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果汁わからせ物語

「私の戦闘力は53万です」

漫画『ドラゴンボール』に登場するフリーザは自分の強さをこのように誇示した。戦闘力は大きい方が強いことになっている。だから、その数字をアピールしているのだ。

「私の戦闘力は60万未満です」

とは言わない。53万は実際に60万未満なので何も間違ってはいないが、わざわざ60万という基準を持ち出して自分がそれより低いことを意識させるメリットがない。

果物系飲料がそれをわざわざやっている。調べてみると果汁5%以上10%未満の場合は「果汁10%未満」と表記しなければならないらしい。そういう法律があるそうな。なかなかサディスティックなルールで面白い。

「私は果汁5%です」
「俺は果汁8%だぜ」
「いいや、お前たちはどちらも10%未満だ。ほら自分で言ってみろ。」
「くっ……私たちは……果汁10%未満です……」

みたいなやり取りを勝手に想像して楽しくなっている。いち消費者としては果汁が多ければ美味しいってものでもないと思うが、せっかく配合した成分を全力でアピールできないのは気の毒に思う。