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お金持ちごっこ

貧乏は嫌だ。貧しくて乏しくて常に何かが足りないという状況では行動が著しく制限される。お金がなければ遊ぶ間も惜しんで働かなければならない。その状態は不足が解消するまで続く。早く脱したいと考えるのは当然だろう。

貧乏くさいのが嫌だという感情はそれとはまったく違う。こちらは完全に気持ちの問題である。実害はほぼない。なのに何故か貧乏よりも嫌われているようにさえ見える。

貧乏くさい例として以下のような行動が挙げられる。

  • 買い物でポイントをちまちま貯める

  • ご自由にお取りくださいをたくさん貰う

  • 割り箸を洗って繰り返し使う

これらをすべて貧乏くさいで片付けるのは粗暴だと思う。1円分のためにポイントカードを提示する非効率性、他人のことを顧みない利己主義、使い捨て用品を再利用する衛生面の不安。問題点はそれぞれ異なるのに雑にひっくるめて本質を見ていない。解像度が低い。

貧乏は嫌だという気持ちが生み出した幻影なのではないか。貧乏くさい行動を忌避することで自分は貧乏ではないと思いたがっている。一種の呪いと言ってもいい。

生まれついてのお金待ちに貧乏くさいという感覚はあるのだろうか。聞いてみたいが、そんな知り合いはいなかった。