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もう一つの願い

彼女は僕よりもだいぶ年下のはずだ。歳の離れた女性に好意を抱く自分に嫌悪感はあるが、若いからこそ発言の意外性に魅力を感じる側面もあった。Webラジオの中で最近ガッカリしたことを聞かれた彼女はこう答える。

ガッカリしたことはない。世の中には期待していないから。

強い。僕ほどの年齢になってもこの言葉はなかなか出ない。転生して二度目の人生を送っていると言われても不思議ではない。好きを通り越して尊敬の念を覚える。

恋心とは無関係に彼女の行く末を見てみたいという思いがある。なにか特別な物語を期待しているのではなく、ただ川面を流れる一枚の花びらがどうなっていくのかを見届けたいのだ。

Webラジオの他の回ではドバイに住みたいと言っていた。また他の回では平屋の縁側でお茶を飲みながら余生を過ごしたいとも話していた。振り幅がすごい。完全に僕の想像になるが、川の流れに身を任せ、どこに行き着いてもガッカリすることはなく、あるがままに幸せを感じられる心の余裕と強さに恵まれた人なのだと思う。

尊い。その崇高さに痺れる。そして憧れる。あとやっぱり愛おしい。

そんな彼女が自らの意思で一度退いた舞台に、また戻ってきて欲しいとは思わない。僕も他人のプライベートを覗き見する趣味はない。

だから、この願いも叶わない。