT業界で経験を積み重ねてきたベテラン経営者が語る「日本市場でのビジネス戦略」と「DNSセキュリティの魅力」
2023年10月2日、Infobloxの日本担当カントリーマネージャーとして河村 浩明が就任しました。これまでも河村は、EMCジャパン執行役員、日本オラクル常務執行役員、サン・マイクロシステムズおよびシマンテック代表取締役社長、Dropbox Japanなどのカントリーマネージャーを歴任、40年以上にわたりIT業界において数多くの経験を重ねてきました。カントリーマネージャー就任にあたり、今後どのような戦略をもって日本市場でビジネス活動を行っていくのか、話を伺いました。
入社を決意させたのは
DNSに特化した独自の企業戦略
―これまでも数々のITベンダーで舵取りを担ってきましたが、今回、日本法人のカントリーマネージャーとしてInfobloxのメンバーとなった理由を教えてください。何が入社を決意させたのでしょうか。
河村 昔から私は営業、つまり“良い製品をお客様に提案して買っていただき、喜んでもらえること”に生きがいを感じる人間でした。また、今ある現状を変革して、より良い状況へと変えていくことにもやりがいを感じる人間でもあります。
しかし、何よりもInfobloxの企業理念やソリューションについて説明を受ける中で、改めて「DNSセキュリティの重要さ」、そして「Infobloxが提供するソリューションの独自性と先進性」を実感できたことが入社を決意した大きな理由です。
―Infobloxにどのような魅力を感じたのでしょうか。
河村 Infobloxは1999年の会社設立以来、DDI(DNS、DHCP、IPアドレス管理)およびDNSセキュリティサービスの提供により、グローバルで数多くの実績を積み重ねてきた企業であり、DNS、そしてDNSセキュリティに事業を集中させている、その着眼点がとにかくユニークだと感じました。世の中には、数々のセキュリティベンダーが存在し、多彩なソリューションを提供しています。対してInfobloxはDNSという特化した分野に着目し、製品開発にも多大な投資を行っています。そして、そのカテゴリーでトップの市場シェアを誇るなど、将来性を感じました。
また、自分がお客様に訪問して、Infobloxの製品の優位性について説明できるイメージがすぐに頭の中に思い浮かんだことも、入社を後押しした理由です。自分自身が心から“良い”と思ったソリューションでなければ、お客様に提案することはできませんからね。
―おっしゃる通り、市場では数多くのセキュリティベンダーが多彩なセキュリティソリューションを提供しています。そうした状況の中で、Infoblox が提供するDNSセキュリティについて、どのような優位性を感じたのでしょうか。もう少し詳しく聞かせてください。
河村 2010年代の半ばまで、私はシマンテックの代表取締役社長を務めていたのですが、当時、セキュリティベンダーは数えられる程度しかなかったと思います。それが現在では、数百社を超え、レイヤーごとに多彩なセキュリティソリューションも提供されるようになっています。それにも関わらず、セキュリティインシデントは減ることがなく、むしろその数は増え、被害はより甚大なものになっています。
そうした状況において、多くのセキュリティベンダーがその時々に猛威を振るうマルウェアに注目しその対策に投資している中、InfobloxはマルウェアではなくDNS(悪性ドメインとIPアドレス)に着目している点はユニークであり、被害が拡大している状況において1つのブレイクスルーになるものだと考えています。
事実、米国政府関係機関の調査報告などでは、「92% のマルウェアがDNSを悪用」というデータが示されています。そうした状況に着目し、Infobloxが世に出したのが、Protective DNS(防御型DNS)ソリューションの「BloxOne Threat Defense (以後、B1TD)」です。B1TDは、その先進性が評価され、当社が擁する約1万3,000社のお客様のうち、既に2,000社以上のお客様に導入頂いております。
このほかにも、DNS専業という、Infobloxの企業戦略にも魅力を感じました。多くのセキュリティベンダーは次世代型ファイアウォールやEDR製品等を基軸としながらも、徐々に製品ラインナップを増やし、全方位にセキュリティソリューションを拡大していくような戦略を展開しているケースが少なくありません。対して、InfobloxはあくまでもDNSに焦点をあて、その領域において“尖ったソリューション”を提供することにより、お客様のセキュリティ強化に貢献しています。そうした独自戦略も非常にユニークであると感じました。
顧客や販売パートナーとの
関係強化に注力
―日本法人のカントリーマネージャーに就任し、最初の90日間はどのような改革に集中して取り組んでいこうと考えていますか?
河村 一つは、顧客企業に対する営業力の強化です。先にも話しましたが、私が最も重視するのは、お客様が抱える悩みを解決する最適なソリューションを提案、提供し、喜んでもらえることです。そのため、Infobloxが日本市場での拡販をさらに強化していくためには、お客様が抱える悩みや課題など、現場の実態をより詳しく知らなければなりません。
そこで、販売パートナーと協力してお客様のところに赴き、共にヒアリングを行ったり提案を行ったりする営業活動を展開できればと考えてます。そのためには販売パートナーの理解、そして、お互いにより深い信頼関係を築いていくことが不可欠です。現在、販売パートナー各社と会話を重ねていますが、そうした戦略に対する賛同も得られています。
―販売パートナーや顧客企業との直接の対話を重ねる中で、どのような印象を持ちましたか。
河村 カントリーマネージャー就任後に販売パートナー各社に訪問したのですが、好意的に迎えられ、今後の拡販に向けた確かな感触を得られました。
また、お客様についても、入社前までは、DNAセキュリティに関する認知がどれくらい広がっているのか、不安に感じていた面もありました。しかし、実際に対話してみると、すでにDNSを意識したセキュリティ対策にも多くの関心を寄せていることが分かりました。これを機会に、販売パートナーとより強固な協力関係を築きながらDNSセキュリティのさらなる認知、導入拡大を進めていこうと考えています。
エンタープライズから中堅・中小企業まで
あらゆる企業のセキュリティ強化を支援
―はじめに、どのような業種業界をターゲットに営業活動を展開していこうと考えていますか。特にチャンスがあると捉えている市場があればお聞かせください。
河村 セキュリティは業種業界や企業規模を問わずに必要となるものであり、全方位に営業活動を進めていきたいと考えています。優先順位としては、まずはセキュリティインシデントが発生した際に影響度の大きい業界から展開していく計画です。
セキュリティインシデント発生による影響の度合いを考えた場合、現在、セキュリティ攻撃に対して最もセンシティブなのは、政府関係です。事実、既に導入が進んでいる米国政府の影響もあって、日本の中央官庁もInfobloxのセキュリティソリューションに対して高い関心を寄せています。続いて、金融、通信業界、製造業を優先度が高い市場として考えています。
また、将来的には中堅・中小企業のお客様への拡販にも力を入れていく計画です。
グローバルで見た場合、Infobloxはエンタープライズ系の企業のお客様が多いのですが、日本の製造業には、その傘下に多くの関係会社やサプライヤーが存在しており、そうした中堅・中小企業を入口として狙うサイバー攻撃も多発しています。そうしたことから、サプライチェーン全体を通じたセキュリティ対策の推進が急務の課題となっています
―中堅・中小企業に対して、どのような戦略に基づき営業活動を行っていくのでしょうか。
河村 こちらについても中堅・中小企業に強い販売パートナーとの協業を考えています。幸い、私どもには中堅・中小企業に対して提案力のある強力な販売パートナーが数多く存在しています。そうした販売パートナーとの関係をさらに強化していきながら、共に営業戦略や拡販プログラムを策定していきたいと考えています。これは今後のステップですね。
なお、これまで話をしてきたような販売パートナー戦略の強化に加えて、今後は、お客様向けのイベントやセミナーの開催や、コミュニティ活動等も積極的に取り組んでいきたいと考えています。
DNSセキュリティのエバンジェリストとなり
情報化社会における安全・安心に貢献したい
―これまでの経歴や経験を踏まえ、Infobloxで達成したいことについてお聞かせください。
河村 まずはInfobloxが提供するソリューションの価値を日本企業の皆様にしっかりと伝え、DNSセキュリティの導入によるさらなるセキュリティの強化を実現していきたいと考えています。それが何よりも最優先となる事項です。そのためにも、まずは販売パートナーと協業しながら、DNSセキュリティのエバンジェリストとなってその優位性を広く伝えていこうと考えています。
―最後にInfobloxのソリューションがお客様のセキュリティ課題に対してどのような解決策をもたらすのか、メッセージをお願いします。
河村 例えば、火事は火元が小さいうちであればコップ一杯の水でも消すことができます。しかし、それを放置していたら、どんどん燃え広がってしまい、最後には何十台もの消防車が来ても消し止めることが困難になってしまいます。このことはセキュリティについても同じことが言えるでしょう。
対して、火事が燃え広がって手遅れになる前に消し止められるのが、InfobloxのDNSセキュリティがもたらす最大の価値となります。
脅威の入口でその92%を遮断できることにより、後段に控えるセキュリティソリューションの負荷を抑制可能となります。また、初期段階で脅威を食い止めれば、侵入や事故発生の原因の究明も容易となり、より迅速な解決に繋げられるなど、お客様のワークロードも抑制できるようになります。
そして最終的には、全体的なセキュリティを強化できるようになります。もちろん、Infobloxのソリューションを導入するだけですべてのセキュリティ課題が解決できるわけではありませんが、確実にサイバーセキュリティ対策を前進させられるようになります。
皆様が抱えるセキュリティの課題を解決するため、引き続きInfobloxは、販売パートナーとともに努めてまいります。
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